原題は「THE MARTIAN」ストレートに火星人だが、邦題の「オデッセイ」は、ネットで検索すると、「オデュッセイア」の英語名とある。古代ギリシャの長編叙事詩で、オデュセウスがトロイア戦争からの凱旋の帰途に体験した10余年の漂流をなぞってある。
NASAの宇宙飛行士6名が探査任務中に強力な砂嵐が襲ってきた。砂嵐はMAV(Mars Ascent Vehicle 直訳すると火星上昇手段)つまり帰還用ロケットを横倒しにしかねない。ルイス船長(ジェシカ・チャンスティン)が任務中止を決断した。
頑丈な居住棟からMAVへ強風の中を歩くことになる。宇宙服に身を包んだ一行は、ヘッドライトを頼りに乗降口へ急ぐ。その途中でアクシデントがマーク・ワトニー(マット・デイモン)を襲った。丸いアンテナが強風にあおられ、もろにマークに激突、マークもろとも一行から引き離した。
マークの存在不明に気がついたルイス船長が探索するが、「マーク?」の呼びかけに応答がなく残る5人の命を守るため火星離脱を余儀なくされる。
晴れ渡った茶色一色の火星で意識を回復したマーク。生きていても次の火星探査は4年後になる。食料不足を確かめたマークは、「俺は植物学者だ。なんとかするよ」。
持ち前のユーモアとルイス船長愛用のディスコ・ミュージックCDをかけて、ジャガイモ栽培に取り組む。冷蔵庫にある野菜で使えるものは、ジャガイモしかない。マークに悲壮感がないのがいい。このジャガイモの栽培過程を見るだけでも楽しい。
科学的根拠もあるらしいが、専門用語も出てきてわかりづらいところもある。「VALを破壊する」なんてサッパリ分からん。ネットでも検索できなかった。
マークをどのようにして助け出すかというのがもう一つの見所。サバイバルと救援。まだまだ未知の世界、宇宙のサバイバルという視点がよかった。
ちなみに画面に流れる1970年代のディスコ・ミュージックは、ドナ・サマーの「Hot stuff」、デイヴィッド・ボウイの「Starmann」、アバの「Waterloo」ほか全部で8曲ある。
だいたいこういう宇宙ものにはオーケストラの重々しい雰囲気が多い中、なんとも軽やかでマークが準備するシーンでは、アバの曲がまるでピクニック気分にさせてくれる。ということで気分をうきうきさせるアバの「Waterloo」をどうぞ!
劇場公開2016年2月
監督
リドリー・スコット1937年11月イギリス、サウスシールズ生まれ。
キャスト
マット・デイモン1970年10月マサチューセッツ州ケンブリッジ生まれ。本作でアカデミー主演男優賞にノミネート。
ジェシカ・チャンスティン1977年3月カリフォルニア州生まれ。2012年「ゼロ・ダーク・サーティ」でアカデミー主演女優賞にノミネート。
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