雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

つま先立ちは続かない ・ ちょっぴり『老子』 ( 29 )

2015-06-19 14:38:46 | ちょっぴり『老子』
         ちょっぴり『老子』 ( 29 )

               『 つま先立ちは続かない 』

背伸びも必要でしょうが


「 [足支]者不立、跨者不行。自見者不明、自是者不彰。自伐者無功、自矜者不長。其於道也、曰餘食贅行。物或悪之。故有道者不處也。 」
『老子』第二十四章の全文です。なお、最初の[足支]は、これで一文字なのですが、パソコンで文字を見つけられなかったのでお許しください。
読みは、「 つまだつ者は立たず、跨(マタ)ぐ者は行かず。自ら見(アラ)わす者は明らかならず、自ら是とする者は彰(アキラ)かならず。自ら伐(ホコ)る者は功無く、自ら矜(ホコ)る者は長とされず。其の道に於けるや、餘食贅行(ヨシゼイコウ)という。物は或(ツネ)に之を悪(ニク)む。故に有道者は處(オ)らず。」
文意は、「 つま先立ちする者は長く立っていることはできないし、大またで歩く者は遠くまではいけない。自分から見せようとする者は人々に明らかに知られることはなく、自ら自分を良しとする者はその良さは人々に認められない。自ら誇る者はその功績は認められず、自らその才能を誇る者は人々の長とされることがない。このような無理なやり方は、無駄で余計なものである。すべてのものがそのようなことを嫌悪する。従って、有道者は決してそのような所に身を置かない。 」

つま先だっていては、いつかは疲れてしまいます。それは分かっているのですが、束の間の実力以上の景色を見たいがために、私たちはついつい背伸びをしてしまいます。
それに、背伸びすることが、成長していく一助になるような気もするのですが、『老子』はそのような生き方を戒めています。

良い格好もしてみたい

実力以上に見栄を張っている人を見ると滑稽ですし、時には気の毒な気持ちにさえなることがあります。
しかし、自分では気が付いていないだけで、案外自分自身も似たような行動をとっているかもしれません。あまり親しくない人の集まりに出ると疲れを感じることがありますが、その理由の一つは、無意志のうちに、あるいは意識的に、つま先立ちし、大またで歩いているからかもしれません。

この章の『老子』の教えは、『道』を極めた人を対象にしているのと思われ、凡人としては、ルート3ではないですが、「ヒトナミニ、オゴレヤオナゴ」と良い格好をしてみることも必要な気もします。
ただ、行き過ぎた見栄っ張りはやはり嫌われるようです。

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