夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『12-12-12/ニューヨーク、奇跡のライブ』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の20本目@西宮)(完)

2015年01月25日 | 映画(た行)
『12-12-12/ニューヨーク、奇跡のライブ』(原題:12-12-12)
製作総指揮:ポール・マッカートニー
出演:ポール・マッカートニー,ザ・ローリング・ストーンズ,ザ・フー,エリック・クラプトン,
   ビリー・ジョエル,ボン・ジョヴィ,ブルース・スプリングスティーン他

前述の『アゲイン 28年目の甲子園』とハシゴ。
これで今回のフリーパスポートの期間満了となりました。
前回の33本と比べると激減ですが、
ダンナがフツーに日本にいれば、これ以上は無理。(^^;
そもそもは10本でも観られればいいやと思っていたのですから、
20本観たら良しとしなきゃいけないですね。

2012年10月、アメリカ北東部に上陸したハリケーン“サンディ”。
ニューヨーク州ニュージャージー州が甚大な被害を受け、
被災地を救済しようとおこなわれたチャリティーコンサートが“12.12.12 The Concert for Sandy Relief”。
本作はそのライブ映像と出演者へのインタビュー、バックステージの模様、
そして裏方で参加したハリウッドスターの様子を収めたドキュメンタリー作品です。

ステージに立ったのは、ブルース・スプリングスティーンとEストリート・バンド、
ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズ、パール・ジャムのエディ・ヴェダー、
俳優のアダム・サンドラーと作曲家のポール・シェイファー、
ボン・ジョヴィ、エリック・クラプトン、ザ・ローリング・ストーンズ、
ザ・フー、ビリー・ジョエル、コールドプレイのクリス・マーティン、
R.E.M.のマイケル・スタイプ、アリシア・キーズ
そして、本作の製作総指揮者でもあるポール・マッカートニー。

トップバッターのブルース・スプリングスティーンの演奏が終わったあと、
「僕の前座がブルースだなんて」と笑わせてくれるビリー・クリスタル
能天気なアダム・サンドラーの替え歌には泣き笑い。
レッドソックスファンがニューヨークに寄付する日が来るとは」に大笑い。
『神様はバリにいる』の「つらいときこそ笑え」を思い出します。

寄付の受付はウェブと電話で。
電話に応答するのはアッと驚くハリウッドスターたち。
ベン・スティラーです」とか「ウーピー・ゴールドバーグです」とか、
電話を取った相手から名乗られたら、絶対ウソだと思いますよね。
こんなときに何を冗談言うてるねんと。冗談じゃないんです。
ジェイク・ギレンホールは気の毒に「あなたを知らない」と言われたらしく、
「じゃあ誰ならわかる?わかる人に替わるよ」と。

裏方の話で面白かったのは、サーバがダウンしたときのこと。
契約時に聞いていた1秒間当たりの処理件数とちがうと主催者が怒り狂うなか、
通りかかったのがグーグルの偉いさん。
この件はグーグルには何も関係ないわけですが、困り果てた主催者から相談を受け、
その偉いさんは「容量が足りないんだね?」と確認後にたった1本電話をかけます。
するとサーバ即復旧。グーグルってやっぱり凄いんだと思いました。

世界中に中継されたこのライブで、集まった復興基金は5000万ドル。
映画最後の「これを観たあなたも寄付を」というのはちょっとあざとい気がしましたが、
偽善的と言われようが、何もしないよりしたほうがいいにちがいありません。

もちろんライブ映像も素晴らしい、必見の音楽ドキュメンタリーです。

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『アゲイン 28年目の甲子園』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の19本目@西宮)

2015年01月24日 | 映画(あ行)
『アゲイン 28年目の甲子園』
監督:大森寿美男
出演:中井貴一,波瑠,和久井映見,菜々緒,柳葉敏郎,門脇麦,太賀,
   工藤阿須加,西岡徳馬,木村仁,安田顕,堀内敬子他

来年度に繰越不可分の有休消化モードに入っています。
そんなわけで、フリーパスポートの有効期限が切れる日に有休を取りました。
TOHOシネマズ西宮にて2本観ることに。その1本目。

