《た》
『探偵ミタライの事件簿 星籠の海』
2016年の日本作品。
島田荘司の人気ミステリーシリーズの実写映画化。
島田氏が地元である広島県福山市のために書き下ろし。
数々の難事件を解決してきた脳科学者の御手洗潔(玉木宏)。
彼のファンだという女性編集者・小川みゆき(広瀬アリス)が、
御手洗の活躍を見たいがために、未解決事件のファイルを持ってやってくる。
彼が興味を示したのは、この半年間に6体もの死体が流れ着いたという“死体島”事件。
御手洗はみゆきとともに瀬戸内海にある問題の島へ。
海流を分析した結果、6体とも福山市の同じ場所から流れてきたとわかり……。
DVDで観るには十分な面白さ。
しかし脳科学者がこんなにも捜査に関与するって。
ま、野暮なことは言いっこなしですね。(^^;
《ち》
『父を探して』(原題:O Menino e o Mundo)
2013年のブラジル作品。
第88回アカデミー賞長編アニメーション部門にもノミネートされたアニメです。
監督はこれが長編2作目のブラジルの新鋭アレ・アブレウ。
田舎で両親と三人暮らしの少年は、幸せな毎日を送っている。
しかしある日、父親が列車に乗ってどこかへ出稼ぎに。
父親のことが好きでたまらない少年は、後を追いかけて未知の世界へと旅立つ。
不思議な絵です。少年の顔はまん丸に縦棒の眼、鼻と口は無し。
大人の顔は同じく眼と小さなニンジンのような鼻がある程度。
これは絵として上手いんだろうかと悩むところ。
そんな独創的な絵が逆に素晴らしい。色使いにも目を奪われます。
虹色の空、荒れ狂う海、高層ビルの間に上がる花火。
ゴミの山には『トラッシュ! この街が輝く日まで』(2014)を思い出す。
映像と音楽だけで描かれる80分。劇場で観たかった1本です。
《つ》
『造られた殺人』(英題:The Exclusive : Beat the Devil's Tattoo)
2015年の韓国作品。
テレビ局に勤める記者ムヒョクは、大口スポンサーを叩いて休職を言い渡される。
私生活では身重の妻スジンから別れを切り出され、公私ともに崖っぷち。
そんな折り、偶然取った電話。相手は連続殺人事件の犯人を知っていると言う。
犯人とおぼしき男性の自宅を探ってみると、意味深なメモや血痕が散乱。
とんでもない特ダネをモノにして、復職どころか昇進の話を女社長から貰う。
ところが犯人だと思い込んでいた男は劇団員。
散乱していたのは単なる芝居の台詞と小道具だった。
いまさら誤報だったとは言い出せず、嘘に嘘を重ねるようになり……。
途中まではとても面白かったのですが、終盤の詰めが甘すぎる。
「報道に真偽は関係ない。視聴者が信じたものが真実」なんて、それで終わっていいのか。
正当防衛とはいえ殺人まで犯しておきながら黙したまま。
スジンがどうして犯人に会いに行ったのかも謎ならば、
ムヒョクの刺殺の手口が犯人とまったく同じだというのもどうなんだか。
残念ながらノ・ドク監督の独りよがりな結末。もったいない。
《て》
『ティエリー・トグルドーの憂鬱』(原題:La Loi du Marche)
2015年のフランス作品。
51歳のティエリー・トグルドー、失業して1年半。
家のローンにも追い詰められているというのに、
妻と脳性麻痺の息子は不満ひとつ漏らさないから、余計にこの状況にいらだつ。
職安の職員に勧められて取得した資格もまるで役に立たず、
ついには家を売ることを考えるが、取引がおじゃんになってお先真っ暗。
そんななか、なんとかスーパーマーケットの監視員の職にありつき、
ようやく平穏な生活が送れると安心するティエリーだったが……。
スーパーには何十台もの監視カメラ。
客の万引きのみならず、従業員の不正にまで目を光らせるのが仕事。
客が差し出した割引クーポンを回収したり、
客のポイントを自分のカードにつけたりする従業員を問い詰める役は精神的負担が大きい。
ラストは仕事を放棄して立ち去るティエリーの姿。
何も解決されないまま終わるこのシーンが観る者の心に重くのしかかります。
《と》
『トレジャー オトナタチの贈り物。』(原題:Comoara)
2015年のルーマニア/フランス作品。
ルーマニアのブカレストに妻子とともに暮らすコスティは、
ある日、同じアパートに住むアドリアンから借金を申し込まれる。
アドリアンはアパートのローンを滞納していて、
今月中に800ユーロ払わなければ差し押さえられてしまうらしい。
そんなことを言われても人に金を貸す余裕はないと断ると、
アドリアンの曽祖父が共産党台頭前に埋めた宝があるという。
もしもコスティが金属探知機の借り賃を用意してくれるならば、
出てきた宝の半分を譲ると。半信半疑ながらも話に乗るコスティ。
怪しげな業者も仲間に加わり、3人でアドリアンの生家の庭を掘り始めるのだが……。
第68回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で「ある才能賞」受賞作だとか。
お宝とは何かと思ったらメルセデスの株券。
換金して宝飾品を買いあさり、公園で「宝物だよ」と子どもたちに配ります。
独り占めしなかったのは美徳なのかもしれませんが、
自分の息子に渡したはずの宝飾品はいじめっこにもぎとられ、
何が言いたいのかさっぱりわからん。
いちばん驚いたのは、ルーマニアで年間1冊以上の本を読む人は
全国民の2%以下だということ。ほんま?
