7時半、起床。
ホテルの東向きの窓のカーテンを開けると曇り空である(この後、だんだん晴れてくる)。
荷造りをして、朝ドラを観る。
8時45分にロビーで澤田瞳子さんと待ち合わせ、ホテルの近くの「小川珈琲」へ行く。
モーニングカフェをする。
澤田さんの新著『名残の花』(新潮社)。出版されてすぐ出版社経由でお送りいただいた。新潮社のホームページにある紹介文を引く。
「かつて蘭学や歌舞音曲を弾圧して「妖怪」と嫌われた奉行・鳥居胖庵。幽閉二十三年の末に彼が目にした江戸は「東京」へと変貌していた。西洋文化を拒む胖庵は若い能役者と出会う。能楽もまた明治に没落の道を歩んでいた――おかしな二人が遭遇するささやかな事件と謎。世に翻弄されても懸命に生きる人々を哀歓込めて描く正統派時代小説。」
物語の舞台は明治5年の東京である。明治5年といえば、「学制」をはじめとする近代日本の設計図が続々と公開された年である。終わりつつある前近代と始まりつつある近代、その移行の時代にあって、主人公の二人は前近代の方に足場を置いている。それがこの作品を「時代小説」たらしめている。
サインをしていただく。
「小川珈琲」には10時まで滞在した。この後、澤田さんは本日の仕事場である同志社大学ハリス理化学館へ。今日はお忙しい中、モーニングカフェにお付き合いたいだき、ありがとうございました。次回は東京でお会いしましょう。
私も11時半に同志社大学の寒梅館に行くのだが、まだ時間があるので、いったんホテルに戻る。
10時半にホテルをチェックアウト(荷物は預かってもらう)。ホテルから同志社大学までは東西線と烏丸線を乗り継いで行けば20分だが、散歩がてら行きたいので早めに出る。
京都には神保町や早稲田のような古本屋街というものがなく、古本屋は町中に点在している。
散歩といっても寒梅館に11時半に着かないとならないので、残念ながら、古本屋はスルーである。
本能寺の前を通る。
ちょっと寄っていこう。
「敵は本能寺にあり」
御朱印所の入り口に織田信長と明智光秀の等身大(?)の看板が。
これが織田信長?!
これが明智光秀?!
『るろうに剣心』に出て来るキャラみたいだな。
三条御池の駅まで歩いてそこから烏丸線に乗る。
二つ目の今出川駅で降りて、同志社大学寒梅館までは数分である。かつてここには学生会館が建っていたそうだ。
写真を撮っていたら後ろから明子さんに声を掛けられた。同志社女子大にお勤めで、本日の句会の世話役をしてくれている。
集合場所はこちらの学食(?)。大学の施設だが、一般にも開放されている。
本日の句会の参加者は6名。京都在住の明子さんと花さん、神戸在住の渺さんと月白さん(ご夫妻)、東京から参加の紀本さんと私である。全員そろったところで自販機で食券を買う。私はハヤシライスにする。
さて、吟行開始。
正面からのアップの写真OKな渺さん、月白さんご夫妻。6月の神戸句会はお二人のご自宅(芦屋)で行った。その節はありがとうございました。
まずは同志社大学(今出川キャンパス)を歩く。
礼拝堂の扉の外に花嫁の姿が!
まさにこれから花嫁入場というところ。
同志社に冬の花嫁おわしたり たかじ
ハリス理化学同志社ギャラリーを見学する。「同志社キャラクター八重さん」が出迎えてくれる。2013年のNHK大河ドラマ『八重の桜』は同志社の創始者新島襄の妻となった山本八重を主人公としたドラマで、綾瀬はるかが八重を演じた。
二階に上がる階段。
踊り場の窓。
ギャラリーには同志社の歴史の記録や新島襄に縁のある品が展示されている。
私が一番見入ったのが、新島襄のアメリカ留学時代の勉強ノートである。これは数学のノートで、球面三画法についての公式が書かれている。平面ではなく球面上の三画形を扱うときのもので、天体の位置の計測や航海術に必要とされる。こういうものも勉強していたのか。
向こうに見えるのはクラーク記念館。
入ってみる。
教室としても使われているようだ。
みなさん着席して下さい。
では、授業を始めます。宿題を忘れた者はいませんか?
「はい、忘れました」と渺さんが手を挙げた。
「やれやれ、また君か。でも正直でよろしい。正直者の頭に神宿るというからね」
同志社大学今出川キャンパスから京都御所へは道を一つ渡るだけだ。
散歩の順路を説明する明子さん。この後、「虎屋」本店のカフェで句会の予定(でも、予約をしているわけではない!)。
気が付くと、あの銀杏に引きつけられるように歩いている。
紅葉もいいけど、黄葉もいい。
落葉となった黄葉はとくによい。
御所を出るまでに俳句を3つ作らねば・・・と思っているのは私だけではあるまい。みな口数が少なくなる。・・・と思いきやそうでもない(笑)。
いままで歩いていたところは京都御苑。ここから京都御所に入る。持ち物検査を受ける。女性たちより男性の方が検査が厳しいように感じた。
承明門から紫宸殿を観る。
瓦のラインが美しい。
「蹴鞠の庭」と札が立っている。
テレビで観たことがある蹴鞠はここでやっていたものだろうか。下賀茂神社のものだったかしら。
御池庭。
たぶんピークは過ぎているのだろうが、青空を背景とした紅葉はやはり美しい。
みんな写真を撮っている。
京都御苑を出て「虎屋」の本店に隣接したカフェに行く。
はたして6人が入れるだろうか。あたかもアポなし取材の「火曜サプライズ」のように私が入って行って「6人なのですが、入れますか?」と聞くと、「はい、お席ございます」とのこと。奇跡的に6人用の席が空いていたのだ。この後どんどん客が入ってきて、空席待ちの人たちの数が増えていったことを考えると、「奇跡的」という言葉は大袈裟ではない。
さて、紀本さんから一人三枚の短冊が配られ、句作の開始である。時間は15分とのこと。みな押し黙るが、なぜか一人花さんだけが楽しそうにおしゃべりをしている(笑)。
(「句会篇」に続く)