ウクライナにのこる市民。欧州に避難する難民にも深刻な影響が出はじめている Photo/gettyimages
アメリカでふたたび「移民問題」が噴出し、バイデン政権と野党・共和党が激しい論争を繰り広げている。かたや欧州ではウクライナ戦争で発生した難民受け入れでドイツにふたたび陰謀論が台頭、過激派が勢いをましている。前編記事『「陰謀論」がまた・・・! 「移民」ぎらいの「排外主義者」がふたたび勢いづくヤバすぎる国の名前』に続き、アメリカとドイツの危険な兆候をレポートしていく。 【画像】「一緒にお風呂入ろ」母の再婚相手から性的虐待を受けた女性
陰謀論うずまくアメリカ
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陰謀論をもとにした政治運動「Qアノン」のTシャツを着るトランプ前大統領の支持者 Photo/gettyimages
メキシコと接する南西部国境での不法移民の拘束数は2022会計年度(2021年10月から2022年9月)に約230万人に上り、前年度より4割増加した。共和党は不法移民の増加が犯罪の温床になっているとバイデン政権を非難している。 米保守系メデイアは連日のように過激な報道を行っている。
FOXニュースのタッカー・カールソン氏は米南部国境の移民増加について「これは我が国への侵略だ。もう国境はない。かつて繁栄していた街は今は『戦争している』かのように見える」と扇情的に訴えている。 移民の増加は人種差別的な陰謀論の隆盛に大きく影響する。移民の流入に歯止めがかからない米国は今や陰謀論のメッカだと言っても過言ではない。
米国では昨年末、電力施設に対する攻撃が相次いだ。 西部ワシントン州タコマで12月25日、電力施設4カ所が破壊工作を受け、1万4000世帯が停電した。現在捜査中だが、電力施設を保有するタコマ公益事業は「FBIから12月上旬に『同社の送電網が脅威にさらされている』と警告を受けていた」ことを明らかにしている。 オレゴン州やノースカロライナ州でも同様の事件が起きている。 組織的な攻撃かどうかは不明だが、国土安全保障省は「暴力的な過激派が少なくとも2020年以降、電力施設を攻撃するという具体的な計画を立てている」と認識している。 その狙いは定かではないが、「人種間の対立を図る右翼過激派が、電力施設を攻撃して全米で恐怖心を煽り、内戦を誘発しようとしている」との指摘がある。