フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

1月9日(月) 晴れ

2012-01-10 01:24:35 | Weblog

  9時、起床。卵かけご飯の朝食。

  午後、散歩に出る。振袖姿の女性たちをチラホラ目にする。黒っぽい洋服姿の若者たちが駅前に群がっている。ああ、今日は成人の日なのだと気づく。

  そんな中、たくさんの空き缶を自転車に積んで運んでいる人がいた。たまに見る光景であるが、これほどの量の空き缶(+ベビーカー3台!)はめったに見ない。すごいバランス感覚。しばらく見惚れる。

  「金春新館」で昼食をとる。「金春」は「歓迎」「你好」と並ぶ蒲田羽付き餃子の有名店で、いくつかの店舗がある。この新館は和風の造りをしている。それもそのはずで、以前は釜飯家だったのをほぼそのまま使っているのである。その釜飯家は私の中学校時代のクラス担任だったH先生が学校を辞めて釜飯家の婿養子になって板前に転じた店だったのである。H先生が亡くなって閉店したその店に「金春」が居抜きで入ったのである。


  席に着くと、メニューと一緒にウーロン茶が運ばれてきた。水ではなく、ウーロン茶というのがいいではないか。ランチ(700円)の上海風焼きそばを注文する。けっこうなボリュームで、これに卵スープとモヤシのサラダと餃子3個が付いてくる。餃子はふっくらとしたジューシーな羽根付き餃子だった。食後のコーヒーがセルフサービスで用意されていたが、作りおきのものなので、これはパス。

  食後のコーヒーは「シャノアール」で。とても混んでいて、4人がけのテーブルに一人で座って雑誌を読んでいたら、80歳前後のおばあさんが二人、「いいですか?」と言って、相席になった。以前もここで年配のご婦人に「いいですか?」と相席を所望されたことがある。傍から見ると、紳士的な人物に見えるのだろうか。今日の二人のおばあさんは一人は温和で性格で、もう一人は意地悪婆さんみたいな感じだった。二人とも小柄で姉妹のようにも見えるが、もしかしたら同じ人間の二面だったのかもしれない。まるで『ファイト・クラブ』みたいじゃないか。

  読んでいた雑誌は『すばる』2月号。宇野常寛と國分功一郎の対談「個人と世界をつなぐもの」を読みたくて購入したのだが、期待したほど面白くなかった。『ゼロ年代の想像力』の宇野と『暇と退屈の倫理学』の國分の対談だから、もっと面白くなってよいはずなのだが、う~ん、どうしてだろう。

  対談を読み終えて、ピースの又吉の「歌う人」という小説が載っていたので、俳句だけでなくて小説も書くのか、どれどれ読んでみようかなと思ったが、あれ、文章がやけに本格派である・・・これは私の勘違いで、又吉は又吉でも、ピースの又吉は又吉直樹、こちらは又吉栄喜、1996年に「豚の報い」で芥川賞を受賞したプロの作家であった。

  帰宅して、インターネットで将棋の王将戦七番勝負第一局の棋譜速報を見る。すごい戦いになっていて、目が離せなくなった。後手の久保利明王将のごきげん中飛車に挑戦者の佐藤康光九段が超急戦を挑んで、25手目、佐藤が5六の歩を守って6八にいた玉を5七に上がった局面。よほどの素人かプロ中のプロでなければ指せない一手で、これには身体が震えるほどの感動を覚えた。後手にこれを咎める手があれば一発で終ってしまう局面である。この後も、手に汗を握る攻防が続いたが、結局、佐藤が111手で勝った。それにしても25手目「5七玉」、この一手を見ることができただけで、今日という日は満足だ。

http://mainichi.jp/enta/shougi/etc/kifu/120108.html