半年前の6月19日ことだ。
虫送り取材に訪れた宇陀市室生下笠間に入店したお店にカケダイと巡り会った。
カケダイは干したもの。
腹合わせした2尾の干し鯛は太い藁をエラから口に通して吊っていた。
その姿は同地に住むⅠ家で拝見したことがある。
写真を見れば腹合わせというよりも口合わせのように見えるカケダイに驚いたものだった。
ダイコクサン(大黒さん)、エビスサン(恵比須さん)の神棚に供えていた民家のカケダイと同じように吊っていた。
6月に店主から伺っていたのはこのカケダイは手造りであることだ。
12月になれば寒くなる。
尤も今年はすでに何度かの木枯らしがやってきた。
やってきたものの天気は良くなったり雨が降ったりであった。
そんな日々であるが、もしやと思って訪問した。
お店におられたのは店主の奥さん。
話しによればたった今、出かけたという。
なにかと忙しい店主のようだが、今年はベランダで干していると云われたので、ご無理を云って上がらせてもらった。
なんも掃除をしていないのでと申し訳なさそうに話されるが、ありのままの状態が民俗そのもの。
それで良いのである。
ベランダは古くもなくどちらかと云えば最近の造り。
ベランダ床も家壁も真新しい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/d1/0e2cff48899ceb4ff510ecfb82832b45.jpg)
金属竿にナイロンロープでぶら下げたカケダイがずらりと並ぶ。
壮観な姿に思わず生唾を飲む。
これこそ民俗の姿に感動してシャッターを押す。
大小あるが、それぞれの鯛は腹合わせ。
こうして干すには事前の作業がある。
中卸しに頼んで仕入れた生鯛は腹だしをして塩漬けにする。
漬物樽に仕込んで塩漬け。
何日もかけて漬けこんだ鯛を取り出して紐で吊るす。
塩漬けした鯛は尻尾から汁を垂らす。
昨年にしたときはそれに気づくのが遅れた。
垂れた塩漬け鯛の汁が一滴、二滴。
ぽたぽたとベランダ床に落下した。
布巾でふき取ってもなかなか取れない。
汁痕は生魚の匂いが残るからなかなか取れなかった。
それまでは庭というか地面に立てた竿に吊るしていた。
垂れた汁は地面に埋もれるから痕も匂いもない。
そのつもりで仕掛けたらそういうことになった。
反省された今年は下に発泡スチロール箱を据えた。
距離があれば垂れた汁の跳ね返りが辺りに飛ぶ。
これもやっかいと考えて黒いゴミ袋を箱下に仕掛けた。
端っこを紐で括って竿に結ぶ。
こうして出来上がったカケダイの干し場。
拍手したいぐらいの方法であるが、寒風が吹かないとデキがよくないらしい。
今年の天気は実に難しいという。
2尾でワンセットのカケダイはこの場に10セットも吊るした。
購入する人は高齢者ばかり。
正月の歳神さんを迎える在り方は80歳以上でないと誰もしないだろう。
それ以下であればたぶんに関心がないだろうが、いつまで続けられるや、と云った奥さんは注文がある限りという。
注文は予めする人もおれば突然にやってきて買っていく人もあるらしい。
逆に注文されていて来なかった場合もあるという。
忘れてはったのか、それとも・・・。
家人医引き継ぐものがない高齢者であればいつしか途絶えることになるだろう。
ちなみに購入者はここ下笠間で数軒。
隣村の山添村毛原や岩屋の人も引き合いがある。
何度か訪れる民俗行事取材の際に一度聞いてみたいカケダイの風習。
ところで買っていく人によっては田植え前にカンカンに干したカケダイは塩出しして食べているという。
うちの旦那さんの誕生日に売り物のカケダイをたっぷり水に浸けて塩出し、焼いて食べたのはご主人であるという。
買ったある人が云った。
塩出ししなかっても猫は食べる。
病気になると思ったが、猫は喜んであっという間にたいらげたそうだ。
ところでカケダイを作って売っているのはこのお店だけでなく県外の三重県にあるという。
県外と云ってもここよりそれほど遠くない名張市にあるらしいが、お店はわからないようだ。
の名張市に年に一度のハマグリ売りにも店主が行っているという。
2月8日のえべっさんの日。
安くて美味しいと評判のハマグリ売りは市がたつほどの賑わい。
機会があれば出かけてみたい。
話題が尽きない下笠間のカケダイ話し。
話しが長引いて夕方5時の村内通知の鐘の音が聞こえる。
その数秒前には私の携帯電話が同時刻の合図をする。
その音は・・といえばウグイスの鳴き声。
かつて仕事をしていた関係で設定していた。
館の利用者に悟られないように設定していたウグイスは患者さんを送迎していた時間帯にも鳴いた。
昼の時間になればそのときも・・・。
車の外やろか、ウグイス、あれぇ、である。
5時の時報から少しずつ脱線してしまった。
12月に入ったこの日辺りの日の入りが一番早い時期であると天気予報士がテレビで伝えていた。
そのことを聞くまでは一番早いのは冬至の日だと思っていた。
実はそうではなかったことを知るのである。
この日の奈良市の日の入り時刻は午後4時46分。
ここ数週間はとにかく日が暮れるのが早くなったと思っていた。
自宅におれば雨戸を閉める時間が早くなるのである。
夕方5時の前。
辺りはもう真っ暗。
雨が降る日はもっと暗い印象があるから、ついつい雨戸を締めてしまう。
テレビが伝えた本日の日の入り時刻がそれを物語る。
ただ、その予報によれば11月28日から12月11日の期間がそうであるようだ。
(H28.12. 1 EOS40D撮影)