好きな作家を問われたら、まず思い浮かぶのが重松清
好きなスポーツを聞かれたら、何が何でも野球
だから、ずいぶん前から本作の公開を楽しみにしていました。
映画の企画と小説の連載が同時進行だったそうです。

元高校球児の坂町晴彦(中井貴一)は、新聞社の総務部に勤務する46歳。
多忙を極めた記者時代に妻子に見限られて離婚、今は一人暮らしの身。
母校である川越学院は高校野球の強豪校だが、
ちょうど坂町がキャプテンを務めていた28年前、
地方大会決勝を前にして部員の不祥事が発覚、辞退を余儀なくされた過去がある。

ある日、妻の再婚相手(安田顕)が連絡を寄越す。
離婚当時はまだ幼かった一人娘の沙奈美(門脇麦)も今は大学生。
最近、沙奈美は男子大学生の部屋に入り浸っているらしく、
坂町に様子を見に行ってほしいという話だった。
そんなことを言われてもと再婚相手に憤りを感じる半面、
どうしてよいかわからぬ自分にも腹立たしさを感じる坂町。

とぼとぼと家に帰ると、見知らぬ若い女性が立っている。
彼女は戸沢美枝(波瑠)と名乗り、坂町のチームメイトだった松川典夫(太賀)の娘だという。
“マスターズ甲子園”の事務局でボランティアスタッフを務めているらしい。
今さら甲子園出場の話などしたくない坂町は彼女を追い返そうとするが、
松川が去年の震災で亡くなったこと、
遺品の中からチームメイト全員に宛てた年賀状が出てきたことを聞かされる。

坂町は当時のエースだった高橋直之(柳葉敏郎)に連絡、
高橋は美枝に会ってはくれたものの、美枝の言葉に怒り出し……。

原作は今月に入ってから読みました。
細かな台詞や情景等、原作と映画は「ぴったしパンツ」と言っていいぐらい完璧に同じです。
かなりクサイところもあるのですが、これを中井貴一と柳葉敏郎がやると、
嘘っぽくても本当っぽくなるのが凄い。はい、もちろん泣きました。

男たちには自分の過去と向き合えない事情があり、それを打破するきっかけが要る。
そのきっかけがまた別のことのきっかけにもなる。
「負け犬というのは、負けた人のことを言うのではない。
負けたことから逃げている人のことを言う」。
自分が娘に言い聞かせた言葉だということを忘れて、いつしか負け犬になっていた父親。
あらゆるシーンがじわじわ効いてきます。

泣かされる場面は数知れずですが、いちばんグッと来たのは、
門脇麦ちゃん演じる沙奈美がグローブを顔の前辺りに持ち上げてうなずくところ。
彼女はいい女優さんになりそうです。って、もうなってるか。

ちゃんと負けてから次へ進め。
胸にとどめておきたい言葉です。

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『神様はバリにいる』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の18本目@なんば)

2015年01月23日 | 映画(か行)
『神様はバリにいる』
監督:李闘士男
出演:堤真一,尾野真千子,ナオト・インティライミ,菜々緒,玉木宏他

前述の『APPLESEED ALPHA/アップルシード アルファ』とハシゴ。

『ボックス!』(2010)はとても好きだったけれど、
『幕末高校生』(2013)にそのパワーはなく、
なんとなく最近は腑抜けたイメージがある李闘士男監督。
イマイチかもしれないと思いつつ、堤真一主演ならば観に行かずにはいられません。
なんぼ関西出身だと言っても、標準語もちゃんとしゃべれる堤真一。
そんな彼が終始ベタベタの大阪弁を聞かせてくれる貴重な1本。

幼い頃から優等生だった祥子(尾野真千子)は、よい大学を出て起業。
ところがビジネスに失敗し、多額の借金を背負ってしまう。
返済の目処は一向に立たず、死に場所を求めてインドネシア・バリ島へ。
そこで日本人青年のリュウ(玉木宏)から声をかけられ、
連れて行かれた先には皆からアニキと呼ばれる日本人男性(堤真一)が。

