フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

11月7日(金) 晴れ

2008-11-08 01:24:41 | Weblog
  3限の授業(ライフストーリーの社会学)は話すべき内容がたくさんあったので、尻切れトンボにならないように、最初から飛ばし気味に話していたら、予定よりも10分ほど早く話し終えてしまった。無理に引き伸ばす必要もないのでそのまま終了。途中で切れるよりははるかによい。
  TAのI君と「メルシー」で昼食。二日連続だ。昨日はチャーシューメンだったが、今日は炒飯の大盛を注文。学生街の食堂の大盛だけにお腹一杯になった。普通でよかったかもしれない。
  5限の卒論演習はM君とT君の報告。もう一人くらいやりたかったが・・・。残りあと2回。
  6時半から「社会学年誌」の編集委員会。投稿論文の二次(最終)審査と次号の特集テーマなどの相談。「たかはし」のお弁当で夕食。
  帰りがけに生協の書店で、佐藤春夫『美しい町/西班牙犬の家』(岩波文庫)を購入。帰りの電車の中で読む。「西班牙犬の家」は愛犬を連れて近所の林の中を散歩するというエッセイ風の始まりから、しだいに幻想小説風になっていく短篇だが、西班牙(スペイン)犬というのがどういう犬かわからないままに読んでいた。帰宅して調べたら、スパニッシュ・グレーハウンド(猟犬タイプ)と、スパニッシュ・マスティフ(番犬タイプ)のどちらかだろうと思うが、小説のイメージからは前者のような気がする。

  「さて、帰りがけにもう一ぺん家の内部を見てやろうと、背のびをして窓から覗き込むと例の真黒な西班牙犬はのっそりと起き上って、さて大机の方へ歩きながら、おれのいるのには気がつかないのか、「ああ、今日は妙な奴に驚かされた。」と、人間の声で言ったような気がした。はてな、と思っていると、よく犬がするようにあくびをしたかと思うと、私の瞬きした間に、奴は五十格好の眼鏡をかけた黒服の中老人になり大机の前の椅子によりかかったまま、悠然と口にはまだ火をつけぬ煙草をくわえて、あの大形の本の一冊を開いて頁をくっているのである。ぽかぽかとほんとうに温い春の日の午後である。ひっそりとした山の雑木原のなかである。」(17-18頁)

  文中の「中老人」という言葉は現代では死語だが、私くらいの年齢の者をさす言葉のようである。そうか、中老人なんだ・・・。ちょっとしんみりする。帰宅して、筑紫哲也の死を知り、さらにしんみりする。彼は私の高校・大学の大先輩だった。

  明日は栃木県の雀宮の友人宅を訪ねて一泊する予定なので、ブログの更新はありません(たぶん)。