金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

124:ミチオ・カク 『サイエンス・インポッシブル―SF世界は実現可能か』

2012-09-25 08:18:15 | 12 本の感想
ミチオ・カク 『サイエンス・インポッシブル―SF世界は実現可能か』(日本放送出版協会)

一部分しか精読していないので、★はなし。

訳は斉藤隆央。
まったく知らなかったんだけど、著者は現役の科学者らしい。
タイムトラベルやスターシップ、テレポーテーション、
サイコキネシスなどなど、SF世界に登場するテクノロジーは、
将来、実現可能なのか?
不可能レベルを3段階に分けて、それぞれのテクノロジーについて
展望を述べた一冊。

専門用語も使うときにはちゃんと説明されているし、
科学の素養のないわたしにも読める内容だった。
理解できないところは、理解できないものとしてスルーしても
支障なく文章の主張や結論はとらえられる。
SFはSFとして実際の科学とは切り離されているのかと
思っていたのだけど、ちゃんと科学として検討&実験が
されているのね! と驚いた。
非常に分厚いけれども、おもしろいので、目的部分以外のところも
読み込んでしまった。


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123:押谷仁・瀬名秀明 『パンデミックとたたかう』

2012-09-24 08:50:46 | 12 本の感想
押谷仁・瀬名秀明『パンデミックとたたかう』(岩波新書)
★★★★☆

このところ、パンデミックやらウイルスやらの本ばかり読んでいて
「病は気から」状態なのか、扁桃腺が腫れあがって全身がだるい……

さてこれは、微生物学の教授とSF作家の対談形式で、
新型インフルエンザをめぐる問題について語った一冊。
行政を批判したり、「個人レベルでこういうことをすべき」と
対応策を示したりするのではなくて、
統計資料のとらえ方やなぜこういう対応が採られたのかという理由、
感染症を取り巻く社会の在り方について書かれていて
読み物として大変おもしろかった!

わたしが子どもの頃、予防接種は学校で強制されたものだけど、
最近はそれがないと聞いて、なんでだろうと思ってた。
この本によると、かつては、社会を守るためという公衆衛生の考え方で
予防接種が行われていたのに、日本も個人主義的になってきて
予防接種は集団を守るためというよりも個人を守るためという形に
考え方が変わってきたのだとのこと。
神様みたいな絶対的な存在がいない日本の社会では、
「個人主義」と「自分勝手」が混同されやすいというけれど、
この本にも書かれていたように、感染したら「自分がつらい」だけじゃなくて
「自分から感染して命を落とす人もいる」のだということまで
想像が及ばないんだよね……。


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122:吉村達也 『感染列島 パンデミック・デイズ』

2012-09-22 08:11:20 | 12 本の感想
吉村達也『感染列島 パンデミック・デイズ (小学館文庫)』(小学館文庫)
★★★☆☆

恋人である編集者・理沙の協力を得て、
絵画に潜んだ新型ウイルスを題材とした小説を
書き上げた人気作家の神崎慧一。
その作品を文芸評論家にこきおろされて打ちのめされた慧一は、
画商・榎本の提示する条件に従い、理沙を捨てて
新作の取材のためにヨーロッパで謎のグループと接触する。
そんな中、沖縄で強毒性H5N1型鳥インフルエンザがヒトに感染。
パンデミックの序曲が始まった。

*********************************

同じタイトルの映画があるけど、これは原作ではない模様。

『アウトブレイク』を見た直後なので、
人間の描き方なんかがどうしても物足りなく思えちゃうんだけど、
絵画とウイルスの結びつきが、ファンタジーとしてではなく
一応現実的に、納得できる形で描かれていたのはよかった。
このところ、ウイルス関係の本を何冊か読んでいたので、
「はい、ここから説明パートですよ!」といわんばかりの
文章が続くところも抵抗を感じることなくすんなり頭に入ってきた。
厚労相の最期の言葉は、
「日頃の創太郎からは想像もつかないラスト・メッセージ」
とあったけど、これまでの彼の人物像からは出てきそうもない語彙で、
違和感があった。
新院長もいきなり演説始めちゃって、
パンデミックを境に内面に変化がもたらされたという説明では
納得できない唐突感。


