猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

「トキワ荘物語」 ⑩ 石森(当時) 章太郎

2006年12月01日 11時32分48秒 | まんがエリートのための雑誌 COM
 COM連載、「トキワ荘物語」 のご案内もあと2回を残すのみとなりました。今回は 石森(当時) 章太郎先生、次回は 手塚 治虫先生でお終いとなります。何とかつづってきましたが、あと2回宜しくお付き合い下さいませ。

 前回の最後に石森氏のは文章にするのが難しそうと愚痴ったのは、この作品が「ジュン」風の当時サイレント漫画と言われていたセリフなしの作品だからなんです。しかし、やってみるとそうでもなかった・・・。いや、ちゃんと説明できていればの話ですが。では・・・。

 表紙は、トキワ荘の2階廊下を歩く後姿の石森氏。全体に暗く陰鬱です。石森氏は今(1970年頃)の石森氏らしい。かって自分の住んでいた部屋の前に立ち、しばし何事か瞑想する石森氏。部屋のガラス戸を開けると突然蒸気機関車DC1の大きな姿が。上京したときに乗ってきたのでしょうか。

 出てきた当時のイガグリ頭、学生服の石森氏、カバンがふたつに段ボール箱が1ヶ、大きな窓に腰掛けています。
 やかんを持った石森氏が部屋から出てきます。廊下で手塚氏と寺田氏二人とすれ違っています。象徴的なコマですね。手塚氏とは確か一緒の時期にトキワ荘にいなかった。尋ねてはいますが。寺田氏とははじめのうちだけです。
 
 台所でお湯を沸かす石森氏。カンカン照りの太陽の下、熱を出して氷嚢を頭に載せて寝ている石森氏。周りには、代わりに漫画を手伝ってくれている仲間の長谷氏、赤塚氏、藤子両氏らの姿が。続いて漫画を描いたり、トイレに行く石森氏。生活を表現しているのでしょう。

 戸を開けると、又突然南京虫の大きな絵 (ぞっ) 石森氏は手榴弾を投げてます。煙の中から音符が混じって流れてきます。大きなステレオとベートーベンコンチェルト第5番のLPレコードのコマ。おびただしい漫画原稿の山、石森モグラの表紙の 「墨汁一滴」 (石森氏が入っていた同人会、東日本漫画研究会の手書き会誌) 
 石森氏の部屋で、その仲間達との会合の絵。同じく部屋の中でファンの女の子らしき二人の女の子と談笑する石森氏。
 新漫画党の仲間達との会合らしい絵。例のインチキピーナッツらしきものもちゃぶ台の上に乗っています。石森、寺田、赤塚、藤子両氏、鈴木、森安、つのだ各氏の顔が分かります。

 一転して、暗い廊下を歩く、まだ若い石森氏。上京してきたときよりは少し時間は経っているようです。部屋を開けると吹雪が吹いてくる。雪の中、ひょろひょろした木の下で凍える石森氏。不遇の時代というか、まだ売れる前の話でしょう。10円をたたみの隙間から探し出し、パンを買ってくるが、部屋の中は真っ暗です。

 次はお姉さまが亡くなった事を表現しているコマですが、暗い部屋の中でそれだけ白い骨箱を前に、ベレーを置いて一人涙をこらえる石森氏。

 廊下を仲間達がドヤドヤとトキワ荘を出て行く、石森氏は暗い廊下に一人残される。実際に石森氏は仲間のうち最後までトキワ荘に住んでいました。

真っ暗。

 現在(1970年当時)の石森氏が暗い階段を下りていく。ボロボロになり、入り口のガラス戸も割れて、取り壊しを待つばかりのトキワ荘から出て行く。まわりは既に暮れています。石森氏の顔は、何事か瞑想しているようです。

                                                        fin

 

コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする