天才的、レズビアンのベルリン・フィル指揮者。パートナーはそのコンサート・マスター。素直に、マーラー5番を録音すればいいのに、なぜか新人チェリストを発掘し、エルガーのチェロ協奏曲をあわせる。(絵で言うと煌びやかなクリムトとしっとりとしたミレーを並べるようなもの)
設定がえらく不自然だが、主演のCate Blanchettが女王様の威厳をまき散らす。半面、安定剤だよりの弱い側面もある。
音楽関係の引用は多い
・マーラーの5番の4楽章 Adagietto は「ヴェニスに死す」の美少年愛
・Bernsteinもhomosexuality https://en.wikipedia.org/wiki/Leonard_Bernstein#Personal_life
・名前が出ていたM. T. Thomasも同じ(Boston SymphonyでのWinter Dreamsは愛聴)
・Elgar Cell Concertoで女性なら、個性的だったJacqueline du Pré https://en.wikipedia.org/wiki/Jacqueline_du_Pr%C3%A9 がお約束
・劇場の音質は中低音強調、超低音はカット
この中で、TARは男らしさを志向する(養子の「父」としての防衛発言、ボクシング練習、荒い運転など)、でありながら女性を感じている矛盾、持て余す才能とできない対人関係構築などの悩みがある。
最後の20分は崩壊への道と事件と復活だろうが、過程が急なため心が寄り添えない。付け足しのような感じを受けた。
キャリアの頂点で、独自の道を究めそして躓いたのは中森明菜(最近 「消えた歌姫 中森明菜」西﨑伸彦がある)を想い出す。
似た事例では、富豪寄りでキャリアが抜群というイメージを逆手に取り、ヒラリー・クリントンを嫌わせ、トランプが当選したという「憎悪」の選択とも似ている。
この映画も、Cancel Culture( https://en.wikipedia.org/wiki/Cancel_culture )の事例との評価があるが違うと感じる。
荊妻いわく5点満点で2.5、賛同する。英語が分かるのに、人間関係や名前が分かりにくいのが難点。しかし、濃密な映画であり観た後に心に引っかかる要素がある
色々歩いて9千歩、5階登る