気の違ったメンドリが、自分はジャンヌダルクだと思い込んでいました。
仲間のメンドリたちは「ふんふん、そうかね」と、あしらっていました。
ところが、気の違ったメンドリはジャンヌダルクでいるのに疲れ
自分はナポレオンだと言い出しました。仲間のメンドリたちは
「それは無理だよ。ナポレオンは男だよ」と申しました。
気の違ったメンドリ曰く「誰でも気が違った瞬間から、
何者だろうと、自分がなりたい者になっていいんだよ。
私は自分がナポレオンの銅像だと思ってもいいんだよ。」
仲間のメンドリたちは、この論理を認めざるを得ませんでした。
それ以来、気の違ったメンドリは1日中鶏舎の真ん中に立って
ナポレオンの銅像になりましたとさ。
これはルイジ・マレルバの「思慮深いメンドリたち」の笑い話のひとつです。
この本は131の短い笑い話を集めたもので、登場人物?は皆メンドリです。
中性名詞のあるドイツ語訳では、中性名詞のニワトリになっていますが
原文のイタリア語には男性名詞・女性名詞しかありません。
この場合やはり「思慮深いメンドリたち」の方が、愛嬌があって良いと思います。
Wikipedia:
Luigi Malerba(英語)
上のイラストは、イタリアのエウナウディ出版社の本の表紙です。
新しいソフトでの縮小に慣れず、画像のサイズがばらばらでスンマセン
追記:「気の違った」という言葉、あまり良くないのですが、ほかに「頭のおかしい」「気のふれた」「頭の狂った」「気の狂った」など、あれこれ考えても、結局大差ないようにも思えます。「発狂したメンドリ」とか「狂気のメンドリ」と言うと、ちょっと笑い話には向かないような・・・というわけで、そのままにしておきます