現地時間の1月20日正午、ジョー・バイデン氏が第46代大統領に就任しました。
新型コロナウイルスの感染者拡大中のための参加人員制限、先日の議事堂乱入事件を受けての厳重な警戒態勢、前大統領の不参加等々、異例ずくめの就任式と紹介されていました。
しかし、寒そうな曇り空の式場に集まった人の中には、歴代大統領など私などでもなじみのある人物が何人も見受けられ、その人たちがマスク越しながら楽しげに談笑している映像を見ますと、やはりアメリカという国歌のたくましさが伝わってきました。
そして何よりも、レデイー・ガガさんが国歌を朗々と歌い上げる姿は実に感動的で、この国の未来に期待を抱かせてくれました。
バイデン大統領は、多くの課題を背負っての船出だと多くの方々が論評されておりました。
大統領の就任演説にも、米国の結束を強く呼びかけ、大統領選挙で浮き彫りにされた国民の分断を修復させることの重要性を訴えました。さらに、新型コロナウイルス対策、景気対策、人種間格差、気候変動などを重大課題として挙げておられました。
そして、私たちに関係深いものとしては、国際関係への関与、同盟関係の修復、といった表明があります。すでにパリ協定復帰への手続きは開始されましたから、「脱炭素」に関する菅首相の大見得は、後戻りできない課題としてわが国の経済運営に大きな影響を与えることになるでしょう。また、同盟関係の修復は、大いに歓迎したい表明ですが、今後の日米関係は、防衛問題、経済問題を中心に、わが国に対しても真剣な取り組みを求めてくることでしょう。
また、就任演説の中には、「民主主義がいかに貴重でもろいものかと学んだ」というくだりがありました。
ここ数ヶ月のアメリカの混乱ぶりは、まさにその感がありました。しかし、もしかすると、私たちには「混乱ぶり」と見えたものも、民主主義が民主主義であり続けるために必要な試練だったのかもしれず、単にアメリカだけの問題ではなく、民主主義の先進国家とされている国々においても、少なからず混乱があるように見えます。そうした危機に、アメリカという偉大な国家は、その対処方法をきっと示してくれるのではないでしょうか。
バイデン大統領の演説は、先の言葉に続けて、「しかし、この瞬間、民主主義は勝利したのだ」と述べられていますから、大いに期待を持って見守りたいものです。
民主主義国家とされる国は、とかく面倒なことが多く、コストがかかり、決断に時間がかかり、一握りの反対意見に右往左往しがちです。なんとも非効率で不愉快な面を多く持っているように見えます。
しかし、残念ながら、私たちは、民主主義制度を超える制度を生み出すことが出来ておりません。わが国が民主主義国家として生きていくとするならば、「この制度がいかにもろいものか」ということをしっかりと肝に銘じて、絶えず見守り、犯すものと戦うことを決意してこそ可能であることを私たちは覚悟する必要があると思うのです。
アメリカの新大統領の活躍に注目し、学ぶべきことは学びたいものだと思うのです。
( 2021.01.22 )