夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈ま行〉

2017年12月28日 | 映画(ま行)
《ま》
『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』(原題:Miss You Already)
2015年のアメリカ作品。
ニューヨークの大学に勤務する三十路のマギーは、男性と長く続いた試しがない。
結婚はもうできなくてもいいけれど子どもはどうしてもほしいと、
学生時代に数学の天才ともてはやされたガイに精子提供を依頼。
排卵日にそれを自分で注入して妊娠するはずだった。
ちょうどそのとき、作家を目指す文化人類学者ジョンと出会い、意気投合。
ジョンには大学教授の妻ジョーゼットがいたが、マギーは彼と略奪婚。
可愛い娘リリーも授かり、幸せな毎日が送れるかと思いきや、
結婚後のジョンは小説を書くだけで家事も育児もマギーに丸投げ。
リリーだけでなく、ジョンとジョーゼットとの間の子ども2人の面倒まで見るはめに。
たまりかねたマギーがジョーゼットに会いに行ってみると、
鬼嫁との噂を聞いていたジョーゼットは思いの外すばらしい女性で……。
監督は『50歳の恋愛白書』(2009)のレベッカ・ミラー、
主演は『フランシス・ハ』(2012)のグレタ・ガーウィグ
ジョン役にイーサン・ホーク、ジョーゼット役にジュリアン・ムーア
純粋なんだか抜けてるんだかわからないマギーが○。
ジョンのどこがいいんだ、とっとと別れろと応援。そのとおりになります。
印象に残るスケートリンクのラストシーン。好きでした。

《み》
『未来を花束にして』(原題:Suffragette)
2015年のイギリス作品。
100年前の英国で、女性の参政権を求めて立ち上がった女性たちの話。
24歳の女性モードは、幼い愛息を抱え、夫と同じ洗濯工場で働いている。
洗濯工場では女性の勤務時間のほうが長く、過酷。
男性は配達などの外回りを担当し、自由も利くのに、
男女の給料は言うまでもなく男性のほうが上。
その事実について深く考えたことすらなかったが、
街で女性の参政権を求める抗議活動に遭遇。
この女性社会政治同盟のメンバー“サフラジェット”(=原題)との出会いにより運命が変わる。
男女共に参政権があることなど当たり前だと思っていました。
エンドロールで各国の女性参政権の実態を知り、驚愕。
参政権を求める活動のために子どもとの仲を引き裂かれる様子が悲しい。
こんな女性たちがいたからこそ、私たちの参政権があるのですね。

《む》
『むこうぶち13 高れーと裏麻雀列伝 壺』
劇場では「む」で始まる作品をいろいろ観たのですが―これとかこれとか―、
レンタルにはまったくと言っていいほどなくて、
「む」を書くためだけにひねり出して観た作品(笑)。
1999年から麻雀雑誌に連載されている人気漫画で、47巻まで刊行中。
実写版映画は2007年から撮られてこうして今なお継続中。すごっ。
「むこうぶち」とは一匹狼のギャンブラー。その主人公・傀を演じるのは(袴田吉彦)。
諸般の事情から荒稼ぎを目論むいろんなギャンブラーが現れて、
傀にやられて目論見砕け散るというのが毎度のパターンらしい。
雀卓を囲んで麻雀を打っているだけなのですが、駆け引きがなかなか面白くて。
「む」のために借りたDVDだったけど、ちょっとハマリそうな気配です。

《め》
『牝猫たち』
2016年の日本作品。
気鋭の映画監督5人を起用して“日活ロマンポルノ”を現代に甦らせるという、
“ロマンポルノ・リブート・プロジェクト”。
シネ・リーブル梅田で上映されていたときにどうしても時間が合わず、DVDにて。
これはその中で私がもっとも観たかった白石和彌監督による1本で、
田中登監督のロマンポルノ『牝猫たちの夜』(1972)へのオマージュ作品。
池袋の風俗店で働くデリヘル嬢3人、雅子、結依、里枝。
ビルを所有する金持ちでイケメン、でもひきこもりの青年からよく指名が入る雅子。
シングルマザーの結依は、イライラを募らせて幼い息子を虐待している。
妻に先立たれた老人は里枝を頻繁に呼ぶが、会っても何もしない。
それぞれの孤独が突き刺さるようで辛いけれど目が離せません。好き。
これからも注目していきたい監督です。

《も》
『持たざるものが全てを奪う/HACKER』(原題:Hacker)
2015年のアメリカ作品。“未体験ゾーンの映画たち 2017”にて上映。
ルーマニアからカナダの田舎町へ移住したアレックス一家。
どうしても家を手に入れたかった両親は無謀な住宅ローンを組む。
母親は銀行に仕事の口を見つけるが、父親はぐうたらで、家計は常に火の車。
両親の喧嘩が絶えないなか、アレックスはPCで小銭を稼ぐ方法を覚える。
大学入学の資金が貯まった頃、母親が銀行をクビに。
ローンを払えないと悲嘆する母に、アレックスは貯金を差し出し、
もっと稼ぐために都会のトロントへと向かう。
ヤバイ仕事に詳しいサイという男と知り合い、ハッカー集団“ダークウェブ”に接触。
そのリーダー“ゼット”に心酔するアレックスは、
母親を苦しめた銀行に復讐しようとあれこれ仕掛けるのだが……。
実話が基らしく、面白そうな話ではあるのですが、なんとも描写が浅い。
ハッカーの手腕を見るには物足りないし、
途中から仲間になる女性キーラとの青春恋愛ものとも言えません。
登場人物の誰にも共感できないから、「ふーん」でおしまい。
それよりも、本作のあらすじが「アメリカに移住」と紹介されているのはどうなのよ。
カナダだってば。

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