東大法学部が2021年度前期(4月~7月)に1年生を対象にオンラインで行った「現代法学の先端」と題する講義を出版したもの。
「デジタル社会と憲法」(憲法)、「同性カップルと婚姻」(民法)、「刑法は個人の尊厳を守れるのか」(性犯罪処罰:刑法)、「金融サービス仲介業制度の導入」(商法)、「役員報酬と法」(会社法)、「非正規格差をなくすには」(労働法)、「著作権法の過去・現在・未来」(知的財産法)、「プラットフォーム全盛時代に適正な競争を確保する」(日本の公取の運用:競争法)、「ビッグテックの台頭」(欧州競争当局の姿勢:競争法)、「GAFAの利益をつかまえる」(租税法)、「国際間のサイバー攻撃をどう規制するか?」(国際法)、「契約とContract」(オリンピック契約:英米法)、「一人一票の原則を疑う」(法哲学)の13講義で、先端の議論かどうかは置いても、また講師の個人的な趣味/興味に応じたものとみられますが、現代的あるいは時事ネタを扱う興味深いものです(金融サービス仲介業制度を紹介したものは、ただ立法の経緯と内容を紹介するだけで、学生が興味を持てそうな問題提起や検討もなく、何のために書いているのかと思いました。この講義はおそらく爆睡者続出だっただろうと推測します)。
東大法学部の教員といっても、権力者・官僚機構に奉仕する/すり寄る人ばかりでなく、権力者や大企業に批判的な人や、方向性はさておいて独自の見解をいう変わった人もいるのだなと感じられました。私としては、著作権者の保護(実際には何ら著作を生み出さない著作権ビジネスで儲けている人が保護されていると思いますが)というか著作物の利用の制限にあまりにも偏している著作権法の現状を、東大の知的財産法の教授がかなりはっきりと批判的に書いていることに新鮮な感動を覚えました。

東京大学法学部「現代と法」委員会編 有斐閣 2022年7月10日発行
「デジタル社会と憲法」(憲法)、「同性カップルと婚姻」(民法)、「刑法は個人の尊厳を守れるのか」(性犯罪処罰:刑法)、「金融サービス仲介業制度の導入」(商法)、「役員報酬と法」(会社法)、「非正規格差をなくすには」(労働法)、「著作権法の過去・現在・未来」(知的財産法)、「プラットフォーム全盛時代に適正な競争を確保する」(日本の公取の運用:競争法)、「ビッグテックの台頭」(欧州競争当局の姿勢:競争法)、「GAFAの利益をつかまえる」(租税法)、「国際間のサイバー攻撃をどう規制するか?」(国際法)、「契約とContract」(オリンピック契約:英米法)、「一人一票の原則を疑う」(法哲学)の13講義で、先端の議論かどうかは置いても、また講師の個人的な趣味/興味に応じたものとみられますが、現代的あるいは時事ネタを扱う興味深いものです(金融サービス仲介業制度を紹介したものは、ただ立法の経緯と内容を紹介するだけで、学生が興味を持てそうな問題提起や検討もなく、何のために書いているのかと思いました。この講義はおそらく爆睡者続出だっただろうと推測します)。
東大法学部の教員といっても、権力者・官僚機構に奉仕する/すり寄る人ばかりでなく、権力者や大企業に批判的な人や、方向性はさておいて独自の見解をいう変わった人もいるのだなと感じられました。私としては、著作権者の保護(実際には何ら著作を生み出さない著作権ビジネスで儲けている人が保護されていると思いますが)というか著作物の利用の制限にあまりにも偏している著作権法の現状を、東大の知的財産法の教授がかなりはっきりと批判的に書いていることに新鮮な感動を覚えました。

東京大学法学部「現代と法」委員会編 有斐閣 2022年7月10日発行