夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

年間予約席、来季も契約しました。

2015年12月21日 | ほぼ非映画(その他)
阪神甲子園球場の年間予約席を来季も契約しました。

今季まで10年以上にわたり、知人のIさんと共同で2席を継続購入。
20年前、Iさんは私のダンナが勤める会社の先輩で、
ライトスタンドに陣取る某応援団のメンバーでした。
球場前でばったりお会いし、野球にはほとんど興味のないダンナが
「なんやおまえ阪神ファンやったんかいな」とIさんから尋ねられ、
「いえ、僕じゃなくて嫁さんが」と答えたのがきっかけで、
私はライトスタンドの一角に呼んでもらえるようになりました。
以後ダンナはIさんにものすごく可愛がってもらい、
同僚からは「いったいどないしたらあの人にそんなに面倒みてもらえるねん」
と、不思議がられたそうです。

そんなIさんが脳梗塞を起こして入院。
甲子園でまた阪神を応援したい一念でリハビリに励み、なんとか歩けるように。
ただ、背もたれもなく出入りしにくいライトスタンドで観戦するのはもう無理。
年間予約席を一緒に買わないかとお声がかかりました。

庶民の分際で手を出していいものかと悩みましたが、
Iさんは同じ応援団のメンバーに声をかけて断られた様子。
甲子園で観戦することが生きる希望。それを消してはあかん気がする。
それに私も同じぐらい阪神が好きなんだから。

ちなみに共同で購入するといってもIさんと一緒に観戦するわけではありません。
Iさんの奥様は高橋由伸命の巨人ファン
それもあって私たちの年間予約席は三塁側です。一塁側ベンチがよく見える席。
巨人が劣勢に陥るとIさんの奥様はとっととお帰りになるそうです。
Iさんが帰宅すると食卓には晩ごはんとして冷や奴だけ、とか。

私は私でダンナと行くことはほとんどなく、たいてい友だちと。
そんな感じで10年以上、同じ席を購入しつづけてきました。

ところが数カ月前にIさんから連絡があり、
体調のこともあって来季は契約を更新しないことに決めましたとのこと。
さまざまな手続きはIさんがしてくださっていたので、Iさん名義。
建前としては名義変更はできないことになっていて、
Iさんは「もう同じ席は買えないから手放すことになります」と。

同じ席を買えないのなら意味はないから、今季で終わりにしようかと思いました。
私はわりとあっさりしていた(と思う)のですが、
予想外にダンナが「ほんまにもうやめるのん?」。
一緒に観戦していた友人も「え~っ!?」。みんなの反応が強すぎる。
で、考え直しました。

年間予約席の資料を請求し、申し込むさいに手書きの手紙を同封。
「Iさんと共同で○○シートの○段○番を購入しつづけてきた者です。
Iさんが今季は契約しないとのこと、名義変更不可なので、
新規契約の形を取るよりほかなく、申し込む次第です」と。

きっと事務的に処理されるだろうとあきらめていました。
でも、手紙を同封しても駄目だったならば仕方ない。
そうしたら、年間予約席係からすぐに電話がかかってきたのです。
「同じ席をご用意します」。

いや~、めちゃめちゃ嬉しかったです。
年間予約席だからといって値引きもしない大名商売をする球団なのに、
これにちゃんと対応してくれるとは。捨てたもんじゃありません。

Iさんに連絡したら驚き喜び。本当は席を手放すことにすごく未練があったそうです。
行きたい試合なんぼでも行ってくださいとお伝えしました。

かくして来季も阪神タイガースを応援するのでした。

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『劇場版 女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』

2015年12月20日 | 映画(か行)
『劇場版 女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』
監督:白石和彌
出演:みさこ,蒼波純,久間田琳加,吉田凜音,中山莉子他

タイトルのインパクトが大きくて気になっていた作品。
ナナゲイか元町映画館で観ようかと画策したけれど、
その数日後にはDVDレンタル開始になると知って取りやめ。
TSUTAYA DISCASでレンタルしました。

こんなタイトルで女子中学生を撮る監督は軟派なんだろうと思っていたら、
なんと『凶悪』(2013)の監督ではないですか。

全12話を配信する形で放映していたものを、前編・後編として劇場公開。
サブタイトルとして前編は「入る?」、後編は「出る?」。
トイレが舞台というと、私が思い出すのは『チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室』(2008)。
しかしトイレだけが舞台だというのは世界初だそうです。斬新(笑)。

栃木県の桃山女子学院中等部。
26歳の地味な清掃員・れんげ(みさこ)はバンドで活躍する日を夢見るドラマー
しかし、昔、鏡を覗き込んでいるときにからかわれたのがトラウマとなり、
鏡を見ることができず、したがって化粧をすることもできない。

毎日トイレを清掃していると、耳に入るガールズトーク。
口を挟まずにいられなくなり、ついでに彼女たちに向けて歌ってしまうが、
「何この変なオバサン」呼ばわり。

そんなトイレのいちばん奥の個室がずっと閉じたまま。
いったい誰がこもっているのかと思ったら、
美術の類い稀な才能を持つのにコミュニケーション障害の生徒・大川さん(蒼波純)。
彼女はなぜかれんげには心を開き、文化祭でコラボしたいと言う。
ドラムに乗せたライブアートははたしてできるのか。

