都市と楽しみ

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「美食地質学」入門(巽好幸): 300年前の地殻変動と地形、岩質などが魚や植物の生態に影響、うまい酒の発酵、魚のATPまで解説、役に立つ、ブラタモリより的確

2023-04-15 02:42:05 | 趣味

 ブラタモリによく出てくる、地形と岩石などの基本となる地殻変動、地形、岩質と魚介類、植物の関係を解き明かしている。食物の知識も豊富だ。知見は:

・SiO2の含有量と密度で火山岩と深成岩が区分( https://chuugakurika.com/2019/06/18/post-4103/ 中1用 )。よく見る玄武岩は火山岩の50%、花崗岩は深成岩の70%

・日本の周りはフィリピン・北米とユーラシア・太平洋の各プレートが対峙、南海トラフと北米・ユーラシア・プレートが交わるのが富士山あたり

・300年前に日本列島ができあがり、フィリピン・プレートが北西の斜めに運動を変え、地形も変化:北側での逆断層(隆起)による山地、南側での中央構造線と横ずれ断層の発生

・フィリピン・プレートのずれは、瀬戸内海の隆起と沈降のまだら(伊予灘、燧(ひうち)灘、播磨灘、大阪湾、(上町台地)、河内平野、(生駒金剛山地)、奈良盆地、(大和山地)、上野盆地、(鈴鹿・布引山地))を形成

・瀬戸内海の瀬渡(狭小部)、灘(浅瀬:特に明石から西は「鹿の瀬」)と干満の潮位差が激流とプランクトンを生む、砂地の底質地は産卵場所(鰆、トラフグ、鱧の巣(淡路島南)

・東京湾の下にお椀の基盤岩があり千葉半島を形成

・東北地方:逆断層での出羽山地、奥羽山脈、北上山地(リアス式海岸)と火山とマグマだまりの花崗岩による溶岩の積み重なり(アイソスタシー)

・讃岐うどんは表面のでんぷんの糊化と中心のグルテンの腰(塩での変性)、300万年前に吉野川は讃岐に流れ焼尾層を形成していたが、讃岐山脈の隆起と中央構造線により現在の流れに。池田から美馬に曲がるのはフィリピン・プレートのずれ

・フィリピン海プレートでの土佐・室戸・熊野・遠州海盆(南海トラフ)と東京湾(相模徒ラフ)

・三陸海岸の津波は太平洋プレートの海溝側(東側)へ移動(50m)、隆起(10m)と西側の沈降

・伊豆半島は1,200万年前、500万年前の2回(チャートなど「付加体」や「甲府花崗岩体」)が衝突し、300万年前、北西にねじられ赤石山脈ができる。

・若狭湾・琵琶湖・伊勢湾はつながっていた、今も沈む中部沈降帯

・日本海には日本分裂の跡の大陸地殻がある

・100万年前花崗岩パルス(マグマからの形成)

 

・堅豆腐は沖縄のサンゴ礁由来土壌によるCaの多い水のため、石灰質の岩石の近く、白川、白山、五木にもあり。その他は凝固剤ににがりMgCl2やすましCaSO4を使う。崩して圧力をかけるのが木綿、入れたままが絹豆腐

・硬水は肉の煮込みに良い、沖縄など、ハワイは海溝の堆積物と玄武岩などの「混在岩」が、陸側と一体化した「付加体」でサンゴも由来のホットスポット

・醤油や日本酒は麹黴、アジアはクモノスカビ(酸性化する)

・醤油発祥の由良は「付加体」でチャート(海底沈殿の泥や微生物の死骸)のため玄武岩の鉄分があり醤油に不適、湯浅の地下水は砂・泥の地層のため醤油に好適

・関西の醤油は花崗岩(深成岩)や流紋岩(火山岩)というSiO2含有の多いエリアで鉄分が少なく、カリウムなど酵母の栄養が多い。

・関東の醤油は利根川の付替えによる水運の利便と中硬水(秩父、葛生の石灰岩由来)で発酵が進みやすい、野田と銚子で発達、昆布出汁に向かず、鰹節・味醂とともにツメ・タレ・ツユの関東食文化に

・関東ローム層は不毛、火山灰の「風塵」、小松川などは湿地で沖積土、練馬大根は土壌改良、下仁田葱は河岸段丘で肥沃な土壌

・琵琶湖に多いコアユ、コアユと鮎の交配が稚アユ

・日本酒:並行複発酵酒で世界独自

・魚のうま味:ATP→ADP→AMP→IMP(イノシン酸:うまみ)→これ以後は腐敗:HXR(イノシン)→Hx(ヒポキサンチン)

 

 なお、首都直下地震で想定されるマグニチュード7程度の地震が30年以内に発生する確率は、70%程度( https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r01/hakusho/r02/html/n1222000.html )東京の一極集中とインフラの陥穽(江戸川区などの地盤沈下地帯や地下鉄・街経由の水害、橋の強度 等)は懸念される。

 南海トラフも同程度とは備えるべきだ。

 

 読み応えがある

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