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読書 ポール・リンゼイ「鉄槌」

2006-12-29 11:19:05 | 読書

              
 クック郡刑務所に爆弾が仕掛けられた。仕掛けたのは、クロアチア移民のコンラッド・ツィーヴェンで、彼の娘が誘拐されたがいまだに解決していない。
 FBIに問い合わせても「捜査を続けています」の繰り返しに業を煮やし、爆弾の解除と引き換えに真剣な捜査を要求する暴挙に出た。

 FBI捜査官ジャック・キンケイド、ポーカーゲームのギャンブル狂で身持ちが悪くすでに妻とも離婚している。しかも銀行の夜間金庫に罠を仕掛け、投入される現金を抜き取っていた。

 黒人の捜査官ベン・オールトンは、ガンで片足を切断しているが、こちらは真面目人間だった。
 FBIシカゴ支局長ロイ・K・ソーン、かなりやり手であるが、FBI内で政治的に巧妙な立ち回りを嫌悪していて、そこのところをうまくやればもっと上にあがれるという意見が多い。それでも実力で今の地位についていた。

 ソーンの側面援助でジャックとベンが、ツィーヴェンの娘の遺体を発見して事件を解決するが、その犯人は殺されていた。
 そして突き止めたのは元刑事のトラーベンという男だった。この男がベンの娘を誘拐してFBIを翻弄する。必死の追跡でトラーベンとジャックが死亡して一件落着を見る。

 FBIや警察も人間の集団で成り立っている以上、政治的駆け引きや助け合いもあるにせよ、その反対に足も引っ張るという人間くささも併せ持っている。
 それでも犯罪に立ち向かう姿を、元FBI捜査官だったポール・リンゼイが鮮やかな切り口で読者に提供してくれる。
コメント (1)
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