フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

12月18日(水) 曇り

2019-12-19 18:35:25 | Weblog

8時、起床。

トースト、ハム&エッグ、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

今日は会議日。9時半に家を出て、大学へ。

10時半から大学院の社会学コース会議。

会議は1時間ほどで終わり、昼食のパンを買いに「ミルクホール」へ。

ベーコンポテトコッペ、餅あんデニッシュ、前回もこの2種だった。(名前は適当)

尾崎一雄『単線の駅』(講談社文芸文庫)をぱらぱらと読む。尾崎一雄は関口良雄『昔日の客』にしばしば登場する作家である。味わい深い文章(雑文)を書く人で、『単線の駅』もそうした文章を集めたものだが、目次を見ていて歴史学者の堀米庸三について書いている文章が目に留まった。一体、どんなことが書かれているのだろうと思って、読み始めて驚いた。

堀米庸三の遺著『わが心の歴史』の冒頭に置かれた「人と時の流れ」という文章についての感想が書かれているのだが、私は知らなかったが、「人と時の流れ」という文章は清水幾太郎の『無思想時代の思想』という本の出版記念祝賀会の「仮想スピーチ」という形をとった原稿なのである。このとき堀米は病床にあり、考えていることを文章に書くこともままらなかったが、話すことを録音することならできるだろうと始めてみたが、思ったより難しい。「それで便法として、清水さんを中心としたパーティーを考え、そこでスピーチをやる、というやりかたをとってみたのです」とのことであった。

私は清水が書いた文章なら本やコピーとしてほぼ所有している。しかし、誰かが清水のことを書いた文章ということになると、タイトルに「清水幾太郎」と入っていれば別だが、収集するのは簡単ではない。堀米のこの文章のことは今日初めて知った(『わが心の歴史』が出版されたのは1976年、私が大学4年生のときだ。当時、論壇では話題になったのかもしれないが、私のアンテナには引っかからなかった)。

私が驚いたのは、たんに堀米のその文章のことを知らなかったからというのではない。清水幾太郎が『「社交学」ノート』(1986)の中で堀米についての大変に興味深いエピソードを語っていたからである。『「社交学」ノート』は清水最晩年の著作で、清水が学習院大学を退職(1969)した後にできた「清水研究室談話会」の活動を振り返りながら「社交」について論じた本だが、堀米は談話会のゲストスピーカーの一人であった。他のゲストのほどんどがスピーチの日時、タイトルだけの紹介であるのに対して、堀米については数頁を割いて彼にまつわる思い出(そのとき堀米はすでに亡くなっていた)を2つ紹介していた。

1つは、清水と堀米と西洋史の専門家であるX教授とが新宿の高層ビルの最上階のレストランで会食をしたとき、X教授が堀米にずっと専門の文献についての質問をしていて、清水は会話に加わることなく、黙って食事をしていたというエピソードである。清水はこういう仲間外れの状況に敏感な人で(まぁ、誰でもそうであろうが)、社交の原則に反した不快な思い出として語っているのである。

もう1つは、重い病床にある堀米が、何度も清水の家に電話をかけてきたこと。しかし、電話の声は切れ切れで聞き取りにくく、彼が清水をほめているのか、けなしているのか、何を言いたいのかよくわからかった。それで清水は堀米に寝たままでも書けるボールペン(NASAが宇宙飛行士用に開発したもの)を贈り、これで手紙を書いてくれないかと頼んだ。だが、手紙は届くことなく、ほどなくして堀米は亡くなった。

一体、堀米は電話で清水に何を伝えたかったのか、私もとても気になっていたので、堀米の「仮想スピーチ」はそれと関係があるのではないかと直感したのである。

2時から教授会(4時半まで)。それに引き続いて論系の教室会議があり、その後、本部キャンパスの高田記念図書館へ。学内検索したところ、堀米庸三『わが心の歴史』は高田記念図書館にある(そこにしかない)ことがわかったからである。たいていの本(私が興味のあるもの)は大学の中央図書館か戸山図書館にあり、高田記念図書館にしかないというのはめったにない。なので、高田記念図書館に行くのはずいぶんと久しぶりである。

現在の中央図書館ができる前はここが大学図書館(メインの)だった。中央図書館ができてから高田記念図書館と名前が変わった。

ところが入口に行ってみると閉まっていた。

17時まで(入館は16時半まで)なのだ。あらま、夜間はやってないのか。明日、午前中に来よう。

*しかし、これは私の勘違いで、高田記念図書館は22時までやっているのだった。入口が違うのだ。ここは会津八一記念博物館の入口だった。

蒲田駅に6時ちょっと前についたので、久しぶりに「ティースプーン」に寄っていく。イートインのラストオーダーは6時で、ちょっと過ぎているのだが、「いいですか?」と聞いたら、「いいですよ」とのことだった。この辺はアバウトのようである。

ミルクティーを注文したら、金柑の煮たものが添えられていた。店長(シマダ姉さん)が今日、個人的に作ってみたもののおすそ分けである。

うん、美味しい。

紅茶のスコーンを注文したら、リンゴジャムが添えられていた。これもおまけかしら。スコーンは家ではあまり食べないが、こうしてお店で加熱して出されると美味しいものである。

さらにプチケーキ(断片)もいただいてしまった。

久しぶりに島田さん姉妹とおしゃべりできて楽しかった。

年末年始の営業はこうなっている(テイクアウトは28日まで、イートインは27日まで)。

7時、帰宅。

夕食は湯豆腐。

温泉豆腐+タラ+キノコである。

深夜、近所をウォーキング&ジョギング。

2時、就寝。