フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

11月9日(日) 曇り

2008-11-10 00:13:15 | Weblog
  栃木の雀宮(宇都宮の一つ手前)に単身赴任中の高校時代の友人O君を尋ねて、一泊して、帰ってきた。私の他にK君、A君、そしてO君の伴侶のNさん(彼女は週末ごとに来ているのだが)も集合し、ミニ同窓会となった。全員、バドミントン班の仲間なのだ。
  今回、上野から宇都宮線に乗るとき、私は生まれて初めて普通列車グリーン車というのを利用した(もっとも特急列車グリーン車も新婚旅行のときに一度利用したことがあるだけだ)。もちろん普通列車にグリーン車があることは知っていたが、料金はいくらなのか、どこでどうやって切符を買うのかを知らなかった。今回、O君に「宇都宮線で来るならグリーン車を利用すると快適だよ」とアドバイスされて、そうすることにしたのである。料金は、距離が50キロ以下か以上か、平日か休日か(休日の方が安い)、乗車前の購入か乗車後の購入か(乗車前の購入の方が安い)、この3項の組み合わせで決まる。今回は、50キロ以上で、休日(土曜日も)で、乗車前の購入だったので、750円だった。上野-雀宮の運賃は1890円なので(所用時間は1時間45分)、これにタクシー初乗り程度の料金を上乗せするだけでリクラインングシートに座れるならば安いといえるだろう。私はグリーン車というのはもっと高いものだと思い込んでいた。もっとも高いか安いかは感覚の問題だから、私の乗ったグリーン車の乗客が私を入れて2、3人しかいなかったのは驚くべきことではない。普通列車グリーン車は特急列車グリーン車と違って座席指定ではない。グリーン車のどの座席に座るかは自由である。私は車輌中ほどの窓際の席に座り、前の座席を回転させて向かい合わせにし、そこに靴を脱いだ足を置いた。この楽な姿勢で本を読んでいたら、1時間45分を長いと感じることなく、雀宮に着いた。この快適さは癖になりそうだ。旅行ではなく通勤で使う人が多い(それで平日料金の方が高い)というのもうなづける。普通列車グリーン車の利用法についてはこちらを参照のこと。

         

  みんなとは雀宮駅前で待ち合わせ、そのままO君とA君の車に分乗して、地元で評判の蕎麦屋に繰り出し、シーズンに入ったばかりの新蕎麦を味わった。それから日光街道をドライブし、喫茶店で一服してから、O君のアパートへ。夕食はN夫人の手料理を堪能しながら、畳部屋に車座になっておしゃべり。高校生の頃はシャイで口数の少なかったA君が一番饒舌だった。三洋電機にエンジニアとして就職し、その後、子会社の社長になって商談もこなすようになって、営業トークが身についたのだろう。今回のパナソニックによる子会社化についていろいろ話してくれた。仕事の後、とくに金曜日の夜によく映画館に行くそうで、作品の好みが私と驚くほどよく似ていた。国際協力機構(JICA)の研究所の副所長をしているK君はしばらく休んでいたチェロの練習を最近再開したという。チェロといえばTVドラマ「風のガーデン」の主人公(中井貴一)や映画「おくりびと」の主人公(本木雅弘)はチェロを弾く人である。チェロという楽器には中高年をひきつける何かがあるのだろう。高校生の頃から英語力が抜群だったが、この年齢にしてなお英語力上達への熱意と努力を維持しつづけているところが凄い。去年の4月から雀宮に単身赴任となったO君は、先月、勤続30年で3週間の休暇をもらい、N夫人と二人で四国旅行をしてきたそうで、そのときの写真を見せてもらった。とにかく二人は仲むつまじい。A君とK君と私は互いに顔を見合わせ、うらやましいというよりも、あきれかえってしまった。
  夜は、布団の数が足りないので、私はO君の寝袋(O君は登山が趣味なのだ)を借りて寝た。寝袋で寝るのは実に久しぶりであったが、案外、快適であった。しかし、東京よりも気温が低く、乾燥してもいるので、朝起きたら喉が痛かった。N夫人が朝食の支度をしてくれている間、われわれはO君に連れられて近所を散策した。東京とは空気が全然違う。何度も深呼吸がしたくなる。たぶん私には田舎暮らしはできないと思うが(本屋も喫茶店も映画館もないから)、この朝の空気は素晴らしいと思う。

         

  朝食を食べてくつろいだ後、K君と私は雀宮10時46分発の湘南新宿ライン快速に乗って帰る(もちろんグリーン車で)。私は赤羽で下車し、京浜東北線に乗り換えて蒲田まで。K君は横浜まで乗って、根岸線に乗り換えて根岸まで。帰宅してメールのチェックをすると、O君から「ありがとう」という件名のメールが写真添付で届いていた。私もさっそく私が撮った写真を添付して返礼のメールを送り、暖かい季節の再訪を約束した。

         
                改札口の向うのシルエットはO君夫妻