フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

6月24日(日) 晴れ

2012-06-25 00:53:19 | Weblog

  9時、起床。パンと牛乳のシンプルな朝食。体重コントロールの必要上である。パンには柑橘類のピューレが入っているので、乾燥したマーマレードの風味がする。

  午後、どこに出かけようか、方針が決まらないまま、散歩に出る。とりあえず昼食は「元祖平壌冷麺食道園」で冷麺(大辛)を食べる。今年の夏はこの店に来る頻度が高くなりそうな気がする。

  今日は遠出はせず、蒲田散歩と決める。ただし、地元である蒲田駅西口ではなく東口方面を歩くことにする。西口はJR蒲田駅から離れるほど商店街から住宅街へと変化していくが(一般的にそういうものであろう)、東口の場合はそのまま京浜急行の蒲田駅に続いているので、ずっと商店街が続くのが特徴である。そして、西口よりディープな感じが漂っている。


東口中央通りを歩く女の子


十字路を横切る女性


日曜の昼間は閉まっている店が多い

 
居酒屋「蛸十」の前の3台の自転車


あっ、電動式自転車だ


「大女優」という店名がいい


駅構内のコインロッカーとは利用者層が異なる

 
腰に手をあててコミックの棚を眺める男性


頭を掻きながら路地を歩く男性


進化論的な歩み


かつてどこの商店街にも「洋品店」というものがあった


店頭のバッグの山


ふかきょん×2


剥がさないでね


かつてどこの商店街にも「古本屋」というものがあった


「178」とは何か? 「伊奈屋」とか?


京急蒲田駅に到着

 
  喫茶店で一服。ホットケーキとコーヒーのセットを注文(680円)。

  狭い店で、隣の席の男女の話が聞こうとしなくても聞こえて来る。二人は地元の学校の同窓生らしい。女性の方はこの秋に結婚する。いわゆるできちゃった婚である。夫となる人の社会・経済的条件は申し分ないが、彼女は本当はまだ家庭に入りたくはないようである。まだ遊びたいのである。そんな話をしている。喫茶店ではこうした話が(他人が聞いているのに)平気でできてしまうところがある。きわめてプライベートな話をする公共的な空間である。同じく他者といる空間でも、電車の中ではこうはいくまい。

 唐突に、彼女の口から「生涯未婚率」という言葉が出た。「ショウガイミコンリツ?」と男性が聞き返した。「一生結婚しない人の割合のことよ。10%を越えたんだって」と彼女は答えた。うん、その通り。ただし、それは女性の数値で、男性は20%だと私は心の中で注釈を加えた。彼女は話を続けた。「結婚できる人とできない人に二極化している気がする。私の周りの女の子たちも、こんな可愛い子になぜ彼氏がいないの?という子がけっこういるわ」。

  なるほどね。現代社会は恋愛結婚至上主義だから、結婚するためにはその前に恋愛をしないとならない。でも、恋愛のチャンスというのはどこにもでころがっているわけではないし、誰もが簡単にめぐりあったチャンスを生かせるわけでもない。生涯未婚率の上昇の背景には恋愛をめぐる困難の問題がある。家族社会学者の山田昌弘さんがよく言っていることだが、彼女、山田さんの書いたものを読んだのだろうか。そうした状況の中で、彼女は自分が「勝ち組」であることを自覚している。そして勝ち投手が試合後のインタビューで、「もうちょっと長く投げたかったですけどね・・・」と余裕で答えている感じがあった。


ホットケーキとコーヒーのセット(680円)

