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伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

紙ヒコーキで知る飛行の原理 身近に学ぶ航空力学

2022-08-05 23:26:53 | 自然科学・工学系
 思うように飛ぶ紙飛行機を作成するというテーマで航空力学の基本を解説する本。
 飛行機が飛ぶために不可欠の揚力を得るために主翼の面積と迎え角(風の方向と翼断面の角度)が重要であり、フラップにより揚力を増すことができ、主翼の断面形を含めた設計が決め手となること、飛行機の揺れ(回転力)に対しては、ピッチング(機首の上下方向の揺れ)は水平尾翼があることで抑制されさらにこれに付けられた昇降舵(機首が機首が上がったら下向きにして尾翼に上向きの揚力を、機首が上がったら下向きにして尾翼に上向きの揚力を生じさせる)でコントロールでき、ヨーイング(機首の左右方向の揺れ)は垂直尾翼があることで抑制されさらにこれに付けられたの方向舵(機首を右方向に向けさせる横風やエンジン不調には左に切って尾翼側に右方向への回転力を生じさせてバランスを取る)でコントロールでき、ローリング(軸まわりの回転)は主翼に上反角(水平方向よりも上向きの角度)があることで抑制されさらに主翼に付けられたフラップ(左翼が下がる回転には右翼のフラップを上げて右翼に下向きの「揚力」、左翼のフラップを下げて左翼に上向きの揚力を生じさせる)でコントロールできることなど、飛行機の基本形が理にかなったものであるとこが理解できます。
 滑空状態では、機首が下向き(降下姿勢)である限り自重(重力)が(進行方向の)推力となる(79~81ページ)ことが明快に説明されており、六ヶ所再処理工場の裁判で国側がエンジン停止して滑空状態の戦闘機の速度は「最良滑空速度」以上にはならないかのように主張するのに惑わされていた私には助かりました。
 紙ヒコーキといっても、そういう説明ですから、折り紙で作るようなものではなくて、主翼、水平尾翼、垂直尾翼を整えた本格的なものが想定されており、やってみよう部分は手が出ませんでしたが、勉強になりました。


小林昭夫 講談社ブルーバックス 1988年6月20日発行
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