ほしおさなえ『金継ぎの家 あたたかなしずくたち』
★★★★☆3.5
【Amazonの内容紹介】
高校二年生の真緒と暮らす祖母・千絵の仕事 は、
割れた器を修復する「金継ぎ」。
進路に 悩みながらもその手伝いを始めた真緒はある日、
引き出しから漆のかんざしを見つける。
それを目にした千絵の困惑と故郷・飛驒高山 への思い。
夏休み、二人は千絵の記憶をたど る旅に出る――。
選べなかった道、モノにこめ られた命。
癒えない傷をつなぐ感動の物語。
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消えつつある文化に目を向けて、
それを守ろうとする人々の姿を描いている点は、
「活版印刷三日月堂」シリーズや
「紙屋ふじさき記念館」シリーズと共通している。
ただ、思ったより「金継ぎ」そのものには
重きが置かれていなかったという印象。
たぶん、タイトルから想像するに、
メインは金継ぎではなく、
「ままならない人生や家族の修繕」だったのだろう。
夫の浮気――しかもその理由が、
浮気相手の「優しさ」と生活を切り回している妻の「優しくなさ」――、
ストーリー上ではありふれた苦難なのかもしれないが、
おそらく全世界で幾度となく繰り返されてきた、
解消されない苦しみなのだなあ。
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