ウィーンは
古代ローマ時代には
ヴィンドボナと呼ばれ、
ドナウ川添いの
リメスを防衛する軍営地でした。
ウィーンから東へ電車で1時間行くと、もうひとつの軍営地
カルヌントゥムがあります。
カルヌントゥムの軍営地遺跡は考古学公園となっていますが、中で最も威容を誇るのはハイデントーアと呼ばれるアーチの遺跡です。
最新の考古学的調査から、これは
コンスタンティヌス1世が辺境のゲルマン軍との戦いに勝利した後、凱旋門として建造されたものと判明しています。
現存するアーチに本来の凱旋門の輪郭を重ねたもの
軍営地ですから土塁と防御柵がありました。考古学公園に再現されています。
古代ローマ人にとって不可欠なのは風呂とワインと円形劇場。カルヌントゥムにも円形劇場の遺跡があり、イベント会場となっています。
もう何年も前ですが、友達とカルヌントゥムへ行きました。
平日だったこともあり、誰もいませんでしたが、そこはかとなく古代ローマの息吹を感じました。
ハイデントーアのところで、ひとりのイタリア人に出会いました。何を尋ねられたか、もう忘れてしまいましたが、友達も私も一応イタリア語を話すので、何か教えてあげたのでした。その人は「Sarve」と挨拶して去っていきました。友達が「今のは古代ローマの挨拶だよ」。
今振り返ってみると、あれは、ひょっとして本当に古代ローマ人だったのではないか、などと思います。
いや、もちろん、現代のイタリア人だったに違いないのですが、何故、人っ子一人いないカルヌントゥムを歩いていたのか・・・
「サルヴェ」という挨拶は、あまり一般的ではありませんが、今でもイタリアで使われているようです。「健康を祈る」とか「無事を祈る」という意味です。
考古学博物館に展示されているライオン
アレッポの悩めるライオンを思い出しました
カルヌントゥムは今年、ユネスコ世界遺産に登録されました。最新の世界遺産なので
日本語Wikiには、まだ記載されていませんが、
ドイツ語と
英語には載っています。