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121:斎藤英喜・武田比呂男 編『「安倍晴明」の文化学―陰陽道をめぐる冒険』

2012-09-19 08:59:21 | 12 本の感想
斎藤英喜・武田比呂男(編)『「安倍晴明」の文化学―陰陽道をめぐる冒険』(新紀元社)

必要な部分を読んだだけなので、★はナシ。

基本的に、人気のあるものは斜めから見てしまうひねくれ者なので、
安倍晴明には全然興味がない。
漫画や小説に出てくるイケメン設定の清明を見るたび、
このときホントはじいさんなんだろ? と思ってしまう。

さて、この本は安倍晴明ブームに物申す!というスタンスで、
陰陽道や安倍清明をとらえ直そうと試みた一冊。
宗教の中における陰陽道と陰陽師の位置づけ、
説話や物語における清明の描かれ方、
陰陽道の隆盛を支えた平安文化、
民俗学から見た陰陽道……という4章から成る。
わたしが求めていた内容はほとんど入っていなかったのだが、
執筆者によって、文章のテイストがずいぶん違うのが
おもしろい。清明役が稲垣吾郎だったことに対して
「なぜキムタクではないのか。
 キムタクではかっこよすぎるし、影がないからか<略>」
と執筆者のつぶやきが入っているところに笑った。


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120:有川浩 『図書館革命 図書館戦争シリーズ〈4〉』

2012-09-18 08:53:02 | 12 本の感想
有川浩『図書館革命 図書館戦争シリーズ4』(角川文庫)
★★★★☆

読んだのがもう一か月近く前なので、初読時の記憶もおぼろ……

原発テロの手本とされた本の著者・当麻蔵人をめぐる攻防と、
主人公の恋愛を重ねあわせてクライマックス! なのだが、
恋愛に関してはもう1巻のかなり早い段階で
結末が読めてしまっているので、
くっつくとわかっていてもそこまでの過程が楽しいのだと
思える人じゃないとつらいかもしれない。
わたしは主人公に全然興味が持てなかったので、
恋愛面に関しては消化試合を見せられている気分だった……
玄田と折口、柴崎と手塚は好きだけど。
当麻蔵人をめぐる攻防はスリリングで疾走感もあり、おもしろい。


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119:ドミニック・ローホー 『シンプルを極める』

2012-09-17 08:32:19 | 12 本の感想
ドミニック・ローホー『シンプルを極める』(幻冬舎)
★★★☆☆

ちょっと読むのに集中力のいる本が続いていたので、
息抜き。
頭がそれ相応の状態になっていなかったのか、
文字が全然頭に入ってこなくて困ってしまった。
同ジャンルの本を何冊か読んでいると、
読んだ順番が後になればなるほど
新しいことが得られなくなってくるというのもあって、
しばらくすると何が書いてあったか覚え出せないのだけど、
読んでいるそのときは
頭と生活が別のことでいっぱいになっている状態から
はっと我に返ることができる。
俳句や文学作品、宗教者の言葉も、内容自体よりも
「この内容の部分にこれを引用するのか……」という
引用の仕方を楽しめた。




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118:板生清 『ウェアラブル・コンピュータとは何か』

2012-09-16 08:49:58 | 12 本の感想
板生清『ウェアラブル・コンピュータとは何か 』(NHKブックス)
★★★☆☆

身につけることができる(ウェアラブル)コンピュータの
ルーツと現状、可能性について書かれた本。
現在、こういう研究がなされていて、実用化されるかもしれない、
という技術の紹介が多いかな?
専門用語はそれほど使われていないし、一般向けにわかりやすく
書かれているので、コンピューターにくわしくない人間でも
容易に理解できる内容。
2004年に出た本なので、iPadは登場していないんだけど、
iPadも今後、また小型化・軽量化していくのだろうなあ。
8年経って、コンピューター技術もずいぶん進んだのだろうけど、
この本に書かれている世界はまだまだ遠いSFの世界。

