金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

134:リチャード・クラーク 『世界サイバー戦争』

2012-10-23 11:18:01 | 12 本の感想
リチャード・クラーク『核を超える脅威 世界サイバー戦争  見えない軍拡が始まった』(徳間書店)
★★★★☆

図書館で冒頭だけ読んで、おもしろそうな上、
中身が濃そうだと思ったので購入。
題名から、最初はフィクションだと思っていたのだけど、
そうではなかった。
著者はアメリカの元サイバーセキュリティ担当大統領補佐官。
これまでにおこったサイバー世界での戦いと
アメリカと、その敵になりうる国々の
サイバー世界における攻撃力・防衛力について述べながら
アメリカの課題を示している。
いろいろとわからない言葉も多かったのだけど、
九月にコンピューター関係の本を何冊か読んでいたので
知識の下地ができていて、わからない言葉もちょっと調べれば
理解できた。

はっきりと目に見えない世界であるだけに、
サイバー世界のトラブルというと
「ウイルスで恥ずかしい写真が流出しちゃった!」とか
「クレジットカードが不正に使用された!」とか
「エロサイト見てたら法外な料金を請求された」とか
その程度のことしか思いつかなかったんだけど、
軍事機密を盗まれたり、インフラを破壊されたりと
国家規模での被害も起こりうるのだなあ……と
そら恐ろしい気分に。
サイバー空間だからこその難しさもあるのだという話が
興味深かった。


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133:高山なおみ 『フランス日記』

2012-10-12 08:21:17 | 12 本の感想
高山なおみ『フランス日記―日々ごはん特別編』(アノニマ・スタジオ)
★★★★☆

フランス旅行中の日記はここに収録されていると知っていたのだが、
例によって「みんなの好きなフランスなんて好きじゃないもんね!」と
ひねくれたことを思って読んでいなかった。
『日々ごはん』は終わってしまったけれど、
「まだ読んでいない本」がたくさん残っているのはよかったな。
楽しみがあるものね。

素直な高山さんの視線、人柄に、
読んでいるこちらまで素直な気持ちになれそう。
そして毎度のことながら、この人の日記を読むと、
ちゃんとごはんを作って、日々の生活を大切にしようと思う。
決意が長続きしないのも毎度のことなんだけど。


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132:ロビン・シャーマ 『今すぐやらなければ人生は変わらない』

2012-10-10 08:15:08 | 12 本の感想
ロビン・シャーマ 『今すぐやらなければ人生は変わらない』(海竜社)
★★★☆☆

そう、今すぐやればいいということは知っている。
でもやる気にならないんだよ!!

……と処理しなければならない書類の束を横目で見つつ、
三日放置した後で、やる気が出ることを期待してこの本を読む。
脳は、とりあえずやり始めればスイッチが入る仕組みになっているのだから、
こんな本を読む前にさっさと手をつければいいと、知ってるんだが……。

「ぐだぐだ言ってないで、さっさとやりやがれ!!」
と喝を入れてくれるのかと思ったら、
「成功者になるための心得」みたいな内容で、あてがはずれた。
わたしは成功者になりたいんじゃなくて、
このたった一本の校正を終わらせられる人間になりたいんだよ……
と思ったけど、読むと「ああ、そうだよね」と再認識させてくれる内容も多い。

「アイディアというものは、どんなに大きかろうと、行動に移され、
 生命を与えられてはじめて価値をもつものなのです」


とか、

「自制の代償は、つねに後悔の痛みより小さい」

とか。


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131:山川方夫 『夏の葬列』

2012-10-08 08:31:44 | 12 本の感想
山川方夫『夏の葬列』(集英社文庫)
★★★☆☆

【収録作品】
「夏の葬列」
「待っている女」
「お守り」
「十三年」
「朝のヨット」
「他人の夏」
「一人ぼっちのプレゼント」
「煙突」
「海岸公園」

早世の作家・山川方夫の作品集。
「夏の葬列」「煙突」のみ既読。
「煙突」で主人公の心の動きをねっとりと描いているなあという
印象があったのだけど、苦悩したり逡巡したりしながら、
主人公が自らの胸の内をじっと見つめているようなこういう小説は、
最近は少ないよね。
「中学生は、昭和前期の『何も起こらない』小説が苦手」
みたいな話を大先輩がしていたのだけど、
確かにこういうスタイルの小説だと、
国語の問題として抜粋されたときに、内面を描いただけで
何も事件が起こらないまま規定の文字数に達してしまうので、
「だから、何が言いたいの?」→「文章がわからない」
になってしまうのだった。