アニキはコテコテの大阪弁でしゃべり倒し、その風貌はどう見てもヤクザ
どこかに売り飛ばされるのではと心配する祥子だったが、
やがてアニキはバリに数十の会社を持つ大富豪であることを知る。
祥子の借金の額を聞いて、アニキとリョウは「安っ!」と驚いてのけ、
人の気も知らないでと絶望する祥子に、金儲けのコツを教えてやると言う。
藁にもすがる思いでメモ帳片手にアニキに弟子入りする祥子。

そんなある日、日本から杉田(ナオト・インティライミ)という男がやってくる。
借金取りかと思いきや、祥子の元顧客で祥子との結婚を切望。
一緒に日本へ帰ろうという杉田の言葉に祥子の心は揺れるのだが……。

アホらしいことこのうえなし、しかし、勢いに乗せられて最後まで。
お決まりですが、笑いと涙が入りまじり。
アニキ語録はなかなか良くて、ついついうなずいてしまいます。
「ダジャレは頭の回転をよくする」、この真偽のほどは不明ですが、
「つらいときこそ笑え」、そうかもしれないと思いました。

昔、インドネシアへ行ったときのことも思い出します。
定刻に出発することはまずないガルーダ航空。
出発できない理由が、機長が寝坊して家から空港へ向かっている途中とか、
そんなことがザラですもんね。
バリ島で宿泊したのはまるでアニキの家のようなホテルでした。
杉田が不思議な顔で見る甘い甘いバリコーヒーも懐かしい思い出です。

関西人ならば、堤真一と一緒に言いましょう。
「変な大阪弁の使用、禁止!」

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『APPLESEED ALPHA/アップルシード アルファ』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の17本目@なんば)

2015年01月22日 | 映画(あ行)
『APPLESEED ALPHA/アップルシード アルファ』
監督:荒牧伸志
声の出演:小松由佳,諏訪部順一,悠木碧,高橋広樹,玄田哲章,堀勝之祐他

これもタダじゃなかったら選択肢にないであろう作品。
この間の日曜日、TOHOシネマズなんばにて。
予習が必要かと思われましたが、リブート作品とのこと。
リブートならば初見でもわかるかもしれないと期待を抱いて。
はい、正解、眠くならずに話について行けました。

第五次大戦後の荒廃した世界。
元SWAT隊員のデュナン(♀)と戦闘サイボーグのブリアレオス(♂)は、
廃墟と化したニューヨークで傭兵稼業に従事。

ある日、ニューヨークを仕切る双角の依頼によりワクチンを移送中、
邪魔が入ってワクチンを双角に届けることに失敗。
おそらく最初から双角が仕組んでいたことにちがいないのだが、
ずるがしこい双角は、負傷して動くこともままならぬブリアレオスを見ると、
医者の居場所を教えるのと引き換えに、もうひとつ仕事を片づけよと言う。

もうひとつの仕事とは、街外れで暴れているドローン(=無人戦闘機)の破壊。
デュナンとブリアレオスは医者の治療を受けた後、街外れへと向かう。
ドローンの潜む場所を確認した直後、そうとは知らずに通りかかる車。
デュナンはすぐさま車内にいる人物を助けようとする。

デュナンとブリアレオスの連携によってドローンを破壊。
車に乗っていたのはオルソンという男性とアイリスという少女。
ふたりは伝説の理想都市“オリュンポス”から来たらしく、
アイリスはある極秘任務を担っている。
“人類最後の希望”であるアイリスにその任務を全うさせるため、
デュナンとブリアレオスは手を貸すのだが……。

こうして書いてみると、やっぱりちょっとややこしい気もしますが、
何の予備知識も持たずに観はじめても、ほぼ理解できます。
話自体に目新しさは感じず、それ以外のところでいろいろビックリ。
フルCGアニメーションって凄いですね。
肌の質感、空の色合い、廃墟の寂寥感、あらゆる映像が美しい。
4DXで上映している劇場もあるとのこと、そりゃ面白いかもしれません。

フリーパスポートで初体験した作品いろいろ。
どれもまぁまぁ楽しめましたが、
『劇場版 世界一初恋 横澤隆史の場合』(2014)の楽しさを上回る作品は今回は出て来ずだったなぁ。