  蒲田駅に戻る。駅前では地元のアマチュアバンドたちのコンサートが開かれていた。しばらく立ち止まって聴く。


レイナと呼ばれる女性ボーカル

  今日の散歩はここまで。呑川沿いの道を通って帰る。


川端の鈴木旗染店は健在である


6月23日(土) 曇り

2012-06-24 02:13:32 | Weblog

  9時、起床。ウィンナーとキャベツの炒め、パン、紅茶の朝食。今日は予定のない土曜日。 とりあえずブログの更新。

  テアトル蒲田で上映中の『外事警察』を観る。観客は5人くらいしかいなかったが、面白かった。渡部篤郎演じる目的のためなら手段を選ばない主人公は、『リーガル・ハイ』の堺雅人演じる主人公に似ている気がする。一人は魔物と呼ばれ、一人は怪物と呼ばれ、キャラは全然違う(明と暗)けれどやってることは同じではないだろうか。そして『リーガル・ハイ』における新垣結衣は、『外事警察』における尾野真千子である。つまり、『外事警察』を警察ものから法廷ものにして、深刻さを除去し、コメディタッチにしたのが『リーガル・ハイ』なのである。観終わって、受け付けでプログラムを買おうとしたら、置いてなかった。売り切れたのではなく、最初から置いていないのである。さすがだ(何が?)。

  昼食は「三ツ矢堂製麺」の柚子風味のつけ麺。初めて入る店で(以前この場所にはステーキハウスがあった)、注文の仕方がよくわからず、戸惑ったが、運ばれてきたつけ麺はなかなか美味しかった。腹7分目の感じだったので、明太子ご飯を追加注文した。次回は並盛りではなく、中盛り(並盛りより少し多めで、値段は同じ)にしよう。

  食後のコーヒーは「ムッシュ・ノンノン」で。マスターに「久しぶりですね」と言われる。蒲田散歩の途中でコーヒーを飲む場所は、「シャノアール」と「テラス・ドルチェ」が多く、「ムッシュ・ノンノン」は「ルノアール」と並んで三番手だろうか。 ここに来ると、本を読んだり、日誌を書いたりよりも、マスターと話をすることが多い。逆に言えば、本を読んだり、日誌を書いたりしたいときは、「シャノアール」や「テラス・ドルチェ」や「ルノアール」に行く。しかし今日はマスターがカウンターで常連客と話しこんでいたので、鞄に入れてきた小田嶋隆『コラムの王道』(ミシマ社)を読んだ。拾い読みで最後まで読み上げる。

   帰宅して、ジムに行こうかと思ったが、居眠りをすることにした。その方が体によいような気がした。基本的に土曜日は一週間の疲れを取る日だ。


6月22日(金) 小雨のち晴れ

2012-06-23 11:02:47 | Weblog

   8時、起床。バタートーストと牛乳のシンプルな朝食。

  10時に自宅を出て、大学へ。腕時計が見つからず、自宅を出るのが遅れてしまった。家の中のどこかにあるはずと思うが、もしかして、昨日の6限の授業のときに教卓の上に置き忘れてきた可能性もある。私は講義のときは腕時計を腕から外して教卓の上に置いて話をする。そうしたほうが残り時間を確認しやすいためだ。しかしもし教卓に置き忘れたのであれば、帰り途で気づくはずだと思うが・・・。あいまいな記憶だが、帰りの電車の中で少なくとも一度は腕時計で時刻を確認したような気がする。最近、デジカメを紛失したばかりだが、デジカメであれば新しいものを買えばそれで済むが、腕時計の場合はそう簡単な話ではない。デジカメよりもずっと高額だということのほかに、30年も使ってきた愛着のある腕時計なのである。もしこれを紛失したとなるとショックは大きい。

  自宅を出るのが遅れたせいで、卒業生のKさんが研究室にやってくる時間に遅れてしまった。キャンパスについて、研究室に向かう途中、向うからやってくるKさんと出くわした。Kさんはケータイをもっていないので、(約束の時間になっても現われない)私のケータイに電話をするためにキャンパスの入口脇の公衆電話に向かうところだったのだ。いや、ごめん、ごめん。

  Kさんは第一文学部の社会学専修の卒業生で、私が卒論の指導を担当した。卒業して13年ほどになる。外資系のコンピューター会社に就職して、何年かしてからアメリカの大学院へ留学し、そのとき知り合った人と結婚し、昨年一児の母となり、現在は夫の赴任先であるオーストラリア(シドニー)で暮らしている。今週の初めから家族で一時帰国中で、今日、雨の中を顔を見せに来てくれたのである。