虫送り取材に訪れた宇陀市室生下笠間に入店したお店にカケダイと巡り会った。
カケダイは干したもの。
腹合わせした2尾の干し鯛は太い藁をエラから口に通して吊っていた。
その姿は同地に住むⅠ家で拝見したことがある。
写真を見れば腹合わせというよりも口合わせのように見えるカケダイに驚いたものだった。
ダイコクサン(大黒さん)、エビスサン(恵比須さん)の神棚に供えていた民家のカケダイと同じように吊っていた。
6月に店主から伺っていたのはこのカケダイは手造りであることだ。
12月になれば寒くなる。
尤も今年はすでに何度かの木枯らしがやってきた。
やってきたものの天気は良くなったり雨が降ったりであった。
そんな日々であるが、もしやと思って訪問した。
お店におられたのは店主の奥さん。
話しによればたった今、出かけたという。
なにかと忙しい店主のようだが、今年はベランダで干していると云われたので、ご無理を云って上がらせてもらった。
なんも掃除をしていないのでと申し訳なさそうに話されるが、ありのままの状態が民俗そのもの。
それで良いのである。
ベランダは古くもなくどちらかと云えば最近の造り。
ベランダ床も家壁も真新しい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/d1/0e2cff48899ceb4ff510ecfb82832b45.jpg)
金属竿にナイロンロープでぶら下げたカケダイがずらりと並ぶ。
壮観な姿に思わず生唾を飲む。
これこそ民俗の姿に感動してシャッターを押す。
大小あるが、それぞれの鯛は腹合わせ。
こうして干すには事前の作業がある。
中卸しに頼んで仕入れた生鯛は腹だしをして塩漬けにする。
漬物樽に仕込んで塩漬け。
何日もかけて漬けこんだ鯛を取り出して紐で吊るす。
塩漬けした鯛は尻尾から汁を垂らす。
昨年にしたときはそれに気づくのが遅れた。
垂れた塩漬け鯛の汁が一滴、二滴。
ぽたぽたとベランダ床に落下した。
布巾でふき取ってもなかなか取れない。
汁痕は生魚の匂いが残るからなかなか取れなかった。
それまでは庭というか地面に立てた竿に吊るしていた。
垂れた汁は地面に埋もれるから痕も匂いもない。
そのつもりで仕掛けたらそういうことになった。
反省された今年は下に発泡スチロール箱を据えた。
距離があれば垂れた汁の跳ね返りが辺りに飛ぶ。
これもやっかいと考えて黒いゴミ袋を箱下に仕掛けた。
端っこを紐で括って竿に結ぶ。
こうして出来上がったカケダイの干し場。
拍手したいぐらいの方法であるが、寒風が吹かないとデキがよくないらしい。
今年の天気は実に難しいという。
2尾でワンセットのカケダイはこの場に10セットも吊るした。
購入する人は高齢者ばかり。
正月の歳神さんを迎える在り方は80歳以上でないと誰もしないだろう。
それ以下であればたぶんに関心がないだろうが、いつまで続けられるや、と云った奥さんは注文がある限りという。
注文は予めする人もおれば突然にやってきて買っていく人もあるらしい。
逆に注文されていて来なかった場合もあるという。
忘れてはったのか、それとも・・・。
家人医引き継ぐものがない高齢者であればいつしか途絶えることになるだろう。
ちなみに購入者はここ下笠間で数軒。
隣村の山添村毛原や岩屋の人も引き合いがある。
何度か訪れる民俗行事取材の際に一度聞いてみたいカケダイの風習。
ところで買っていく人によっては田植え前にカンカンに干したカケダイは塩出しして食べているという。
うちの旦那さんの誕生日に売り物のカケダイをたっぷり水に浸けて塩出し、焼いて食べたのはご主人であるという。
買ったある人が云った。
塩出ししなかっても猫は食べる。
病気になると思ったが、猫は喜んであっという間にたいらげたそうだ。
ところでカケダイを作って売っているのはこのお店だけでなく県外の三重県にあるという。
県外と云ってもここよりそれほど遠くない名張市にあるらしいが、お店はわからないようだ。
の名張市に年に一度のハマグリ売りにも店主が行っているという。
2月8日のえべっさんの日。
安くて美味しいと評判のハマグリ売りは市がたつほどの賑わい。
機会があれば出かけてみたい。
話題が尽きない下笠間のカケダイ話し。
話しが長引いて夕方5時の村内通知の鐘の音が聞こえる。
その数秒前には私の携帯電話が同時刻の合図をする。
その音は・・といえばウグイスの鳴き声。
かつて仕事をしていた関係で設定していた。
館の利用者に悟られないように設定していたウグイスは患者さんを送迎していた時間帯にも鳴いた。
昼の時間になればそのときも・・・。
車の外やろか、ウグイス、あれぇ、である。
5時の時報から少しずつ脱線してしまった。
12月に入ったこの日辺りの日の入りが一番早い時期であると天気予報士がテレビで伝えていた。
そのことを聞くまでは一番早いのは冬至の日だと思っていた。
実はそうではなかったことを知るのである。
この日の奈良市の日の入り時刻は午後4時46分。
ここ数週間はとにかく日が暮れるのが早くなったと思っていた。
自宅におれば雨戸を閉める時間が早くなるのである。
夕方5時の前。
辺りはもう真っ暗。
雨が降る日はもっと暗い印象があるから、ついつい雨戸を締めてしまう。
テレビが伝えた本日の日の入り時刻がそれを物語る。
ただ、その予報によれば11月28日から12月11日の期間がそうであるようだ。
(H28.12. 1 EOS40D撮影)