「われわれ人間は、生まれて以来、意識的あるいは無意識的に
自分自身のポジショニングを繰り返している動物である」
という部分が印象的だった。


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117:新紀元社編集部 『幻想ネーミング辞典』

2012-09-15 08:24:54 | 12 本の感想
新紀元社編集部『幻想ネーミング辞典』(新紀元社)
★★★☆☆

図書館の言語学のコーナーにあったのをたまたま見つけて
読んだのだけど、なかなかおもしろかった。
日本語の「見出し語」について、英語・フランス語・イタリア語・
ドイツ語・スペイン語・ロシア語・ラテン語・ギリシア語・アラビア語・
中国語でそれぞれなんと表現されているかを一覧表にしたもの。
題名と、取り上げられている語句のセレクトを見ると、
これはファンタジー小説なんかを書きたい人向けなのかしら。
ペットの名前とか、ちょっとカッコいい名前をつけたい!と
いう人にとってもいいかも。

わたしにはこの本を実際に役立てる機会がなさそうなんだけど、
こうして各国の言葉を並べてみると、ラテン語から派生して
今日のヨーロッパ諸国の言語が生まれたということが実感できる。
気になったのは、ラテン語で、
7は「septem(セプテム)」、8は「octo(オクト)」、
9は「novem(ノウェム)」、10は「decem(デセム)」
であって、英語の月名「September」~「December」と
数字が対応していないということ。
Wikipediaの「9月」の項目によると

「ラテン語で『第7の』という意味の『septem』の語に由来しているのに不一致が生じているのは、紀元前153年に、それまで3月を年の始めとしていたのを1月を年の始めとすると改めたにもかかわらず、名称を変えなかった為」

だそう。なるほどね。


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116:藤田紘一郎・柴野利彦 『ウイルス・パニック―感染症という身近な恐怖』

2012-09-14 08:00:38 | 12 本の感想
藤田紘一郎(監修)・柴野利彦(文)『ウイルス・パニック―感染症という身近な恐怖』(数研出版)
★★★★☆

こういう本って、「同ジャンルの本の中で何番目に読んだか」で
評価が変わってしまうと思うんだけど、これは最初に読んだ本なので
「免疫力の弱いエイズ患者はSARS患者と同じ病室にいても感染しなかった」
とか、初めて知った! という内容が多く、楽しめた。
文明化による生態系の破壊と清潔病がウイルスパニックの原因だとのこと。
わたしが不健康な生活を送っていても、わりと病気しにくいのは、
子どものころから不衛生な環境に慣れているからかもしれない……

監修の先生は、おなかの中でわざとサナダ虫を飼っているらしい。
アレルギーの子が増えたのは、回虫がいなくなったからなんだそうだ。
しかし、いくら体にいいといっても、寄生虫と言われるとゾーッと
してしまうな。


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115:新宗教研究会 『図解 新宗教ガイド』

2012-09-12 08:27:58 | 12 本の感想
新宗教研究会『図解 新宗教ガイド』(株式会社九天社)

一部しか読んでいないので、★はナシ。

日本人には無宗教の人が多いというけれど、
小さな日本社会にこれだけの新興宗教があって
それぞれがそれ相応の数の信者を確保しているのだということが驚きだ。
わたしのような信仰心を持たない人間には
この本は「メニュー表」あるいは「図鑑」にしか見えないんだけど、
この中の一つを選んで心よりどころにしている人がこんなにいるんだなあ。

成り立ちと関連事業の部分に興味があって読んだのだけど、
三大宗教と同じように、信者同士の対立や分離の歴史を持っていたり、
ほかの宗教といかに折り合いをつけるか苦心していたりするのがおもしろい。


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