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★★★★☆
【Amazonの内容紹介】
海沿いの地にある鎌倉幕府。
美しい景色とうらはらに、そこには陰謀、嫉妬、憎しみが渦巻いていた。
そんな中、若き三代将軍・源実朝のもとに、
摂関家の姫・信子が嫁いでくる。
突然の縁談と異国の地に不安を覚える信子だったが、
実朝の優しさと生まれて初めての海の匂いに包まれ、
次第に心をゆるしていく。
一方の実朝も、信子が教えてくれた和歌の魅力に触れ、
武の力ではなく言の葉の力で世を治めたいと願うようになる。
しかし、殺戮さえいとわない醜い権力争いが、
ふたりを否応なく悲しみの渦に巻き込んでいく―。
第32回小説すばる新人賞受賞作。
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うわァァー!! 少女小説テイストが恥ずかしいよォォー!!
とゴロゴロ転げまわりたくなったが、
ほぼ史実通りに展開して意外性がないのに
最後まで退屈せずに一気読みしてしまった。
この作者さん、筆力が高いね。
視点人物の切り替えが頻繁で、
それぞれのドラマを描こうとしているから、
印象が散漫になってしまっているのは惜しいところ。
タイトルにも関連した「言葉」が、
和歌にとどまらず、御成敗式目につながっていくのは
いちばん、いいなあと思った点なのだけど、これもぼやけてしまった。
でも、いろんな人物にスポットをあてたくなる気持ちはわかる。
この時代の鎌倉、おもしろいもん。
阿波局は永井路子の『炎環』を思わせる。
もう後戻りできないところへ来てしまった、という
北条の兄弟姉妹四人の闇落ちっぷり、
泰時の切なさが印象的。
気になったところが一点。
坊門家は関白の子孫ではあるけれど、
「摂関家」ではないのでは?