ジュリアードというと、若くて新しい解釈のイメージがあったが、結成71年を経て、第一ヴァイオリンのマンも97年に退任、現在は若いジョセフ・リンが2011年から。曲目は無難な2曲に、現代のワーニックを挟む構成。
モーツァルト:弦楽四重奏曲 第19番「不協和音」
ワーニック:弦楽四重奏曲 第9番(日本初演)
ドビュッシー:弦楽四重奏曲
配置は、V1、V2、Ce、Vl、音がはっきりせず70年代のBoseの音を思い出す艶のなさ、中低域は響くが低域がない。前から2列目の真ん中は同じシート。隣は家族連れだが、中学生の落ち着きがない。なんで連れてくるのか、欧米なら大人の社交場だが。
永田音響設計にもムラタ・ホールの詳細はない( http://www.nagata.co.jp/sakuhin/factsheets/kyoto.pdf )Recital Hallとあるのみ。平面は6角形で木が少なく、金属と多孔の吸音が多い仕様で6角という対向面の反射を嫌ったのがありあり。6角という設計自体に難がある( http://www.kyotoconcerthall.org/pdf/hall2.pdf )
しかも下はスロープで、対向面をテンション・バーで締めているという構造は疑問。このスロープも意味がない上、疲れるというもので磯崎建築によくある不可解。
演奏は第一ヴァイオリンが頑張り、高齢の3者が補足のような感じ。まとまりが悪い。しかも梅雨であり湿気でチューニングが狂うのか調整を演奏中にも。弦もほつれたりなかなか大変。昔のジュリアードの演奏とはだいぶ違う。イメージが狂った。ワーニックは面白い。
インターミッション後、最後のドビッシーでは松脂の臭いがした。秋葉原を思い出したのは半田付けの臭いからか。
アンコールでは「どうもありがとうございます」と流暢。ベートーベンの16番3楽章を披露。これは良かった。力が抜けて、艶がやっと出る。
次の日は紀尾井町ホール、あそこの音は好きだ