7時、起床。
朝食はとらず、9時に家を出て、大学へ。
10時から大学院(修士課程)の入試(面接)。その後、短い休憩を鋏ながら、2時まで会議が続く。
腹ペコである。どこで昼食を食べようかと歩いていると、「すず金」がまだやっているではないか。最近は開店前から長い行列ができ、1時過ぎには暖簾を引っ込めてしまうことが多く、しばらくこの店の鰻重を食べることができずにいた。
店に入るとカウンター席で同僚のK先生がビールを飲まれていたので、並んで座る。彼も私と同じ理由で久しぶりの「すず金」の鰻重らしく興奮気味であった。
「最近はこの店の鰻重が食べられなくて困ります」とわれわれが嘆息してみせたせいでもないだろうが、サービスで出てきた鰻の肝の佃煮。初めて食べたが、これは白いご飯がほしくなる味である。お茶漬けにしてもいいかな。K先生はビールをもう一本注文した。
久しぶりの鰻重。普通は大が先になくなるのだが、今日は女性客や老人客が多かったのだろうか、小が先になくなり、大が残っていた。これも幸運であった(さすがに肝焼きは残っていなかった)。
最初から山椒をかけることはせず、半分をタレの味だけで食べ、残りの半分を山椒をかけて食べた。どちらも美味しい。ごしそうさまでした。
食後のコーヒーは「カフェゴト―」で。
K先生が後から入ってきて、マスターや私やたまたま店に来ていた同僚のF先生に栗を配り始めた。どこかで大量に購入されたか、もらわれたようである。「栗あげ(繰り上げ)当選」とか駄洒落をいいながら配られていた。
3時に卒業生のF君が「カフェゴト―」にやってくる(待ち合わせていたのだ)。結婚式の案内状を受け取る。郵送で構わないのに律儀な男である。
結婚式を2か月後に控えて、いま、彼女と新居探しをしているところとのこと。希望の間取りを聞いたところ(不動産屋の主人か)、2DKで、個室の一つは彼女専用の部屋になるらしい。もう一つの個室は寝室であろうから、「君は個室はいらないの?」と聞いたら、「はい、とくに」と答えた。住居空間の配分にすでにして夫婦関係の力学が表現されていますな(笑)。
帰宅の途中、東京ステーションギャラリーで開催中の展覧会「月映」を観る。
100年前、田中恭吉・藤森静雄・恩地孝四郎の3人の画学生が木版画と詩の雑誌『月映(つくはえ)』を刊行した。「珠玉の小品」という言葉がふさわしい雑誌だった。
展覧会を観終わった後、ショップでカタログと、3人の木版画作品が印刷されたポストカードを3枚購入。
左から、田中恭吉「曇り日の負傷」、藤森静雄「自然と人生」、恩地孝四郎「望と怖」。持ち味は三者三様だが、いずれもモダンな作品である。
昨年の秋から、宇都宮美術館、和歌山県立近代美術館、愛知美術館と巡回して、ここが最後の展覧会となる。11月3日まで。
蒲田駅を降りると、西の空の小さな雲の断片たちが輝いていた。「月映」の後の「夕映」だ。
夕食は野菜の天ぷらとうどん。
デザートは葡萄。
日曜の夜、束の間の週末感に浸る。