都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

昨年読んだ本

2023-01-02 02:36:15 | 趣味

 昨年は 379冊読んだ。夏まで快調だったが、秋から外出が多く伸びが止まった。

 最近はミステリよりも学術書が多くなった。

・哲学・宗教・歴史など

空海「三教指帰」(さんごうしいき)藤井淳       

空海が桓武天皇への諫言としての聾瞽指帰(ろうこしいき)とその背景を分析する、学者兼浄土真宗大谷派の僧侶、佐伯氏、大伴氏とのつながり、桓武天皇(母高野新笠(たかののにいがき)和氏、百済出身帰化系との対立

 

ケンブリッジ大学・人気哲学者の「不死」の講義 スティーヴン・ケイヴ

「死のパラドックス」人は必ず死ぬ、しかし「自分の死」は受け入れられない、トランス・ヒューマニスト(超人間主義者)、「限られた人生」が持つ意味、不死のシナリオは生き残り、蘇り、霊魂、遺産、対応策は①自己への執着を減らす、共感を生む②現在に焦点を合わせる③感謝の念を持つ

 

Nさんの机で 佐伯一麦

影響を受けた作家やモノ関連の思い出や経験、高卒の電気技師から作家への道、開高健は鬱病だった、その道の一級の人は専門家でなく人生を語る(大庭みな子)、モミジバフウ(徳島)

法隆寺の謎を解く 武澤秀一     

元の法隆寺で自決した厩戸皇子(山背大兄)と持統・藤原不比等、焼失と建替え、縦配列と横配列、軸線としてのビテイコツ、インドのサーンチーの塔(半球体(亀腹に転用)、塔(五重塔の相輪など、延暦寺相輪橖(塔)、回廊)は右回りのプラダクシーナー・パタ、大神(おおみわ)神社の春分・秋分の三輪山、二上山の日の出、日の入は見たい、胎蔵界・金剛界の曼陀羅は空海で法隆寺の時代にはない

・ビジネスものでは

上流思考──「問題が起こる前」に解決する新しい問題解決の思考法       ダン・ヒース

起こった事象への対処より、起こらないようにする方策を考察し、具体事例により7つの分類と3つの障害に分け明解

世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由 荒木博行

失敗学として倒産を事例分析、単眼、単純化、ルール(Key Success Factor)の分析、シングル・ループ(変化対応や柔軟性のあるダブル・ループではない)、結局、論点の多さ×時間軸の長さを考えた戦略が勝つという指摘はまっとう

・都市計画関連では

ウォーカブルシティ入門 10のステップでつくる歩きたくなるまちなか ジェフ・スペック

交通論の基礎がわかり、歩く都市への対応も面白い、ただし、アメリカが主な事例のため相違点も感じる

早稲田古本劇場 向井透史          

早稲田向き、古書現世の主人の2010年から21年の日記、90年に父から引き継いだ頃は神保町修行の古本店が早稲田通にならび最盛期で本が足らないくらい、今は閑古鳥、コロナも、貧乏と変人、本関係の付き合い、早稲田大学との青空市など関わり

遊郭と日本人 田中優子

1607年かぶき女の追放が遊廓・遊女の発生(男性による産業化)、西鶴の好色から山東京伝の艶気(うわき)へ、茶屋が吉原のディレクター、プロデューサー、芸者はかぶきの再来、(1872年の芸娼妓解放令以降、公娼制度化し鑑札を交付)芸者は置屋・料理屋・待合、遊女は貸座敷・茶屋・遊女(遊女屋は解放令により認められず)の三業、伝統芸能は良いが、多数と交わるジェンダーの問題から遊廓は二度と出現すべきではないと主張

・海外ミステリは重い

過ちの雨が止む アレン・エスケンス      

暗い、自閉症の弟、記者として上院議員のDV記事訴訟、弁護士試験前の彼女、アル中ヤク中の母との軋轢と許し、自分の父らしい男の死と犯人、昏睡状態の娘は妹か、6百万ドルの相続を自ら諦める

ポリス・アット・ザ・ステーション エイドリアン・マッキンティ         

ボウガンによる麻薬密売人殺人は3人のBスペシャル刑事とIRAの連携、そして、警視正は逆スパイとして利用される、1988年のサーガ3部作のⅡの終わり、Ⅲもある

・国内ミステリは良品ぞろい

リバー  奥田英朗          

10年を経て援助交際の2人が川に全裸死体で発見、前の2人と同じ、3人の期間工、自己顕示欲暴力男、乖離障害の引きこもりが候補、追うのは前に娘を殺された写真館店主と引退した刑事、桐生と足利の警察と検察・警察庁のしのぎあい、結果複雑な容疑者の絡み、一気読み600P

塞王の楯 今村翔吾      

大津城を巡る、石垣の穴太衆の楯と鉄砲の国友衆の矛、楽しめる歴史の著作、人が生き生き

最後の鑑定人 岩井圭也

鑑定の手法と背負った人生、そして鑑定結果が巻き起こす効果を4つの短編に、楽しめる

文身 岩井圭也

自殺した弟が仮面作家になるシナリオで兄が無頼派文士、その謎と妻の自殺、そして長女に届く、バディへの手紙、静謐でしっとり

紙の梟  貫井徳郎          

一人殺したら死刑の日本で、さらなる犯罪誘発、粛清の自殺代わりの殺人、勘違い殺人の罪、やくざに脅される親とその娘の献身と犯罪と刺殺、本当の姿と親子の再会

コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎    笛吹太郎          

コージー・ミステリの連作、ほのぼのする、参加者の出題と推理、喫茶店の主人茶畑のまとめが良い

どちらかが彼女を殺した 東野圭吾     

加賀が出てくる、三角関係の妹殺人を疑う兄警官が男女二人のうち犯人を特定する、繰り返し殺人機会と薬袋のトリック、楽しめる

五つの季節に探偵は 逸木裕     

探偵となったみどりの冷徹な分析・実証・指摘、報告しなければうまくいく場合も詰め寄り真実を求める、連作のどれも推理が痛快

蒼海館の殺人 阿津川辰海        

家族の特質を利用、入替り殺人、心の操り、絡む伏線を第一段階、第二段階、第三段階に分け推理、洪水押し寄せる館での推理と犯人逮捕とやり返し、そして洪水の解決まで読み切る傑作(P555黒田→坂口 P380と相違 誤植)

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