みみずのしゃっくり

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仔ニャンコ・仔ワンコが新たなお家に迎えられるには、いつ頃が良いのでしょうか?
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マグリスの本

2017-06-05 | おきにいり

前回は包みだけでしたが、今回は中身です




「小宇宙」というタイトルで、トリエステに関する随筆というか短編というか、色々な短文を集めたものです。
(ミクロコスミは複数形で単数形はミクロコスモ)

著者は、友達も私も尊敬しているトリエステ大学の教授で文筆家のクラウディオ・マグリス(←ウィキ日本語記事)。

トリエステのことを思い出しながら読もうと思います。有名なカフェ「サン・マルコ」も出てきます。マグリスの行きつけのカフェで、私は「サン・マルコ」の一番奥に座るマグリスを見たことがあります(多分「指定席」なのでしょう、もちろん声をかけるなんて失礼はしませんでした)。


一昨年の暮れに同じ友達が送ってくれたマグリスの著書


タイトルの「ノン・ルオーゴ・ア・プロチェーデレ」は法律用語で、日本語では「執行猶予」に当たると思います。
中位レベルのイタリア語の本は、まあまあ読めるのですが、この本は難しかった
何よりも、特殊な単語や友達さえ知らない人名などが矢鱈出てきて閉口しました。でも著者の怒りだけは伝わってきました。
著者の怒りとは・・・
トリエステにはイタリアで唯一のユダヤ人強制収容所があったのです。加えて驚くべきことに知名度が低い・・・と言うより全く知られていません。
ドイツ本国や「併合」されたオーストリア、占領されていたポーランドなどの強制収容所に関しては多くの研究・文献・報道があります。
トリエステの強制収容所については、これまでに誰も書いていないのです。マグリスは、どうしても書かねばならないと思っていたのでしょう。


私が初めて読んだマグリスの本は「ダヌービオ」のドイツ語訳「ドナウ」で、非常に深い感銘を受けました。



ブレック、ブリガッハという2つの小川の「ドナウ水源争い」から始まって、ドナウ流域を黒海河口まで辿る大規模な叙事詩的散文です。
これが、中欧からバルカン半島という世界に私が目を開くきっかけとなりました。
冷戦体制末期に書かれたもので、東西の対立という前提条件のもとに書かれています。今は様相が違うでしょう。
但し、当時の雰囲気を伝える貴重な記録でもあります。


以前のトリエステ記事
薄暮の港
かなるぐらんで
その他略


トリエステの複雑な歴史と微妙な立ち位置から、マグリスはトリエステに特化した本を色々書いています。これはトリエステに無縁の人が読んでも面白くないだろうと思います。それでも、マグリスの本が2冊邦訳されています。

ドナウ
オーストリア文学とハプスブルク神話

いずれも第一級の名著ですが、日本語版の在庫があるかどうかは分かりません。