雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

米大統領選の行方

2024-02-25 19:11:56 | 日々これ好日

      『 米大統領選の行方 』

    米大統領選 共和党の候補指名争いは
    ヘイリーさんの地元でも トランプ元大統領が勝利し
    圧倒的な強さが 続いている
    一方 民主党は バイデン大統領の対抗馬がいない状態だが
    トランプ氏には訴訟の壁 バイデン氏に健康面の壁があるようだ
    別の候補者の名前も ちらほら聞こえてくるが さて・・
    他国の事ながら 大いに関心がある

                       ☆☆☆ 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

道長と倫子 ・ 望月の宴 ( 103 )

2024-02-25 08:00:03 | 望月の宴 ③

      『 道長と倫子 ・ 望月の宴 ( 103 ) 』


寛弘五年( 1008 )になった。
一夜のうちに峯の霞も立ち変って、すべてが行く末はるかに穏やかな空の様子であるが、京極殿(土御門邸の別称)においては、尚侍殿(ナイシノツカサド・道長の次女妍子)と申し上げるのは中姫君でいらっしゃるが、その御方の女房や、小姫君(三女威子)の女房など、実に様々に当世風に華やかに着飾って仕えていらっしゃる。
殿の御前(道長)が尚侍殿のお部屋においでになってご覧になると、尚侍殿は十四、五歳ばかりで、たいそう可愛らしく調度類をととのえて大切にお育てになっていらっしゃる。色さまざまの御衣を幾重もお召しになられているが、御髪(ミグシ)が紅梅の織物の御衣の裾にかかっている様子は、隙間なく磨き上げているようで、御身の丈より七、八寸ばかりは余っていらっしゃるように見える。
御顔のつややかな美しさがすばらしく、気品があって愛らしくていらっしゃるが、それに加えて、華やかな雰囲気をたたえていらっしゃる。異様なまでの美しさでいらっしゃる。御前(オマエ)には、若い女房たちが七、八人ばかりお仕えしていて、いかにも気持ち良さげで誇らしげである。

また、小姫君は九つか十ばかりで、たいそう愛らしくて雛人形のようで、あちらこちらと出入りなさっているのが可愛らしい。重ね着の上に萌黄の小袿(コウチ・高貴な女性が平常着る上衣。)をお召しになって、肌のお色が雁の子のうぶ毛のようにお見受けするのは、それはただ色が白いだけであるが、この姫君はつややかな美しさが加わっていて、少納言の乳母(出自未詳)がたいそう可愛がりお守りしているのが、そばから見ていても、何とうらやましいことだと思われる。

いと姫君(嬉子。道長と倫子の間の四番目の女子。)は、二つ三つばかりでいらっしゃるので、殿の御前が御戴餅(イタダキモチイ・正月に幼児の頭に餅を戴かせて前途を祝う行事)の儀式をなさろうとされたところ、「まだ晴れ着を召していませんので、しばらくお待ちを」と、殿の上(道長の正妻倫子)が仰せられる。
こうした姫君方の御有様をやさしくご覧になっていて、すぐに御部屋から出ようとなさらない。参内が遅くなっていて、宮中からの御使者がしきりに訪れる。上達部や殿上人が大勢参られて、そのまま殿のお供をして宮中に参られるおつもりである。

殿のご出立の間際に、参内のための束帯姿で、いと姫君の御戴餅の儀をおさせ申し上げられる。御乳母の小式部の君が、たいそう若々しいお姿で姫君をお抱きになって殿の前に向かわれる様子は、並々ならぬ晴れやかさである。

殿の上は、このように君達(キンダチ・ここでは子供たちの意。男二人、女四人を儲けている。)をたくさんお持ちでいらっしゃるが、今のお姿は二十歳ばかりにお見えである(倫子はこの時四十五歳。)。小柄で品がありふっくらとなさっていて、たいそう愛らしい御容姿であられて、御髪の筋もすっきりと清らかで、御袿(ウチキ・貴族女性の常用着。ここでは、唐衣や袴を付けず、袿を重ね着した日常の姿。)の裾まであり、先を細くなさっている。
白い御衣を数が分らないほどお召しになって、御脇息に寄り掛かっていらっしゃる姿は、たいそうすばらしくお見えになり、中宮(長女の彰子)の御有様と比べても、それぞれにすばらしくお見えになる。

御前にお仕えする女房たちも、にこやかにご覧になられているが、殿の上は、紫檀の御数珠の小さい物を、小さく唱えてておられる御念仏にそれとなく合わせてつまぐられ、御脇息に寄り掛かっているご様子が、何とも言いようがなくすばらしくお見えになるので、殿の御前(道長)は、姫君をお抱きになっている御乳母の君に、「見てごらん。あの母君の御有様をどのように拝見なさるかな。姫君(彰子たちを指している)たちの御有様と比べても、そうそう劣らぬほど若々しいではないか。なによりも御髪の見事さよ」と、たいそう満足そうに微笑まれ、お目を向けていらっしゃるのも、御乳母の君は、実にすばらしいと感じ入っている。
小姫君があちらこちらと目まぐるしく動かれているので、「なんとまあ、あわただしいことよ」とお止めようとされる。

このようにして、ようやく殿の御前はお出ましになるが、「すっかり日が高くなってしまった」と仰せになり、急がせなさるので、そのまま大勢の殿方の御車を引き連れて参内なさる。    

     ☆   ☆   ☆ 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする