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「吉川醸造という蔵元さん、知ってますか?」と聞かれました。
読売新聞に出ていたという事なのですが、寡聞にして知らず、ネットでその記事らしきものを見てみた。
「飯米」で日本酒が作れました…酒造会社「爽やかな酸味・低アルコール・甘さワイン以上」
「酒米」ではなく「飯米」を用いる画期的な酒造りに、神奈川県伊勢原市内唯一の酒造会社「吉川(きっかわ)醸造」が取り組んでいる。表面を少ししか削らない米をじっくり仕込む酒造法を採用して可能となった。地元の米と水にこだわった「テロワール(土地の個性の)日本酒」造りへの第一歩となる。(略)
なるほど、飯米での酒造りですか。
確かに「酒米」「飯米」に分かれているくらいですからメジャーではありませんが、飯米の方が安いし、「棚田」とかも含め地元のお米で造りたいということで飯米での酒造りに取り組む蔵元さんも全然珍しくないし、記事の「『飯米』を用いる画期的な酒造り」というのは記者さんの勉強不足と言われても仕方がないですね。
恐らくお酒を飲まれない方なのでしょう。
この記事、読み進めると、別の意味でも「!」というのがあって、例えば試験醸造の初しぼりの公開に「報道陣約20人に公開」とあります。
「報道陣約20人が集まる」というのも、スゴイことです。STAP細胞をほうふつとさせます。
また、「爽やかな酸味を残し、低アルコール度で、甘さはワイン以上。(略)」というのも、もともとワインよりも高アルコールの発酵状態でもワインより甘いのが日本酒。
糖分⇒アルコールへの発酵を抑えられればさらに甘くなるのに、これだけ読むと普通の日本酒ってワインよりも甘くない、という誤解を与えてしまうのでは。これも記者さんの問題ですね。
さらに、「ワインの原料のブドウと違い、米は運搬しやすいこともあり、日本では、他地区の優秀な酒米で酒造りをするのが常識だった。」というのもちょっとちょっと。
確かに「優秀な酒米で酒造りをするのが常識だった」のは正しいのですが、それは「米は運搬しやすい」からというのは初耳です。
逆にワインはブドウが運びにくいから、というのも甚だ疑問で、そもそも丘陵の谷道を隔てた隣の畑のものでもテロワールが全然違うので、というワイナリーさんに聞かせたら絶句するのではないでしょうか。
こんな感じでこの記事自体は結構ひどいなぁ、と思いますが、こうした試み自体はそれぞれのチャレンジとして頑張って欲しいですね。
と、思っていたら、この蔵元さん、実は以前、全然別の業界のご縁で社長さんとお会いしたことのある、とある資本に2020年に傘下入りされていたんですね。
箱根の小涌谷にバーを造られたり、神楽坂の民家をホテルにしたり、アグレッシブに展開されている方なのですが、ついにお酒造りですか。
疑問として掲げた「メディア20名」など、というのもわかる気が。
面白そうですね。今度見学に行かせてもらおうかなぁ。
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