『探偵ミタライの事件簿 星籠の海』
2016年の日本作品。
島田荘司の人気ミステリーシリーズの実写映画化。
島田氏が地元である広島県福山市のために書き下ろし。
数々の難事件を解決してきた脳科学者の御手洗潔(玉木宏)。
彼のファンだという女性編集者・小川みゆき(広瀬アリス)が、
御手洗の活躍を見たいがために、未解決事件のファイルを持ってやってくる。
彼が興味を示したのは、この半年間に6体もの死体が流れ着いたという“死体島”事件。
御手洗はみゆきとともに瀬戸内海にある問題の島へ。
海流を分析した結果、6体とも福山市の同じ場所から流れてきたとわかり……。
DVDで観るには十分な面白さ。
しかし脳科学者がこんなにも捜査に関与するって。
ま、野暮なことは言いっこなしですね。(^^;
《ち》
『父を探して』(原題:O Menino e o Mundo)
2013年のブラジル作品。
第88回アカデミー賞長編アニメーション部門にもノミネートされたアニメです。
監督はこれが長編2作目のブラジルの新鋭アレ・アブレウ。
田舎で両親と三人暮らしの少年は、幸せな毎日を送っている。
しかしある日、父親が列車に乗ってどこかへ出稼ぎに。
父親のことが好きでたまらない少年は、後を追いかけて未知の世界へと旅立つ。
不思議な絵です。少年の顔はまん丸に縦棒の眼、鼻と口は無し。
大人の顔は同じく眼と小さなニンジンのような鼻がある程度。
これは絵として上手いんだろうかと悩むところ。
そんな独創的な絵が逆に素晴らしい。色使いにも目を奪われます。
虹色の空、荒れ狂う海、高層ビルの間に上がる花火。
ゴミの山には『トラッシュ! この街が輝く日まで』(2014)を思い出す。
映像と音楽だけで描かれる80分。劇場で観たかった1本です。
《つ》
『造られた殺人』(英題:The Exclusive : Beat the Devil's Tattoo)
2015年の韓国作品。
テレビ局に勤める記者ムヒョクは、大口スポンサーを叩いて休職を言い渡される。
私生活では身重の妻スジンから別れを切り出され、公私ともに崖っぷち。
そんな折り、偶然取った電話。相手は連続殺人事件の犯人を知っていると言う。
犯人とおぼしき男性の自宅を探ってみると、意味深なメモや血痕が散乱。
とんでもない特ダネをモノにして、復職どころか昇進の話を女社長から貰う。
ところが犯人だと思い込んでいた男は劇団員。
散乱していたのは単なる芝居の台詞と小道具だった。
いまさら誤報だったとは言い出せず、嘘に嘘を重ねるようになり……。
途中まではとても面白かったのですが、終盤の詰めが甘すぎる。
「報道に真偽は関係ない。視聴者が信じたものが真実」なんて、それで終わっていいのか。
正当防衛とはいえ殺人まで犯しておきながら黙したまま。
スジンがどうして犯人に会いに行ったのかも謎ならば、
ムヒョクの刺殺の手口が犯人とまったく同じだというのもどうなんだか。
残念ながらノ・ドク監督の独りよがりな結末。もったいない。
《て》
『ティエリー・トグルドーの憂鬱』(原題:La Loi du Marche)
2015年のフランス作品。
51歳のティエリー・トグルドー、失業して1年半。
家のローンにも追い詰められているというのに、
妻と脳性麻痺の息子は不満ひとつ漏らさないから、余計にこの状況にいらだつ。
職安の職員に勧められて取得した資格もまるで役に立たず、
ついには家を売ることを考えるが、取引がおじゃんになってお先真っ暗。
そんななか、なんとかスーパーマーケットの監視員の職にありつき、
ようやく平穏な生活が送れると安心するティエリーだったが……。
スーパーには何十台もの監視カメラ。
客の万引きのみならず、従業員の不正にまで目を光らせるのが仕事。
客が差し出した割引クーポンを回収したり、
客のポイントを自分のカードにつけたりする従業員を問い詰める役は精神的負担が大きい。
ラストは仕事を放棄して立ち去るティエリーの姿。
何も解決されないまま終わるこのシーンが観る者の心に重くのしかかります。
《と》
『トレジャー オトナタチの贈り物。』(原題:Comoara)
2015年のルーマニア/フランス作品。
ルーマニアのブカレストに妻子とともに暮らすコスティは、
ある日、同じアパートに住むアドリアンから借金を申し込まれる。
アドリアンはアパートのローンを滞納していて、
今月中に800ユーロ払わなければ差し押さえられてしまうらしい。
そんなことを言われても人に金を貸す余裕はないと断ると、
アドリアンの曽祖父が共産党台頭前に埋めた宝があるという。
もしもコスティが金属探知機の借り賃を用意してくれるならば、
出てきた宝の半分を譲ると。半信半疑ながらも話に乗るコスティ。
怪しげな業者も仲間に加わり、3人でアドリアンの生家の庭を掘り始めるのだが……。
第68回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で「ある才能賞」受賞作だとか。
お宝とは何かと思ったらメルセデスの株券。
換金して宝飾品を買いあさり、公園で「宝物だよ」と子どもたちに配ります。
独り占めしなかったのは美徳なのかもしれませんが、
自分の息子に渡したはずの宝飾品はいじめっこにもぎとられ、
何が言いたいのかさっぱりわからん。
いちばん驚いたのは、ルーマニアで年間1冊以上の本を読む人は
全国民の2%以下だということ。ほんま?