前後編合わせると130分超えで長いよと思っていましたが、
アホらしくも可笑しくて止まらない。
れんげ役はバンド“神聖かまってちゃん”と“バンドじゃないもん!”のドラマー・みさこで、
演技が上手いとはいえないのに、いるだけで可笑しい。
彼女がドラムを叩きながらうたう歌はあまりに覚えやすく、
「全力歯ぎしりレッツゴー」に並んでキャッチー。今も頭の中をぐるぐる回っています。

オマケとして挟まれる話がとても好きでした。
ひとり教室でパンを食べる生徒。ふとしたはずみでパンが床に落ちてしまいます。
拾って食べてもいいものか、だけどその現場を誰かに見られたらどうしよう。
誰にも見られていないことを確認してパンを拾い上げ、食べようとした拍子に同級生登場。
肩を叩かれたはずみで再びパンがぽろりと床へ。
主人公よりどう見ても可愛い同級生が「わぁ、美味しそう」と床に落ちたパンを拾ってかじりつきます。
唖然とする主人公に「あ、ごめん、食べちゃった」。
どんな些細なこともからかわれたりいじめられたりする原因になるかもしれない女子中学生。
心配には及ばなかったと知ったときの呆気にとられる表情に笑いました。
あれ、そういえばこれはトイレが舞台じゃないやんか。

教室では出せない本性、水には流せないあの秘密……。
奇抜で良し。

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『orange オレンジ』

2015年12月19日 | 映画(あ行)
『orange オレンジ』
監督:橋本光二郎
出演:土屋太鳳,山崎賢人,竜星涼,山崎紘菜,桜田通,清水くるみ,
   鶴見辰吾,真野恵里菜,森口瑤子,草村礼子他

ほぼ同時期に予告編が流れていた『レインツリーの国』と『orange オレンジ』。
前者は予告編を観るたびに、私これムリ、絶対ムリ~っ!とゲンナリしていたのに対し、
後者つまり本作は観るたびに胸キュンキュン。ええ年してすみません。
どちらも青春ラブストーリーなのに、私にとって何がどうちがうというのか。

原作は高野苺の同名少女漫画。これも『別冊マーガレット』掲載作品。
好きだと思えば別マばかり。いくつになっても趣味は変わらん。
高野苺は1986(昭和61)年生まれ、若っ。B型ということに親近感が湧きます。

日曜日の朝イチに1本だけ、TOHOシネマズ伊丹にて。
まわりはほとんど女子中高生でした。

長野県松本市に暮らす16歳の高宮菜穂(土屋太鳳)、今日から高校2年生。
彼女のもとへ1通の手紙が届く。差出人は10年後の26歳の自分。
たちの悪い冗談かと思ったが、手紙に書かれているとおりのことが次々と起こる。

その日やってきた転校生・成瀬翔(山崎賢人)を菜穂は好きになる。
そして10年後の世界に翔は存在せず、1年後に死んでしまうと言うのだ。
どうか10年後にも翔がいるように、未来に後悔しなくて済むようにしてほしいと。
どう行動すれば翔の死を防げるかがその手紙には綴られていた。

引っ込み思案の菜穂だが、同級生で快活な須和弘人(竜星涼)、
茅野貴子(山崎紘菜)、萩田朔(桜田通)、村坂あずさ(清水くるみ)と仲良し。
菜穂を含む5人はすぐに翔と仲良くなる。

手紙が本物であることを確信した菜穂は、
翔のいない未来を変えようと足を踏み出すのだが……。

土屋太鳳ちゃん可愛すぎる。山崎賢人くんもイイ。
ということは単に主役コンビの顔の好みが作品の好き嫌いにも大きく作用するのかも。
が、やっぱりそれだけではないでしょう。
土屋太鳳がひたむきにがんばる姿はそれほど「がんばってるアピール」が強くない。
ただちょっと気になったのは彼女のしゃべり方。もともとこんなでしたっけ。
作った声を出しているように感じられ、普通にしゃべってくれたらいいのにと思いました。

自分が母親を死に至らしめたと思い詰めている翔。
彼の心を仲間たちが救えるか。
ベタやなぁと思うけど、ここは素直に感動しておかなければ。
何人か「泣きすぎやろ」とツッコミたくなる女子高生がいましたが、
それに混じって泣いている私のほうがたぶん可笑しい。

原作を読んでいないので、ほ~、そうだったのかと驚いたシーンも。
ビミョーなハッピーエンドも安直でなくていいですね。

ただし、死にたくなっても車の前に飛び出すのはやめましょう。
轢いてしまった人にものすごい重荷を背負わせることになるから。
それはみんなで分けて持てないから。

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『4/猫 ねこぶんのよん』

2015年12月18日 | 映画(な行)
『4/猫 ねこぶんのよん』
監督:上田慎一郎,早坂亮輔,浅沼直也,中泉裕矢
出演:三浦誠己,木南晴夏,柴田杏花,長谷川朝晴,高橋奈々,
   山田キヌヲ,栞那,朝倉あき,山中崇,熊澤枝里子他

