7時、起床。
雨戸を開けて、なつを外に出す。
自宅の桜は満開を過ぎて、散り始めている。
花びらに混じって、茎の付け根から落ちているものがあった。
鳥が摘まんだのだろうか。まだ萎れていない。
小皿に水を張って、そこに置いてみる。
トースト、炒り卵、紅茶の朝食。
昼過ぎに家を出る。近所の専門学校の桜がそろそろ見頃を迎えている。
今日が入学式のようである。
三田線の白山に行く。昔、東洋大学で非常勤講師をしていたことがあり、何度も降りたことのなる駅であるが、そのときとは出口が違う。
今日は卒業生で句会仲間の恵美子さんと待ち合わせ、小石川植物園に行くのだ。
彼女と合流。以前、彼女はこの街に住んでいたことがある。小石川公園に行くことは彼女の提案だ。
眼鏡を新調されたようだ。普段はコンタクトをしているが、花粉の飛ぶ時期はコンタクトはつらいらしい。
お似合いですよ。
彼女は小石川植物園も、この街も大好きなのだ。歩きながら、「いいなあ、文京区」と何度も言っていた。道が広くて、民度が高いのだそうだ。「ふ~ん」と私は気のない返事をした。どうせ蒲田はゴチャゴチャしていて民度が低い(?)ですよ。
歩くこと10分ほどで小石川植物園に到着。東京大学の付属施設である。入場料は400円。
私は初めてだが、彼女は何度もここに来ている。
入ってすぐのところに大きなヒマラヤスギが何本か立っている区画がある。
「この木が好きなんです」と彼女は言って、しゃがんで写真を撮りはじめた。(今日は何度も彼女のこのポーズを目にすることになる)
彼女はこれがヒマラヤスギであることがわかっていなかったようだ。
あなた、花粉症なんでしょ?
でも、いいんです。
桜の木がたくさん植わっている広場に出た。お花見をする人たちがたくさんいる。でも、いわゆる桜の名所みたいな混み具合ではない。「草上の昼食」みたいなのどかな風景だ。
写真を撮りまくる恵美子さん。
たぶんこんなふうな写真のはずだ。
時刻は午後2時。われわれも食事にしましょう。
彼女は白山駅の近くの「フレッシュネスバーガー」でハンバーガーを2個買ってきた。「普通のハンバーガーとレタスの多いハンバーガー、どちらがいいですか? 」
私は普通のハンバーガー。
彼女はレタスたっぷりのハンバーガー。
この後、私が蒲田で買ってきたお稲荷さんを食べ、デザートに有楽町で途中下車して買ってきた「大角玉屋」のいちご豆大福(特選)を食べた。
彼女が私へのお土産を持って来てくれた。先日の句会に出した私の句を彼女が小さな書にして額装してくれたものだ。
これは嬉しい。どうもありがとう。
白梅が好きと唇うごきけり たかじ句愉咲かく
腹具合がよくなったところで再び花の写真を撮りはじめる彼女。
このくらいは普通だが・・・
だんだん没頭してくると・・・
「情熱大陸」みたいになってくる。
彼女が撮っているのはたぶんこんな感じの写真。
たぶんポイントは「生命力」ではないかと思う。彼女の書と通じるものがある。
桜から八重椿に被写体が移った。
八重椿の花は咲くと同時に腐り始める。
その刹那の美しさと無残な感じに惹かれるのだろう。
木洩れ日を浴びながら。
眼鏡を脱いで。
一輪の花の前でしゃがみ込んだ彼女。
今日撮った写真の中で私はこの一枚が一番好きだ。
大きな鈴懸の木の下で。
さらに林の奥へ。
切り株の上に立って(タバコが吸いたいらしい)。
倒木に腰かけて。
この辺りまでずっと真っ直ぐに進んできたが、ここで道が左に折れる。
見晴しのいい場所に出る。
ここからは下り坂。
大きな桜の木がある日本庭園に出る。
旧東京医学校本館(重要文化財)。
頼まれて年配のご夫婦のツーショットの写真を撮って差し上げたので、私たちの写真も撮ってもらう。写真好きの方らしく、「もっと枝の中に入って。桜の花に包まれている感じで」と注文される。一体、われわらの関係はどのように見えているのだろう。
お殿様と御庭番の女忍者(くノ一)のように見えなくもない。
本日の浮遊(林ナツミ風)。
もう一枚、本日の浮遊。
出口に近くに神社があった。
狛犬の頭の上に花が置かれていた。
また来るね。
今日浴びたスギ花粉の影響は何時間後かに出るのだろうか。大丈夫かな?
大好きな文京区の道を駅の方へ戻る。
白山通りのこの広さが好きなのだそうだ。ふ~ん(笑)。
白山駅の近くの商店街にあるカフェ「ペガサス」で一服していく。
私はレモンスカッシュを注文。彼女はレモンティーだったけ?
彼女自身はそう思っていないが、周囲からはしばしば吉田洋さんに似ていると言われる。
ハリーポッターにも似てるよね?(笑)
後日のブログで彼女はこんなふうに書いていた。
「花や木の写真を久しぶりにたくさん撮った。花を接写したり、青空を木の枝が描くのを切り取るのが好きなのは昔からである。
何年前とほとんど同じ類の写真を毎度撮っていることに気づき、私は植物の写真をあまり撮らなくなった。これ以上の発想だっていくらでもあるだろうけれど、そこを追求していく気持ちがなかったのだろう。
これは悲しく切ないことだけれど、仕方のないことだ。今回、久しぶりに、やっぱり同じような写真ばかりだったけれど、思い出のページをめくるような気持ちで写真を撮って楽しかった。
でも、再燃はしない、そんな気もした。」
彼女は神保町で三田線を降りた。私は大手町で降りて東京駅で京浜東北線に乗って家に帰った。
夕食は鱈の西京焼き、サラダ、かやくご飯、大根と揚げの味噌汁。
一昨日と昨日の松本旅行の疲れも出て、今日は早寝をした。といっても12時は廻ってましたけどね。