  研究室で少し話をしてから、「カフェ・ゴトー」に場所を移して、あれこれおしゃべりをする。最初に会ったときから15年が経過しているが、落ち着いた柔和な笑顔の人という印象は少しも変わらない。在学中はワセオケでチェロを弾いていた。同級の友人が「カフェ・ゴトー」でアルバイトをしていたそうで(マスターはそのことを覚えていた)、Kさんもお客として「カフェ・ゴトー」にはよく来た。学生にはちょっと贅沢な場所だったが、何か自分にご褒美をあげたいときに来たそうで、懐かしそうに店内を見回していた。 

  人生の半ば、中間地点よりも少し手前の場所にいま自分はいると、Kさんは認識している。これから何かをするための時間は十分にある。しかしそうそうのんびりとしているわけにはいかない。子育てをしつつ、仕事をしつつ(現在は育児休業中)、長期的な人生プランをKさんは志向しているようである。Kさんは私が早稲田で教え始めた頃の学生の一人だが、いま、彼ら(彼女ら)の多くがKさんと同じような人生のステージを迎えて、自分の人生のシナリオについて思いをめぐらせているはずである。

  お店の方に写真を撮っていただく。次に日本に帰ってきたとき(そのときは一時帰国ではないでしょう)ここでまた会いましょう。

  事務所に行って、腕時計の忘れ物が届いていないかどうか、念のため確認したが、届いてはいなかった。やっぱり自宅のどこかにあるのだろう。

  1時から教務-事務連絡会。

  それが終ってから、「メルシー」で昼食(アップルパイだけでは夕食までもたない)。このところ「メルシー」ではチャーハンばかり注文している。食後のコーヒーは「シャノアール」で。

   

  6・7限はゼミ。2コマ通しで、3・4年生合同で文献講読。指定文献は上野千鶴子編『脱アイデンティ』(勁草書房)の中の浅野智彦「物語アイデンティティを越えて?」。短い論文だが、適宜、私の解説やディスカッションを挟みつつ、精読する。


本日のスイーツは3年生のNさんが調達してきた千葉県産の焼き菓子 

  10時半、帰宅。書斎の机の上の書類山の下から腕時計を発見。ほっとする。

  夕食がまだだったので、ありあわせのもの(牛肉の大和煮の缶詰、生シラス、茄子の味噌汁)で食べる。こういうありあわせのものがけっこう美味しいのだ。食事をしながら、帰りがけに「TSUTAYA」で借りてきた『深夜食堂』のDVDを観る。DVDは3枚揃いなのだが、最初の1枚が貸し出し中だったので、第5話の「バターライス」から観る。深夜の居酒屋が舞台で、一話完結の話なので、第5話からでも構わないのだ。昼間、腕時計の件で事務所に行ったときに、Tさんが教えてくれた作品で、私は未見のTVドラマだった。これがなかなか面白かった。食事中にこれを観たら、誰だってバターライスが食べたくなる。そして人生の機微をしみじみと感じるはずだ。今日はバタートーストで始まり、バターライスで終る一日だった。


熱々のご飯の上にバターをのせる


バターにご飯をかぶして30秒ほど蒸す(ここがポイント)


お醤油を少しかける


かきまぜて食べる

  続けて第6話の「カツ丼」も観た。これもいい話だったが、もうお腹はいっぱいで、さすがにカツ丼(あるいは親子丼)は食べようとは思わなかった。「深夜食堂」を深夜に観るのは少々危険である。


6月21日(木) 曇り一時小雨

2012-06-22 08:16:10 | Weblog

  7時、起床。ハムサンドと牛乳の朝食。(今日は画像ソフトの不調で朝食の写真はありません)

  午前中にチュンを田園調布の「小鳥の病院」へ連れて行く。定期的な検診である。ビタミン剤とヨード液、エサ(オリジナルフォーミュラー)をもらい、爪を切ってもらう。以前、来院したときに取材にきていた毎日新聞の記者が撮ったチュンの写真(新聞に掲載されたのだろうか?)をちょうだいする。