朝イチで『わたしはマララ』を観て、昼間はあっちこっちへ。
福島で晩ごはんを食べる前に、シネ・リーブル梅田で本作を。

4人の若手クリエイターによる短編オムニバス。
「一匹の猫が住みつく、とある駅を利用する市井の人々を描く」というテーマで競作。
犬よりも猫派の私ですが、このごろ犬がらみの作品ばかり公開され、
やっと猫が見られるということで足を運びました。

第1話(ねこぶんのいち)、「猫まんま」(監督:上田慎一郎)。
ラブラブカップルとして漫才コンビを組む笑太(三浦誠己)と美帆子(木南晴夏)。
人気上々、全国進出のチャンスが巡ってきたというのに、解散したいと美帆子が言う。
そんな折り、疎遠だった笑太の父親の訃報が届き……。

第2話(ねこぶんのに)、「ひかりと嘘のはなし」(監督:早坂亮輔)。
SF好きの女子中学生・ひかり(柴田杏花)は、ある日おもしろ半分に、
「私は未来から来たあなたの娘です」という嘘のメールを他人に送ってみる。
返信してきたのはネタに困っていた作家(長谷川朝晴)で、ひかりの嘘に乗ったふりをして……。

第3話(ねこぶんのさん)、「一円の神様」(監督:浅沼直也)。
スリで生計を立てる母親(山田キヌヲ)と幼い娘(栞那)。
いつか普通の暮らしができることを夢見て間借り生活。
行く先々でスリを繰り返し、顔が知られそうになるとまた次の土地へ。
貧窮のなかにも笑いが絶えず、母娘の絆は強まってゆくのだが……。

第4話(ねこぶんのよん)、「ホテル菜の花」(監督:中泉裕矢)。
秩父の山奥、まるで民宿のようなたたずまいのホテル。
ろくに客が来なくて休業中のこのホテルに女性客(熊澤枝里子)がやってくる。
オーナーの織田(山中崇)は困惑するが、ホテルに住み着いている男3人が大はりきり。
ワケありな様子の女性客もいつしか心がほぐれて……。

猫の映画だと思っていたけれど、猫はほとんど出てきません。(^^;
その辺をうろうろしているのがちらほら映る程度。
思ったよりも猫の出番少なく、寂しかったのは事実ですが、
こんなテーマで4人4様の作品を観ることができて満足。

個人的に好きだった順に挙げるなら、いち、に、よん、さん。

第1話の三浦誠己はどうしてこんなに完璧な関西弁を喋れるのかと思ったら、
和歌山出身だったのですね。
解散を決めたコンビの最後の漫才、泣かされました。

第2話は、もしかしてこのふたり……と想像を膨らませられるところが好きでした。
第3話は暗すぎて、救いがあるようなないような。
第4話はわりとありがちな話に思えますが、菜の花畑に癒やされて。

どれもそれぞれに良さがあり、監督たちのこれからの動きに注目したいです。

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『わたしはマララ』

2015年12月17日 | 映画(わ行)
『わたしはマララ』(原題:He Named Me Malala)
監督:デイヴィス・グッゲンハイム

昼と晩に予定があり、朝と夕方に空き時間ができた日曜日、
ちょうどいい具合に私のスケジュールにはまった本作を
大阪ステーションシティシネマにて。

1997年生まれのマララ・ユスフザイさん、パキスタン人の少女。
イスラム教の二大宗派のひとつ、スンニ派の家庭に誕生。
地元で女子学校を経営する父親は、彼女に“マララ”と名づけました。
これはパシュトゥーン人の英雄で、自らを犠牲にして戦いに挑んだ女性“マラライ”にちなんだもの。
殺されてしまった女性の名前を娘につけるなんてと非難を浴びもしたけれど、
父親は考えを変えなかったそうです。

2007年、一家が暮らすスワート渓谷に、タリバンがやってきます。
当初は、ハンサムで人当たりよく、女性を思いやっているかのように見えたタリバンのメンバー。
彼が担当するラジオ番組は大人気で、毎日みんなが聴き入っていました。
これが洗脳というものなのでしょうか。

タリバンの恐怖政治が始まると、女性からは教育を受ける権利が奪われます。
そればかりか、女性への教育を推進しただけで命が狙われるように。
わずか11歳だったマララさんはタリバンの活動を真っ向から批判。
女性が教育を受ける必要性を世界各地で訴えつづけてきました。

2012年、彼女が乗っていたスクールバスが銃撃を受け、瀕死の状態に。
誰もが彼女の死を覚悟するなか生還。銃撃前と変わらず活動。
2014年、史上最年少の17歳でノーベル平和賞を受賞しました。

彼女の活動の様子とともに、ティーンエイジャーの普通の女の子としての様子も描かれています。
弟ふたりが無邪気に語る「意地悪なお姉ちゃん」の話が可笑しいです。
英雄マラライやスワート渓谷を描くのに用いられたアニメーションが秀逸。

銃撃犯に1ミリたりとも憎む気持ちを持たないという彼女。
それが本当だと思えるのだから凄いです。選ばれし人。

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