「一切なりゆき~樹木希林のことば~」/樹木希林さん
この本は面白そうだったので、「後でじっくり読もう」と思って温めていたところ、だんだん返却日が近づいてきてしまった。そこで慌てて読み出したのだ。 今まであちこちの希林さんの言葉などを集めた本だが、まるで目の前に希林さんがいて話し掛けられているような感じがする。そして読んでいるうちに、だんだん自分までもが希林さんのようになっていく不思議な本である。
今日はこのような大雨の天気で、朝から謄本を取りに行く用事があり、いつもより30分早く家を出た。
通勤時間の大雨・・・車は信号待ちと渋滞でなかなか進まない。 希林さんはこういうアクシデントがあるとそれを楽しむ方のようである。なるほど、この渋滞の間を楽しもう、新しい歌も覚えられる、と思うことにした。
私はこの運転席から眺める景色が昔から好きだったんだっけ、あと何年かしか味わえないだろうこの景色を眺めると、この渋滞もやはり愛しい。(車を手放したらもう体験できないことだ。)
希林さんはガンですら拒否もせず、受け入れている。そこでもがくことは無い、ああだったら良かったのに!と地団駄を踏むことも無い、淡々と受け入れるのである。(それはあのやなせたかしさんや、宇野千代さんにも共通するような気がする。) 本を読んでいるうちに、私もだんだんそういう気持になってきた。
あのロックンローラーの旦那さんまでも、人生の終わりでは仲直りしたりして月に1度食事をしたりしているのだそうだ。そして「こんな境地になれるなら、やはり夫婦でよかったわ」なんていうのである。(もっとも希林さんだったら、離婚していてもそこで何かを見つめて修得していくのだろうと思う。)
希林さんの本を読んでいたら、だんだん何が正しくて何が間違っているのか分からなくなってきた。本にも書いてあるように、何事にも表があり裏がある。「いいこと」だと思っていたことがそうでもなかったり、「不幸だった」と思ったことで人は鍛えられ、深く洞察することができるようになったりするのだ。(本を読むと、希林さんはお金や名誉やらよりも、そういう人としてよくあることを目指していたようである。)
「ま、来るもの拒まず・・・何が来ようが縁があってきてるのだからいいじゃない」とでも言うようなこの本だが、だからと言って希林さんは何でもなあなあなのではない。「私は人間を見るのが好きなの。その人の裏を見てみようとしたりしてね。」なんていう側面もあるのである。(価値観は決して妥協はしない感じ)
法務局に来た。 早すぎてまだ始まっておらず、「丁度良かった」と思いながら希林さんの本を読みながら待つ。
時間になり始まった。私は1番に来ていたのだが、その次に来ていた女性はとても急いでいるようだった。そしてお互いに手続を終え謄本を受け取ると、その女性は慌てて駐車場に向かう。エレベーターを降りる時にその女性は自分は急いでいるであろうに、私を先に降ろしてくれたので、駐車場の精算所で「急いでいるのでしたら、お先にどうぞ」と先に清算してもらった。(そんな所も希林さんが乗り移った私(^_^;))
希林さんの本の続きは、昼休みに弁当を食べながらも読んだ。もうほとんど読んでしまった。 希林さんは占い師に「あなたは亡くなってから、襟首捕まえて旦那さんも連れて行く」と言われたそうである。ほんとうにそうなったんだなぁ。。。。