最終回は拡大版。
最後まで倫子さまの格が高いままで良かった。
すっかり気力をなくしてしまった道長のために
まひろに向かって「殿の妾になってくれない?」と言い、
道長の最期が近いと思えばまひろ を呼び出して会わせ、
恨み言らしい恨み言は、何も知らない娘の心を奪ったことについてのみ。
消して激昂せず、意地悪もせず。
でも愛されない悲しみもこれまできちんと描いてきたから、
決して平気なわけではなく、
高貴な姫君の気品と正妻の矜持ゆえの振る舞いだとわかる。
メインの登場人物間では
「女の敵は女」という描き方がなされなかったの、
令和ナイズドされた少女漫画 という感じで安心したよ。
ききょうともちゃんと仲直りしてたし。
正直なところ、メイン二人の恋模様にも
その後の執着を残した関係性にも全然ときめかなかったのだけど、
脚本にベテランらしい引きと構成のうまさがあって
最後まで安心して見ていられた。
政治のグダグダっぷりを示して
貴族政治の崩壊を予感させるとともに、
道長の功績を「平安の世に保ったこと」として、
道長の死=「平安」の終焉としたのも良かった。
周明だけが本当にわけわからんかったが……
平安女流文学の周辺を美しい映像で見せてくれただけで
感謝だよ!!
【その他いろいろ】
・行成くん、道長と同日に死去。
わけがわからんが、史実だから仕方ないね。
「推しと同時に死ぬ」というには、
あまりにも行成くんがかわいそうな目に遭いすぎてて、
ハッピーには受け取れない……。
・衛門先生に「あなたが誇らしい」と告げて自信を持たせる倫子さま、
編集者としても有能。
・明子さまにはお兄ちゃんがいて本当に良かったね。
・顕光の面の皮の厚さ、見習いたいよ。メンタル強すぎ。
・道綱くんは、最後までアホボンで癒しだった。愛嬌の塊。
・菅原孝標女までまひろと絡ませるサービスぶり。
* * *
来年の「べらぼう」は脚本家さんが実力派なのと、
マイナー題材で楽しみ。
でも、レビューは、
「書かずにはいられない!ってくらい面白かったら」
にしようかな。