趣味の庭園の関連で毎回参加。都市計画の関連学会ではなく気楽に楽しめる。野村さんの独自の論点で、山水画からの本歌取りのような石組へのコンセプト転換と山水画の作者の庭園は画法の転用があるというもの。
スライドが多く、関係者も多く、暇人は当方くらい。濃密な関係性のセミナー。
山水画とは写実ではなく、その地域の特徴を描いた「パノラマ」みたいなものというのは賛同する。大体、写実画はヨーロッパでも近代で、チューブ絵具が出来てから屋外早描きの印象派ができたというくらいだ。その前はアトリエで、スケッチを基に工房で制作していた。そのため微妙なグラデーションや精密なデッサンになり、いまでいうとイラストレーション作成に近い。日本画は岩絵具であり工房でしかできない。山水画(水墨画)も同じだ。
山水画には三遠があり平遠(巻物)、高遠(掛軸)、深遠(上下からのパース)があるという。遠景、中景、近景はご存じのとおり。
今回は福田寺と常栄寺と妙心寺退蔵院が事例だ。
①福田寺
滋賀の近江にある枯山水。
・秘伝書、易行道、二河白道の解釈の対比
・逆パースで後ろを大きく、手前は小さく
・手前はそえもの、中間は展開の石、奥はテーマの石だが、薄くて良い(書割)
②常栄寺
山口市にある手前石組み、奥に池、滝、昔は京都の金閣寺を模したものがあったらしい
・雪舟の本歌取り:オーバー・ハングの石、崖、荒い升目に砕けた石→シルト地形ではないのでは、阿波池田の渓谷でもオーバー・ハングは印象にない、疑問だ
・石と石の重なりで富士山を表現→金閣寺の舟遊びで変化するヴィスタに通じる
・シルトの多い土地は名石が多く、名庭が多い、砕ける地形か(注:シルトは堆積岩、青石も)
・疑問:金閣があったなら礎石でわかるのでは
③退蔵院
狩野元信の作。琴棋書画との共通性を説く
・庭は見るべき位置から見ないと鑑賞できないことスライドで解説
・書画との共通性の指摘:崖、オーバー・ハング岩、斜め岩
・大胆な仮説で庭が先で絵があと→楽しめる説、日本画ならあるのでは
とても楽しめた3時間、学芸出版のセミナーは良い( http://www.gakugei-pub.jp/ )
学芸出版では「桂離宮・修学院離宮・仙洞御所 庭守の技と心」でのP59「ムカデ山」が不明だ。図面を詳細に願いたいものだ。(今度、拝観の時に聞いてみるか)