わたしは、いま、名の知れた一流企業で重要な役職をしていますが、
実は、昔、顧客から預かっていた預託金を横領しておりまして・・・
わたしは、こんな高級住宅街で、ハイソなマダム暮らしをしていますが、
実は、昔、相当な悪どいゴロツキの愛人をやっておりまして・・・
なんて、わざわざ暴露する人はいない。
ダイアナさんの元側近とか、超有名人の元家政婦とか、
そういう人がお金欲しさや売名行為で、暴露本を出すケースはあっても。
では、
どうだっ!! すごいだろっ!!
これまでの栄光の道のりを延々、自慢する人。
逆に、
どれだけ大変で、苦節、苦難を乗り越えたかを切々と涙ながらに訴える人、
あるいは、
若手に、高圧的に説教する人。
現在のポジションが高ければ、高いほど、こういう人は少ない。
いちばん、やっかいなのは、
淡々と当たり前のごとく、フツーに力みなく、
一般の人と格段にレベルの違うことをやっている人。
あれ? あなたは、違うの?
パンがなければ、ケーキを食べるんじゃないの?
え? 飛行機って、ふつうは、ビジネスクラスじゃないの?
ご本人には、まったく悪意がない。
とても善意にあふれた、いい人。
(そういう人は、似たような人と日常をともにしているので、
異なる社会の人と接触することはあまりないから、トラブルもそう多くないと思うが)
「昔は、不幸だったけれど、今は、こんなに幸福で、感謝しています」
そういう人もいて、講演会を開いたり、本を書いたりする人もいて、人々に元気を与えているようだ。
反対に、
今は、落ちぶれていても、元・上流階級・・・
(小林よしのりの漫画「おぼっちゃまくん」に登場する「びんぼっちゃま」みたいな)
○○の末裔で・・・。○代続いた○○の血を引き・・・。
などなど・・・・これらは、どうなのか、ちょっと扱いに困るけれど。(例外にしておきましょう)
つまり・・・
どんなふうにしていても、
今までやってきたことは、なんらかのカタチで、表面に出るということ。
わざと隠そうとしても、事実と逆を装っても、
大げさにホラを吹いても、アピールしても。
急には表面に出なくても、知らず知らず、蓄積されていて、いずれ、表れるということ。
若い人は、ある意味、うらやましい。
恐れがないから。こわいものを知らないから。
かつて、わたしも、そうだったように。
よく、大人がそう言ってたけれど、意味なんかわからなかった。
でも、その日、その日がよければいいじゃない、と、開き直れなかった。
将来を見据えて(臆病だったから)、
耳掻き一杯程度の努力をしたかも知れないけれど。
100パーセントはじけたとしても、それは休日だけだった。
平日には、平日の暮らし。
もっともっと、好き勝手していてもよかったかも知れないけれど、
波乱万丈でなく、ほどほどの人生。
チキンのわたしには、これぐらいがちょうどかも。