◆宮本 輝・新潮文庫◆
これを読んだキッカケは
NHKBSの例の、「山田洋二監督が選ぶ~」で録画してあった
小栗康平監督の【泥の河】を観たからなんです
この映画は前から見てみたかったし
原作も読んでみたかったけど
なぜだかずっと、忘れてしまっていた
このたび映画をジックリと鑑賞してみて
なるほど、数々の賞をとった意味がようやくわかった
なんてレベルの高い作品なんだと、素人のアタシですら唸った
でも、父親の晋平の行動で詳しく説明がない部分があったので
気になって「原作」も読んでみる気になったのだが
これは「映画」のほうで、「肉付け」したエピソードらしい
原作は、もっとアッサリと普通の「家庭像」になっていた
もしかしたら、この本に一緒に収録されていた他の作品である
「蛍川」の設定を、少し足したのかな?って思った
この映画は昭和50年代半ばの作品だけど、わざと「白黒映画」になっている
描かれているのは、戦後10年目の昭和30年、大阪の底辺の庶民の風景だ
ここには「もはや戦後ではない」というフレーズがでてくる
話が飛ぶようだが、次のキムタクドラマも同じ年代の話で
すでにCMでは、このフレーズが繰り返し放送されている
アタシは「昭和30年前後」というのに、かなり興味をもっていて
その頃につくられた映画も好きでよく観るし、本も好んで読んでしまう
S30のキーワードは「もはや戦後ではない」
この言葉は、当時の人々にとって複雑なようで
ソウダとも言えるし、フザケルナとも言えるらしい
昭和39年うまれなので、この時代のことは全く知らないし
父も母も、まだ親の庇護のもとで生きていた「こども」だった時代
つまり全く「実感のない」時代だ
しかし、映画や小説やドキュメンタリーを通して
アタシはなぜか、この「S30」という時代にもの凄く魅かれてしまうのだ
たぶん戦後10年........何かがギリギリと動き始めた頃なんだと思う
戦争で荒れ地と化した「日本人の心」に
10年たってよ~やっと
何かの「芽」が、なにくそ~と芽吹いた年だったのかもしれない
だから、魅かれるのかもしれない
現代にはないパワーだから
見習いたい
いいところだけ
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話しが逸れるかもしれませんが
この映画を観て........................
「大阪弁」を、こんなに「やさしい言葉」として聴いたのは初めてです
役者さんの台詞だから、ネイティブじゃないのかもしれないけど
関西弁って優しくてあったかくて良いなぁ~と、初めて思った
とくに子供達がよかった