「待っている女」「お守り」「十三年」等のショートショートのような
キレはないんだけど、祖父が家を出て余生を妾とともに過ごすと
言いだしたことに始まる家族の相克を描いた「海岸公園」がいちばん好き。


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130:クロノスケープ 『ゲームシナリオのためのSF事典』

2012-10-05 08:57:30 | 12 本の感想
クロノスケープ 『ゲームシナリオのためのSF事典 知っておきたい科学技術・宇宙・お約束110』(ソフトバンククリエイティブ)
★★★★★

『幻想ネーミング辞典』の画像を張ろうと思ってアマゾンで検索したときに、
「この商品を買った人はこんな商品も買っています」のコーナーに出てきて
その存在を知った本。
もともと辞書好き・図鑑好きなところへ、
最近の興味にもピンポイント攻撃をくらった気分。
久々に魔性の男・アマゾンの術中にはまって3冊一気買いしてしまった……。

タイムトラベルやスペースコロニー、ロボットや環境問題など、
SFに描かれる概念や事物、実現のための問題点をまとめている。
項目が多い割に一つ一つの中身が薄いという印象もなく、
かなり読みごたえあり。
ゲームシナリオを書こうと思って買った人にとっては有用なのかどうか
わからないけど、読み物としておもしろかった。
わたしはもうゲームはやらなくなってしまったので
ゲーム業界のことはさっぱりなのだけど、
ゲームよりも映画や小説を例に挙げているほうが多かったかも。
これ読んでみたいな、と思う小説が多かった。


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129:磯田和一『書斎曼荼羅2― 本と闘う人々』

2012-10-03 08:40:52 | 12 本の感想
磯田和一 『書斎曼荼羅 2 ―― 本と闘う人々』(東京創元社)
★★★☆☆

「IN★POCKET」での連載をまとめたもの。2巻め
今回登場するのは、鹿島茂、明石散人、二階堂黎人、泉麻人、
有栖川有栖、野沢尚、金原瑞人、西村健、石原祥行、高橋英郎、
藤沢周、喜国雅彦、村山由佳、乙川優三郎、福井晴敏、
下宮忠雄、内藤陳の17人に、特別取材として編集者の北村周氏。

1巻の時点では、イラストよりも写真のほうがいいのでは? と
思うところもあったんだけど、
「著者の意識が向いたものを切り取る」というこの本のあり方を考えると
やはりイラストのほうが適しているのだと思う。
情報を取捨選択して伝えられるし。
下宮先生と初めて会ったときのエピソードで、声を上げて笑ってしまった。
おもしろすぎる。


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128:荻上チキ『検証 東日本大震災の流言・デマ』

2012-09-29 08:24:23 | 12 本の感想
荻上チキ『検証 東日本大震災の流言・デマ』 (光文社新書)
★★★☆☆

タイトルの通り、東日本大震災の際にTwitterやチェーンメールとして
大量発生した流言・デマについて、サンプルを取り上げながら
その背景を分析し、流言・デマとどのように向き合うかを述べたもの。

東日本大震災の際は、普段テレビを見ないわたしも頻繁に
ニュース番組を見ていたけれど、それだけではなく、
Twitterも結構みていた。
【拡散希望】のツイートは大量に見た。
有益な情報はそこにない、とわかっていても見てしまったのは
不安の共有を求める気持ちがあったからなのかも。
そんな中で、関東大震災の際に流れたデマと同じような内容の
「朝鮮人が~」というツイートを見て、我に返ったというのか、
冷え冷えとした気持ちになり、しばらくTwitterは見なくなった。
ああいうときって、「当事者じゃない」人間のみにくい部分が
むき出しになるよね……
著者が述べているように、過去の事例を知って「流言ワクチン」を
持っておくことは、有効なのだと思う。
「朝鮮人が~」のデマで関東大震災のときみたいな展開にならなかったのも、
過去の事例を知っている人が多く、
判断するための情報が入手できる社会だったからだと思うし。

