フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

7月15日(日) 雨のち曇り

2007-07-16 02:39:47 | Weblog
  午前中は夜来の強い雨が降りつづいていて、やっぱり合宿は中止にして正解だったと思っていたら、昼頃、雨が止んだ。あらま、これなら決行してもよかったなと思ったが、こういうのは結果論だから大して意味がない。ただ、妻がときどき書斎に顔を出しては、「雨、止んじゃったわね」と嬉しそうに言うのが、ケシカラン。昼食(冷やし中華)を食べ、少しばかり昼寝をしてから、散歩に出る。川崎の丸善へ行って買い物をし、蒲田に戻って、TSUTAYAで竹内まりやのアルバム『DENIM』と、エルマノ・オノミ、アッバス・キアロスタミ、ケン・ローチの共同監督作品『明日へのチケット』(2005年)のDVDをレンタルしてから、シャノアールで内田弘編『三木清 東亜協同体論集』(こぶし文庫)を読む。いま、この瞬間、三木清の東亜協同体論に関する文章を読んでいる人間が、一体全国に何人いるだろ。私一人ということはないとしても、五人はいないんじゃないだろうか。
  夜、「N響アワー」を視聴してから、『明日へのチケット』を観る。なにしろカンヌ映画祭のパルムドール(最高賞)を受賞したことのある3人の巨匠の共同監督作品であるから、見所満載で、満載過ぎるところがもしかしたら欠点ではないかと思えるような作品である。舞台はローマ往きの国際列車。オーストリアへの出張から帰るところの老教授が、食堂車のテーブルで、列車の切符の手配をしてくれた企業の秘書へお礼の手紙を書こうとして、彼女に初恋の少女の面影を見る(オノミ監督のパート)。兵役義務の一つとしてわがままな将軍の未亡人の身の回りの世話をする青年が、昔の自分を知っている同郷の少女と車内で遭遇し、昔の自分を取り戻す(キアロスタミ監督のパート)。スコットランドからサッカーの試合を見に来た3人の青年たちが、アルバニア難民の家族と関わり合いを持ち、自分たちが無賃乗車で警察に引き渡されることを覚悟で、自分たちの切符の1枚を彼らにプレゼントする(ローチ監督のパート)。3つの物語はほぼ独立で、雰囲気も異にするが、同じ列車の乗客であるから、それぞれの登場人物たちは車内ですれ違い、あるいは一期一会のふれあいをもつ。後味のいい作品だが、一つ気になるのは、終点で列車を降りた乗客たちの中に大学教授の姿が見えなかったことだ。あの秘書にもう一度会うためにオーストリアに引き返したのだろうか?