金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

10:八束澄子 『明日につづくリズム』

2011-01-28 18:48:44 | 11 本の感想
八束澄子『明日につづくリズム (teens’ best selections)』(岩崎書店)
★★★☆☆

因島で生まれ育った中学三年生の千波は、
同じ島に生まれた人気ロックバンド・ポルノグラフィティの
大ファン。
同じくポルノファンの恵とともに、ハルイチの実家に行って
ピンポンダッシュ。
施設から引き取られ、弟となった大地に優しくできないことに
自己嫌悪を感じ、島を出るか残るか、進学先にもこころが揺れる。

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今年の読書感想文推薦図書。

うーん。悪くはないけれど、好みではなかったな。
大地に対する感情と、母を巻き込んだ事件を通して
変化していく話の流れは好きだったんだけど、
家族の物語と、因島という舞台設置とポルノグラフィティの
組み合わに必然性を感じられなかったうえに、
(因島とポルノのつながりはもちろんわかるが)
あこがれの対象が実在の、しかも現役で活躍中のバンドだと
いうのが邪魔をして、虚構の世界に入って行けなかった。
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9:草野たき 『ハーブガーデン』

2011-01-28 18:20:33 | 11 本の感想
草野たき『ハーブガーデン (物語の王国 10)』(岩崎書店)
★★★★☆

母親が友人との電話で、
「子どもなんて仕事の邪魔でしかない」
と言っているのを聞いてしまった由美は、母親の仕事に合わせて
好きでもないそろばん塾と学習塾に通い、
文句も自分の気持ちも言わないでいた。
由美のあこがれは、ファッション雑誌のモデルのさくらちゃん。
ある日、さくらちゃんにそっくりな中学生・綾芽と出会った由美は、
彼女に連れられて、すみれという女性が経営するカフェに足を踏み入れる。

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ハーブで癒される~
みたいな話かと思っていたのだけど、そこは草野さんで、
癒しとは程遠いシビアな現実が描かれているのでした。
母親の反応を想定して黙ってしまったり、
外見コンプレックスから卑屈になってしまったりする
由美にイラッときつつも、胸が痛くなってしまう。
女子社会のヒエラルキーって、小学校の教室ばかりじゃなく、
母親同士の世界にもあるよね。
『ハッピーノート』『教室の祭り』に共通する読後感。
舞台となっているカフェの綾芽とすみれの存在感が
やや薄くて印象に残らなかったのが残念。

そして草野さんの作品に出てくる男の子には
やっぱりにやにやしてしまう。
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