町田薬師池公園の池のほとりから50本の桜の木の参道を進んだ北西の高台に「野津田薬師堂」がある。この薬師堂は「普光山福王寺」のお堂のことで、明治16年(1883)に再建されたものである。中央に本尊の「薬師如来」、右には日光菩薩、左に月光菩薩が脇仏で、更に右側と左側に6人づつ、計12人の神様が祀られ、全部で15体の仏像が祀られている。この堂の薬師如来は天平年間(約1270年前)に行基菩薩が彫ったとものである。古来より薬師様は眼病にご利益のある仏様として信仰されている。町田市にある木彫仏像としては最古の仏像であることが認定され、昭和62年町田市の文化財に指定された。 本尊は秘仏で12年に一度、寅年の4月1日から5月5日までの約1ヶ月間だけ開扉・公開される。境内には「薬師堂」のシンボルともいえる樹齢500年、高さ35m、胴回り5mの「大イチョウ」が聳えている。既に落葉が始まり境内は真黄色の絨毯と化して美しい。かつて「福王寺溜井」といわれていた「薬師池」の名もこの薬師堂(薬師如来)に由来している。(2011)
町田市本町田に「町田三天神」の一社として地域内外の多くの人々から崇敬されている「菅原神社」は鎮座する。江戸期初頭の寛永7年(1630)近郷の大沢氏が天神像を奉安し、この地を寄進して本町田の鎮守とした。主祭神は学芸の神として広く知られる「菅原道真公」である。「赤い鳥居」を潜ると急こう配の石段(参道)が続く。悠久の歴史深かさを今も残す神域の参道には「カエデ」の紅葉、石段両側の「イチョウ」は黄葉は鬱金色に輝き晩秋の美しい彩りに覆われている。正面にまだ真新しい「拝殿」がある。社殿の前に「神楽殿」、更に拝殿左には最近完成した「参集殿」、境内左の小丘に「愛宕社」が祀られている。左手丘陵には東京都旧跡である「井手の沢古戦場」が建っている。(2011)