8時半、起床。カレー、パンの朝食。
10時前に家を出て、大学へ。定期券を3ヶ月購入する。37,390円也。
事務所に顔を出して新年の挨拶。今年もよろしくお願いします。11時から教務・事務の打ち合わせを一件。
昼食は「シャノアール」でチキンサンドとサラダとコーヒー。大学に届いていた年賀状に返信を書く。私の住所を知らない人が私に年賀状を出す場合、大学宛になるのはわかるが、毎年年賀状をやり取りしている人がわざわざ大学宛にするのがわからない。しかも、いまだに「第一文学部社会学研究室」宛であったりする。たぶん住所録の更新が行われていないのだろう。そのうち届かなくなるのではないだろうか。大学は一般の職場よりも仕事始めが遅いので、年賀状を受け取るタイミングも遅くなる。年賀状のやり取りはできれば三が日で済ませたいものだ。「自宅の方へお願いします」と返信に添え書きをする。
午後は雑用を片付けながら夜まで居残り。夕食は「早稲田軒」のワンタン麺。生協で購入した長田弘『詩の樹の下で』(みすず書房)を読みながら食べる。
しののめの木
ふだんは忘れている。しかし、絶対に失くしてはいけないという時間がある。
夜があけそめてくる少し前の、周りをつつんでいた暗い布が不意に透き通ってゆき、木のかたちをした闇だけが濃い影になってのこっている、薄明の時間。
しののめの時刻、木々たちは、まだ、葉も枝も幹もわかちがたく漆黒のかたちをしたまま、そのかたちのなかに、夜の記憶をやどしている。
夜、木々たちはとても雄弁だ。深いしじまのことばを集めて、さざめきのように話す。
夜の終わりが近づくと、木々たちは口を噤(つぐ)む。気がつくと、夜の空が遠くから藍色に変ってきていて、木々たちの枝々のずっと先に、うすぎぬのような光の織物が、うっすらとひろがっている。
夜ではなく朝でない時間のなかに、しののめの木々たちだけが、原初の時代の巨人たちのように突っ立っている。わたしたちが失くしてはいけない時間が、そこにある。
敬虔な時間がそこにある。