そして、個人的な印象だけど、救援物資に関する携帯のチェーンメールは、
同世代の人より年配の先輩たちから送られてくることが多かった。
若い世代に比べると、インターネットにアクセスする習慣が定着していなくて
デマを打ち消す「検証屋」の発する情報に触れる機会が
少なかったからかしら。


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127:斎藤孝 『15分あれば喫茶店に入りなさい。』

2012-09-28 08:46:55 | 12 本の感想
斎藤孝 『15分あれば喫茶店に入りなさい。』(幻冬社)
★★★☆☆

もう、あらゆることにやる気を失ってなんともならないので、
モチベーションを上げるためのドーピング。

ふだんから仕事はカフェ・喫茶店とファミレスでしているし、
ストップウォッチも使っているので、
個人的には新鮮味が感じられなかったんだけど、
「相談事は喫茶店で」の項では、ガガーン!と思った。
というのも、わたしはめったに人に相談をしないから。
人に話すときは、
「こうしますけど、いいですか?」と承諾を得る場合と
「こういうことがあって、こうしたんだけど……」と愚痴る場合が
ほとんどで、もう自分の中での方針は決まっていて
そのアウトプットなのであった。
もちろん、そうすることで相手の反応から得るものがある場合もあるし、
仕事で「相談」ということになったら、ある程度、
落としどころは用意しておかなきゃいけないと思うんだけど、
「コミュニケーションのための相談事」
という考えがまったくなかった!!

本筋から外れた部分なんだけど、

「私がよく行くカフェでは、地下が喫煙席になっています。
 タバコを吸う人をまとめて地下に閉じ込めてくれていて、
 大変好感が持てます。」(p.137)


↑この言いぐさに笑ってしまった。


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126:磯田和一 『書斎曼荼羅 1 ―― 本と闘う人々』

2012-09-27 08:21:39 | 12 本の感想
磯田和一 『書斎曼荼羅 1 ―― 本と闘う人々』(東京創元社)
★★★☆☆

息抜き本。
「IN★POCKET」に連載されていたもの。
文筆業に携わる人々を中心に、増え続ける本と戦う人々の
書斎の有様をイラストと文で紹介した本。
登場するのは、関口苑生、京極夏彦、佐野洋、大沢在昌、林望、真保裕一、
藤野邦夫、逢坂剛、小池真理子、藤田宜永、山田風太郎、花村萬月、
磯田和一、菊池信義、阿刀田高、縄田一男、井上夢人の17人
+特別取材として小池利栄子氏。

この本に登場する大部分の人々にとって、本は消費するものじゃなくて
所有するものなんだなあ……というのが非常によくわかる。
尋常じゃない本の量。
わたしは部屋のスペースの関係で、図書館に寄付したり、
古本屋に売ったりして定期的に処分しているけど、
それでも本はいつの間にか増える。
全部所有しようと思ったら、わたしの狭い部屋なんか
あっという間に生活空間がなくなっちゃうよな~。
図書館みたいに大量の本が整然と棚に収まっている家にあこがれる。
あ、でも、棚とスペースがあっても、
自分が「出したものを片付ける」習慣を身につけるか、
片付けてくれる人がほかにいないと整然とした環境は維持できないのか。
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125:クウネルまんぷく隊 『よりぬき ただいま食事中。』

2012-09-26 08:35:10 | 12 本の感想
クウネルまんぷく隊 『よりぬき ただいま食事中。』(マガジンハウス)
★★★★☆

息抜き本。
イラストレーター、エッセイスト、写真家、書家……などなど
さまざまな職業の人びと30人の2~3週間の食事を
写真と文で記録したもの。
カラーで写真がいっぱいだし、情報量も多くて読みごたえあり。

写真家の高橋ヨーコさん……すごいな。
偏食にもほどがある。本当に食べることに興味がないんだなあ。


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