金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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現在、記事の整理中。

226-228:泰三子『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』1~3巻

2020-11-01 23:46:33 | 20 本の感想
泰三子 『ハコヅメ~交番女子の逆襲~(1) (モーニングコミックス)
★★★★☆3.5

【Amazonの内容紹介】

「もう辞めてやる!」
辞表を握りしめた新米女性警察官・川合の交番に、
なぜか刑事課から超美人の藤部長が配属されてきた。
岡島県警(の男性陣)を絶望におとしいれるコンビの誕生である。
某県警に勤めること10年、隠そうとしても漏れ出てくる作者の本音がヤバい! 
理不尽のち愚痴、時々がんばる、誰も見たことのない警察漫画。
※労働基準法は警察官に「一部」適用外です。

*************************

3巻まで無料公開中。
いまあらすじ貼って気づいたけど、作者さん、警察官だったのか。
コメディなんだけど、性犯罪の被害者に寄りそうような流れがきちんとあり、
このバランスがうまいな~と思っていたのだけど、納得。
最初の1~2話は、ギャグの呼吸みたいなのがよくわからず
(ギャグとして描いているのかそうでないのか、すぐにわからない)、
戸惑うところもあったのだけど、そこはすぐに改善されていたし、
警察官の仕事のあれこれについても垣間見られて面白かった。
わたしが読んだのはbookwalkerでだけど、
Kindleでも無料公開しているよ。

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225:吉田一 『藤原定家―美の構造』

2020-11-01 23:21:15 | 20 本の感想
吉田一 『藤原定家―美の構造 (教養学校叢書 2)』(法政大学出版局)
★★★★☆

小説と和歌の解説、評論が組み合わさった不思議な作りの本。
小説は短いものが2編。
ひとつは、兄・成家の視点で、父の愛を独占した弟への心情を描いたもの。
もうひとつは、家女房の視点で後鳥羽院と定家の間の軋轢を描いたもの。

どちらも視点人物が珍しくて面白かった。
特に成家のほうは、わたし自分が定家に対して感じていたモヤモヤポイントについて
遠慮なく突っ込み、暴いている感じが楽しい。
二十歳を過ぎてから暴力沙汰を起こして除籍されたときも俊成が必死で取り成し、
四十代になった定家が歌合に出られるように院に嘆願し……
家の隆盛がかかっているから当然ではあるのだけど、甘々に見えてしまう。
同腹の兄弟なのにあからさまに愛に偏りがあって、
スポットライトが当たらない身にしたらつらすぎる。
(定家の日記しか残っていないからそう見えるだけで、
 実際は違ったかもしれないけれども)
定家も俊成と同じように、先妻との間に生まれた息子ではなく、
後にできた為家のことばかりに気を揉んでいるんだよね。

「人づてに聞いている程度で、なんでそんなに
 定家が書いている日記にくわしいんだよ!」
というツッコミをせずにはいられないけれども、
ちょっと変わった定家の小説としてはおすすめ。
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