金木犀、薔薇、白木蓮

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111:花村えい子 『マンガ古典文学 源氏物語〈下〉』

2018-12-03 10:51:55 | 18 本の感想
花村えい子『源氏物語 下: 創業90周年企画 (マンガ古典文学シリーズ)』(小学館)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

光源氏の華麗なる生涯、いよいよ佳境!

日本古典文学の名作を原典に沿ってコミック化する話題のシリーズ!
今回配本は『源氏物語』<下>。
千年の時を経てもなお人々を魅了してやまない
波瀾に富んだ愛憎の王朝絵巻の最終巻。
四十路をむかえ初老に達した光源氏のもとに
皇女三の宮が降嫁。
傷心の紫の上は病に臥してしまう。
源氏が紫の上を看まもるうちに、三の宮は柏木の子を懐妊する。
事情を知った源氏はふたりの過ちと、
己の若き日の不義を重ね合わせながらも、
生まれた子を我が子として抱く――。
栄華を極める源氏にも、ひそかに暗い影が忍び寄る。
嫉妬や哀しみを心に秘めて生きていく一途な女性たち、
そしてその生き様とともに、光源氏と紫の上の苦悩の晩年を、
フランス国立美術協会正会員でもあるベテラン漫画家・
花村えい子が繊細華麗な筆致で描写する。
<中>から引き続き、若菜上(其の二)、若菜下、柏木、横笛、鈴虫、
夕霧、御法、幻、雲隠までを収録。巻末寄稿は瀬戸内寂聴氏。

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女性たちの顔の描き分けもしっかりしているし、
ベテランらしい画力で安心して読んでいられたのだけど、
猫の描き方だけが笑っちゃうほどひどい。

光源氏の反省のなさといったら!
寄る辺ない身の上ゆえに源氏の色好みに鬱々とする紫の上に
「不自由ない生活を送らせてやってるでしょ!」
という源氏の恩着せがましさ。

六条御息所の怨霊は下巻でも登場。
ストーリー展開のために都合よく使われている気がしないでもない。
源氏も、
「執着に自ら身を滅ぼしてしまわれた、ああ、恋しく慕わしい御方よ」
じゃないよ!
お前のせいだろうが!!

今と感覚が違うのは百も承知だけども、
どう考えてもこの物語を読んだ昔の女性たちが皆、
「光源氏すてき~!! こんな恋がしたいわ~」
みたいに思って読んでいたとは思えないんだよね。
というのも、息子の夕霧も源氏を
しばしば「お前が言うな」と批判的な目で見ていて、
紫式部自身が、理想の男性として描いていたとは
到底思えない描写が多いんである。

柏木も、女三宮への思慕ゆえに姉の二宮を妻に迎えたものの、
「同じことならあちらの姫君を迎えたかった……」
とか勝手なことをほざきやがる。

夕霧―雲居の雁―落葉宮のゴタゴタは面白かった。
親友の未亡人に付きまとう夕霧のストーカーぶりが怖い。
勝手に家をリフォームするなよ!!



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