ファシリティ・マネージメントに役立つと思い読んだが、ドイツ独自と一般的ビジネス・マネージメントが混同され、さらに悪い点の指摘に乏しい、「成果は1.5倍」というのは労働生産性(時間当たり給与ともいえる)は1.5倍だがこれは今の異常な円安の影響もある
逆に150日休め、我が国の2/3の労働時間でも成果がでる仕組みは充分に解き明かされてはいない
知見は:
・思考のために広いスペース→ドイツのプライム・オフィスは3mの天井高が多い、我が国でも日本生命丸の内ビルはじめ最近は物件が多い( https://tokyo.kashi-jimusho.com/topics/1091/ )、またオフィスの空気の質管理「建築物環境衛生管理基準」(厚生労働省)もある「ドイツ独自」とは言い難い
むしろ他のスタッフの電話や会話を聞きながら仕事を進めるスタイルや、島型対抗式のデスク・レイアウト、3坪/人の高密度が我が国の問題だ
・午前中に思考、ランチ後の散歩、午後は打合→これは参考になる
・整理整頓、物の住所を決める:探す必要のないのは大事、元に戻すのが肝要(ホームポジション、スリムアップ、アップデート)→一般的だと思うが
・連邦休暇法による3週間の休暇と3日以内病気の場合は有給の別枠→ドイツ人の旅行好きは有名、大型バスの旅行も見かける
・すべて込み込みの旅行パックのリゾートが人気「空っぽ休暇」→同じ料理や同じ場所での食事はつまらないとおもうが、一方に休暇で自己投資(P58 )とも書いてあるのと矛盾しないか(例えば3週間のうち1週間は自己研鑽のうえ、「空っぽ休暇」なら分かるが)
・他人の仕事も補完できるバックアップシステム:業務プロセスがタスクの重要度と緊急度のマトリクスで分類し文書化されマニュアル化、プロセスに従い業務をすすめる、棚卸やバックアップの仕組みをつくる→マニュアル作りに時間を取られないか、更新も手間がかかる、業務引継ぎの様式なども面倒ではないか、マニュアル通りであると創造性が伸びない恐れもある、ルーティンに近い業務なら可能だがプロジェクトなどでチームワークの形成と集中・発想・協働が必要であり休めない、実際アメリカのエリートは我が国よりも長く、質が高く、働く
・3つの教育の選択肢:大学・実践的・職業訓練のコースは独自
・8割を目指す→これは本当なのか、残りの20%が大事な場合もある、最近は我が国でも「無駄な残業の原因」として考え方を取り入れる動きがあるが
ドイツの悪い点と賛同できない点
・改札がない鉄道駅→分かりにくい、定時運行も問題、「安いから良い」という解釈は賛同しがたい
・入社して即戦力(P71):専門学校、企業トレーニング、博士課程など準備期間が就職前にあるなら、結局メンバーシップ制のOJTと変わらないのでは、またドイツでは博士号取得者が社長に多く学歴重視の傾向
・専門家の育成→指摘のとおりスター・エンジニアは変わる、基礎研究のリサーチャーに言及がないのは筆者の経験範囲外のためか
・教育のデュアル・システムと就職後のリスキリング、リカレント教育は別物である
・トップダウンで迅速な意思決定:VWのディーゼル不正問題と電気自動車へのシフトは結果失敗となっている、復活ではない( https://www.fsight.jp/articles/-/50950 )、しかも、現在も工場閉鎖とストライキなど問題が多い( https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-02/SNV4UXDWLU6800 )強権メルケルも失敗との判断もある( https://www.yomiuri.co.jp/choken/kijironko/ckworld/20220209-OYT8T50047/ )
・管理職のマネージメント特化とサーバント・リーダーシップ( https://research.lightworks.co.jp/servant-leadership#1 )→問題もある、その中の手法の一つのコーチングの方が実際的では、また特にドイツ独自とも思わない
・我が国ではフロー(その場しのぎの対応)、ドイツはストック(根本から対応)、これは賛同しがたい、製造業の「カイゼン」などシステムとして完成させるのと、他の事例を研究し真似からのシステムの「改良」は我が国の特色だ、但し「改革」に弱い面は否定できない、これはドイツも同じだと思うが
ドイツのGDPが我が国を上回ったというが円安効果もある、この2年はGDP成長がマイナスに転じている( https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/6XRYPE4D3RPOLBY6PHUCJTMP3Q-2024-10-09/#:~:text=%5B%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%AA%E3%83%B3%20%EF%BC%99%E6%97%A5%20%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%BC%5D%20%2D,%E3%81%AE%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%82%B9%E6%88%90%E9%95%B7%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%80%82 )ドイツはロシアからの安価なエネルギーを享受してきたが現在は転換点にある、電気も原子力発電のフランスから購入している( https://ieei.or.jp/2024/09/yamamoto-blog240905/ )
ドイツ銀行はじめ破綻の懸念がこの数年聞き及ぶ、金融自体に商業不動産融資などのリスクを抱えている( https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR07ERJ0X00C24A2000000/ )
ドイツで面白いのはトルコ移民がドイツで開発したドルネ・ケバブ( https://en.wikipedia.org/wiki/Doner_kebab )や、なぜかドイツのベリーニのサンバ・デ・ジャネイロ( https://www.youtube.com/watch?v=fhHKYR-v0UE )があるなど文化・移民の多様性がある
筆者の経験に基づく知見・経験が基本であり、広い検証・研究に蹉跌がある、おすすめ出来かねる