フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

7月1日(日) 晴れたり曇ったり

2007-07-02 03:05:14 | Weblog
  6月の長いトンネルを抜けると7月だった。7月の風景、それは梅雨の最中にあっては6月と別段変わらない。しかし7月の地平の向こうには「夏休み」が待っている(ただし8月の初旬にはオープンキャンパスと未済試験=即日採点が入っているので、本当の「夏休み」は一週間遅れる)。
  まるで7月になるのを待っていたかのように、午前中に結石が1つ排出された。小さな、星の砂のような形をした結石だった。前回(5月9日)からほぼ2ヵ月ぶりだ。一昨日あたりから背中が少々張った感じがして下腹が少しシクシクしていたので、また来たかなという予感はあった。太陽系の外縁に「オールトの雲」と呼ばれ小惑星のたまり場のようなものがあって、何かの拍子にそこから太陽に引き寄せられたものが彗星になるのだという説があるが、たぶん私の左の腎臓のどこかに結石のたまり場があって(ただしレントゲンでは確認できない)、たまに、何かの拍子に落下してくるのであろう。採取した結石は小さなビニール袋に入れ、今日の日付を記し、保管しておく。次に定期検診で病院に行くときに前回の分と一緒に持参して医師に見せるのだ。大きさにもよるが、結石1個につきポイントが1000点もらえて、検査料から引いてもらえるのだ(嘘です)。石ができることはしかたない。停留して大きくならないことが肝心なのだ。
  午後はずっと書類の山と格闘。深夜、一段落して、イザベル・コヘット監督(脚本も)の『死ぬまでにしたい10のこと』(2003年)のDVDを観る。主演は『あなたになら言える秘密のこと』のサラ・ポーリー。『トーク・トゥ・ハー』で昏睡状態のバレリーナを演じたレオノール・ワトリングも主人公の隣人のナース役で出演している。不治の病で余命数ヶ月を宣告された若い女性の物語。原題は「My Life Without Me」。素直に『私のいない私の人生』という邦題にすればよかったのに。『死ぬまでにしたい10のこと』ではまるで中谷彰宏の本のタイトルみたいじゃないか。ちなみに深夜のコーヒーショップで彼女がノートに書きとめた「死ぬまでにしたい10のこと」とは以下の通り。

  1.娘たちに毎日愛していると言う
  2.娘たちの気に入る新しいママを探す
  3.娘たちが18歳になるまで誕生日のメッセージを贈る
  4.家族でビーチに行く
  5.好きなだけお酒とタバコを楽しむ
  6.思っている事を話す
  7.夫以外の人と付きあってみる
  8.男性を夢中にさせる
  9.刑務所のパパに会う
  10.爪とヘアスタイルを変える

  したいことのリストを書き上げたときにウェイトレスがコーヒーとパイナップル・チーズケーキを運んできた。ウェイトレスは彼女に宝くじが当たったら女優のシェールにそっくりに整形してみんなを驚かすのだという話をして、「どう思う?」と尋ねた。彼女は「バカげた考えだわ」と答えてから、「冗談よ。シェールは最高」と言った。まず「思っている事を話す」はクリアーしたわけだ。結局、彼女はリストアップしたことは全部なしとげて死ぬ(死の場面はない)。映画の最後で、彼女がいなくなった後の彼女とかかわりのあった人々の日常生活(彼女のいない人生)が映し出される。そこに彼女のナレーションがかぶさる。それはまさに「彼女のいない彼女の人生」なのであった。