石破首相とトランプ大統領による第一回目の日米首脳会談が、無事終りました。
おそらく、石破首相にとっては、大成功の首脳会談だったのではないでしょうか。
トランプ大統領側から見ても、そう悪いものではなかったように思われます。トランプ大統領の胸の内や、数日後の発言や行動など、とても予測することなど出来ないのでしょうが、トランプ大統領にすれば、今は、日本に対して強引な要求を突きつけるより、日本側の努力を待つ時だと考えているような気がするのです。
と言うのも、大統領に正式就任する前からの様々な発言や、就任後の次々にサインしている大統領令などは、名指しされた国家などはもちろん、それ以外の国々から批判の声があり、国内においても相当の軋轢が伝えられています。
トランプ大統領の真意がどの程度のものなのか、多くの人が戸惑いながらも対応策を練っており、「話半分」だとしても、実現させていくのは簡単なことではないはずです。
その点わが国は、国家間の関係としはとても安定していると考えられます。もちろん、貿易の不均衡は米国にとって気に入らないでしょうし、防衛力の増強や、米軍基地の問題など課題は少なくないとしても、トランプ大統領としては、喫緊の課題が山積している中、日本との課題は一息ついた後でも良いと考えているのかもしれません。
今回の首脳会談は、顔見せというわけではないでしょうが、石破首相に対するリップサービスが過ぎたのではないかと感じるほどでした。まさか、褒め殺しというわけではないでしょうが、石破首相がトランプ大統領が望んでいるであろう方向に向けて努力しようとしていると感じたのではないでしょうか。
第二次世界大戦で惨敗してから八十年。
敗戦直後、わが国は、米国の占領政策のもとで苦しい時を過ごしました。戦争を生き延びながら、飢餓に倒れ、疾病に倒れた人も多く、屈辱的な経験を強いられた人も少なくないはずです。そうした実体験を見聞きした人も少なくなってきました。
日米関係については、様々な考え方や評価があるのは当然です。特に、東西冷戦が厳しかった頃などは、国会においても、市民社会においても、政治的な対立が目立ち、その背景に日米関係の在り方に対する意見の対立があったように思います。
しかし、結果として、現在のわが国にとって、二国間の関係としては、日米関係が最も重要なことは多くが認めるところではないでしょうか。
経済や技術交流など重要な分野は多方面に及びますが、やはり、防衛面においては、昨今の国際状況を勘案すれば、極めて重要です。しかも、この面では一方的と言うほどわが国が頼るというのが実体でしょう。
地球儀を見ますと、わが国は、特異な位置に存在しているものだと思ってしまいます。
どの辺りを世界の中心として考えるかによって変ってきますが、ユーラシア大陸の東端の、しかも海を隔てた島国として存在しています。そのため、古来より大陸や南方の諸国の影響を受けながらも、独特の文化を育ててきているように思われます。
さらに、現時点で言えば、そのわが国が、太平洋を隔てた米国と、防衛面で強いつながりを持っているという事実は、実に不思議な気がします。
国家の品格を何をもって評価するかとなりますと、なかなか難しいことになりますが、国家の存亡ということになりますと、防衛面を無視することは出来ません。その事が軍事力強化と直結させることは危険ですし、経済力強化、外交力、文化交流など多面的にレベルを向上させることが必要なのでしょうが、すべての国が同じように考えるかどうか・・・、考えは、堂々巡りをしてしまいます。
ただ確かなことは、現在のわが国にとっては、日米関係はとても重要だということだと思います。石破首相、ご苦労様でございました。