夜な夜なシネマ

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『ペレ 伝説の誕生』

2016年07月21日 | 映画(は行)
『ペレ 伝説の誕生』(原題:Pele: Birth of a Legend)
監督:ジェフ・ジンバリスト,マイケル・ジンバリスト
出演:ケヴィン・ヂ・パウラ,ヴィンセント・ドノフリオ,ロドリゴ・サントロ,
   ディエゴ・ボネータ,コルム・ミーニイ,レオナルド・リマ・カヴァーリョ他

『クリーピー 偽りの隣人』を観てゲンナリしたあと、
TOHOシネマズ西宮でいちばん好きな小ぶりのシアター12に移動して本作を鑑賞。
サッカーより野球好きな私ですが、これはとても良かったです。

世界的に有名なサッカー選手、エドソン・アランチス・ドゥ・ナシメント。
1940年生まれの彼は現在75歳。とても愛され敬われる存在のようです。
サッカー史上最高の選手のうちのひとりとも、
20世紀最高のアスリートとも称されています。
ドキュメンタリー畑の監督による本作は、過剰すぎない演出が○。
だけど、泣きどころはきちんと押さえられていました。

ブラジルのスラム、バウルという貧しい村。
少年ナシメントは靴磨きで家計を助けなければならないが、
友だちと遊びたいという誘惑から逃れられず、
丸めた洗濯物をボール代わりにしてはサッカーを楽しむ毎日。
弟と一緒に泥だらけになって帰り、毎度母親に怒られる。

1950年、ブラジルで開催されたワールドカップ
優勝を本命視されていたブラジル代表は、
引き分けでも優勝したはずの決勝戦でウルグアイに敗れ、
自国開催での優勝は夢に終わって国民は失意のどん底に。
悲しみに暮れる父親に向かって、ナシメントは自分がブラジルを優勝させると約束する。
父親は、それよりもしっかり勉強しろよと笑顔を見せる。

バウルでおこなわれた少年サッカー大会に仲間と出場したナシメント。
大会には名門FCサントスから視察にも来ている。
相手チームのなかには、ナシメントを“ペレ”とからかう金持ち少年がいた。
これは彼が好きだった選手“ビレ”のことを上手く発音できずに“ペレ”と言ったことから。

ふだんスパイクもボールも持たないナシメントらは、金持ち相手に序盤は苦戦。
しかし、間に合わせのスパイクを脱ぎ捨ててからは全開モード。
1点差で負けはしたものの、ナシメントの華麗なテクニックに観客は大興奮。
試合後は皆が「ペレ」と連呼し、まるで優勝したかのような扱いに。
なんとサントスからも誘いを受ける。

ところがその直後、仲間のひとりが事故死。
自分を責めるナシメントはサッカーをきっぱりあきらめ、
病院の清掃員として働く父親の仕事についていく。
そんなナシメントを元気づけようと、父親は休憩時間にマンゴーの実を蹴りはじめる。
やがて笑顔を取り戻したナシメントは、マンゴーの実を蹴って技術を磨くのだが……。

熟しかけたマンゴーの実は、優しく扱わなければつぶれてしまいます。
貧しいなかにあっても父と息子がマンゴーの木の下で笑う姿が最高。

1950年のいわゆる「マラカナンの悲劇」により、
以後、ブラジル代表の指導に当たった監督は、野蛮であると言われることを恐れ、
洗練されたサッカーをすることを目標に掲げます。
だけど、何をもって野蛮とするのか。

ブラジル人が生まれたときから身につけているといわれる“ジンガ”。
それが映し出されるシーンはあまりに美しく、涙が出ました。
美しくフェアなプレーは人の心を打ち、敵味方に関係なく拍手を送りたくなる。

名前を聞いたこともない南米俳優が良かったのはもちろんのこと、
最初わからずや、最後あっぱれな監督を演じるヴィンセント・ドノフリオも良かったです。

野球もいいけどサッカーもいい。
つまりスポーツ映画ならば何でも好きということになっちゃうのですが。(^^;

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