雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

暑さ寒さも彼岸まで ・ 小さな小さな物語 ( 950 )

2017-04-22 09:01:34 | 小さな小さな物語 第十六部
本日三月十七日は、「彼岸の入り」にあたります。
「暑さ寒さも彼岸まで」といわれますが、ぼつぼつ寒さとお別れする頃になって来たのでしょうか。もっとも、東西ばかりでなく南北にも広がっているわが国の気候は、例えば、沖縄と北海道では大きな違いがありますし、私が住んでいる兵庫県の中だけでも、南部と北部には大きな差があって、むしろ、春の彼岸の頃はその差が目立つような気がします。
しかし、そういう現実があるとしても、「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉は、個人的にはとても好きな言葉です。

お彼岸は、ご承知のように春と秋にありますが、春分の日と秋分の日をそれぞれ中心に、前後三日間を指します。
従って、今年の春の彼岸は、本日十七日が「彼岸の入り」で、二十日の春分の日が「彼岸の中日」となり、二十三日が「彼岸明け」の日となります。
この期間には、多くの人がお墓参りなどをするようで、お盆と並ぶ先祖供養の重要な日のようです。
もっとも、それらは仏教に由来する部分が大きいですから、宗教によっては違う捉えられ方をされているのかもしれません。ただ、仏教といっても、彼岸を先祖供養の重要な日と位置付けしているのは、仏教国とされる他国ではあまりないようですから、仏教だけでなく太陽崇拝なども入り混じったわが国独自の風習ともいえそうです。

「彼岸」というのは向こう岸を指していて、「此岸(シガン)」に対する言葉です。
「此岸」は、私たちが住んでいる迷いや妬みなど煩悩に満ち満ちた場所を指し、遥かなる川(いわゆる三途の川とは違う)を渡り切った先にある悟りの世界を「彼岸」とされているようです。
また、俗説だと思うのですが、彼岸が七日間設定されているのは、その中日は先祖供養に当てる日であり、残りの六日間は、悟りの境地に達するのに必要な六つの要素である「六波羅蜜」を一日に一要素ずつ修業する日だとも言われています。

もちろん、「六波羅蜜」が何かと聞かれましても説明する知識は持ち合わせてはいないのですが、いくら意味深いお彼岸の七日間だとしても、その間の修行程度で身に付くほど簡単な事ではないだろうことだけは分かります。
それでも、今日からの七日間を、たとえ毎日ではなくほんの一瞬の間だけでも、ご先祖のことを想い、彼の地である「彼岸」について考えてみるのも良いのではないでしょうか。
「暑さ寒さも彼岸まで」というように、一日一日昼間の時間が長くなっていき暖かくなっていくことは確かな事でしょう。同時に、この言葉には、辛い事もいつかは終わるという意味合いも持っているようで、こちらも味わい深いものだと思うのです。

( 2017.03.17 )

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ライオンの如く ・ 小さな... | トップ | 大統領罷免 ・ 小さな小さ... »

コメントを投稿

小さな小さな物語 第十六部」カテゴリの最新記事