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『トラッシュ! この街が輝く日まで』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の16本目@梅田)

2015年01月21日 | 映画(た行)
『トラッシュ! この街が輝く日まで』(原題:Trash)
監督:スティーヴン・ダルドリー
出演:マーティン・シーン,ルーニー・マーラ,ヒクソン・テヴェス,エドゥアルド・ルイス,
   ガブリエル・ワインスタイン,ワグネル・モウラ,セルトン・メロ他

前述の『シン・シティ 復讐の女神』とハシゴ。
これもやっぱりTOHOシネマズ梅田にて。

スティーヴン・ダルドリー監督は、デビュー作の『リトル・ダンサー』(2000)で大成功。
『めぐりあう時間たち』(2002)と『愛を読むひと』(2008)も高評価を博し、
デビュー作から3作続けてアカデミー賞監督賞にノミネートされるという快挙を成し遂げました。
4作目の『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(2011)もやはり評判よく、
しかし、この4作目に関しては、私は「なんだかなぁ」の印象も。
期待しすぎたのが駄目だったのかなと思い、本作にはあまり期待を持たずに劇場へ。

ところがところが。めっちゃよかったです、これ。
脚本がリチャード・カーティス、この人にハズレなし。
『アバウト・タイム 愛おしい時間について』(2013)がまだ記憶に新しいですが、
これからも「脚本、リチャード・カーティス」は絶対に外せません。

原作はアンディ・ムリガンの児童文学。
実話だったらいいのにと思いたくなるような本作は、
原作で架空の国だった舞台をブラジルに移して映画化しています。

リオデジャネイロ郊外のゴミ山でゴミの仕分けをしてわずかな金を稼ぐ人びと。
少年ラファエル、ガルド、ラットの3人もそんな日々を送っている。

ある日、ラファエルがゴミ山の中に財布を見つける。
300レアル(≒15,000円)ほどの現金を頂戴してガルドと山分け。
ガルドはとっとと財布を捨てようと言うが、
ラファエルはなぜか気になって財布を捨てることができない。

やがて警察が現れて、大事な財布を探していると言う。
見つけた者には懸賞金も出るらしい。
ただならぬことが起きているようだと感じるラファエルとガルド。

現金以外の中身といえば、所有者とおぼしき男ジョゼ・アンジェロの身分証、それにどこかの鍵。
ラファエルとガルドはこれがいったい何なのか見当もつかず、情報通のラットに協力を求める。

ラットはすぐさま駅のコインロッカーの鍵だと気づく。
3人でそこへ向かい、ロッカーを開けてみるとそこには1通の手紙が。
調べていくうちに、政治家が絡む大きな秘密が潜んでいると知る3人。

悪徳警官に命を狙われながらも、アメリカ人神父のジュリアード(マーティン・シーン)と、
地区のボランティアスタッフの女性オリヴィア(ルーニー・マーラ)の助けを得て、
真相へと近づいてゆくラファエルたちだったが……。

脳天を直撃されたような衝撃を受けた『シティ・オブ・ゴッド』(2002)。
ちょっと似た空気を感じると思ったら、その『シティ・オブ・ゴッド』の監督、
フェルナンド・メイレレスが製作総指揮に当たっています。
あのとき、ブラジルという国のなんと恐ろしいことよと思いましたが、
本作のほうがユーモラスに描かれているとはいえ、
実際にありそうなところが本当に恐ろしい。

貧乏人のことをゴミとしか思っていない金持ちと警官。
ラファエルが財布を拾ったにちがいないと知ると、
子どもであっても平気で拉致して拷問で吐かせようとします。
ジュリアードもオリヴィアも、そんな現地の警官のことがわかっているから、
関わらないほうがいいとラファエルらに忠告しますが、
そのときに、なぜそこまでするのかとオリヴィアから問われたラファエルがきっぱり。
「正しいことをしたいから」。

少年たちの謎解きに目を見張り、スリリングな展開に息を呑む。
正しいことを成し遂げて、気分爽快なエンディング。
こんな映画をまた観たい。

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