  昼から大学へ。3限は大学院の演習。今日の指定文献は文芸評論家の磯田光一が書いた「ある感情革命―佐藤春夫『都会の憂鬱』について」と、劇作家の山崎正和が書いた『不機嫌の時代』の中の「不機嫌の自覚―志賀直哉」。明治の終わりから大正にかけての時代というのは私には面白い。現代に通じるさまざなま現象がそこで生まれているからだ。今日は「憂鬱」や「不機嫌」という感情の発生あるいは意味づけ(自覚)について考察した論文を読んだ。著者は2人とも社会学者ではないが、社会学的な素養のある人である。あとは読み手であるわれわれがそれを社会学的に変換しながら読めばよいのである。

  遅い昼食は「早稲田軒」で。天津麺を注文。ときどき思い出したように食べたくなる。食後のコーヒーは「シャノアール」で。

  6限は講義「日常生活の社会学」。授業を始めた途端に、教室内に雀が一羽迷い込んできた。外に出ようとして出口を探すのだが、わからないようで、あちこち飛び回っている。こっちも気が散るので、3箇所ある出入り口のドアを全部開けて脱出しやすようにした。すぐには出口が分からなかったようだが、いつの間にかいなくなっていた。

  授業を終え、8時に大学を出る。

  帰宅の途中、丸の内の「神戸家レストラン」で30%オフのサンドウィッチ(真鯛のフライ、桜島鶏の唐揚げ)を購入。帰宅してから食べる。

  『カエルの王女さま』(最終回)を録画で観る。ミュージカル風のフィナーレ。このドラマでは毎回、歌と踊りが楽しめた。


6月20日(水) 晴れのち曇り

2012-06-21 02:27:40 | Weblog

  8時、起床。ベーコン&エッグ、レタス、パン、牛乳の朝食。(牛乳がまだ半分残っている紙パックを冷蔵庫に戻し忘れる。夜、会議中に、妻から、「口をあけたままの牛乳パックが台所で暖かくなっておりました」というメールが届く。)

  昼から大学へ。自宅を出るとき、昨日の雨で湿った革靴が十分に乾いていないので、靴箱から別の靴を適当に出して履く。これが後々大変な結果を招くことになることを、このときの私はまだ知らなかった。

  昼食は通勤途中で購入した丸の内「石庫門」の黒酢酢豚弁当。

  2時から教授会。次期の学術院長選挙が行われた。私が教授会のときに前に並ぶのもあと1回(7月教授会)を残すのみとなった。ふと足元を見ると、何やら床の上に黒いものが散乱している。なんだろうと思ったら、私の靴底のゴムの破片であった。しばらく履いていない靴だったので、ゴムの部分が劣化していたのである。

  教授会は5時に終り、教務室に戻って雑用を片付ける。どうしても靴が気になる。ちょっと歩くと、ボロボロとゴムの部分が剥がれ落ちていく。これはかなりまずいのではないか。近所に靴屋さんがあれば、行って新しい靴を買うところだが、大学の周辺には靴屋さんはない(と思う)。「安静」にしているしかない。歩き回るのが好きな私には苦痛だ。「安静の退屈」だ。

   6時から教務的会議。「萬作」のお弁当を食べながら、8時過ぎまで。


ヘルシーなおかず

  帰りの道で靴底のゴムはいよいよ末期的状況を呈するようになった。自宅まであと100メートルという地点で、ついに右のかかとが取れた。あと50メートルで左のかかとも欠落した。上は革靴、下は地下足袋のような感覚である。雨が降っていないことが不幸中の幸いである。ようやく自宅に到着。玄関先で靴を脱ぎ、写真に撮る。ボロボロになりながら地球に帰還したはやぶさのことを思った。はたして電車の中で気づいた人はいただろうか。スーツにネクタイの紳士の足元がこれだったら誰もが強烈な違和感を感じたはずである。

  風呂を浴び、アイスクリーム(爽)を食べてから、明日の授業の準備に取り掛かり、2時半に就寝。